ライターとしての撮影スキルを上げるべく、取材を兼ねてお邪魔してみたアイドルの撮影会。公園での撮影を終え、午後からはスタジオに移動して撮影が行われたので、後編ではそちらの模様を追っていきたい。なお、あらかじめご了承を願いたいが、今回撮影してきたのは「アイドル」ではなく「アイドルの撮影会」である。「肝心のモデルがほとんど写っとらん!」とお怒りの方は、ぜひとも実際に撮影会に参加して、個々に撮りまくっていただきたい。それでは現場の模様をどうぞ。

午後の第3部と第4部はスタジオでの撮影。集合時間には参加者が続々と詰め掛ける。遠くは愛知、兵庫、長崎から来たというファンも!

屋上撮影も可能なスタジオマーカス。階段を上がってさっそく屋外へ

第3部は待望の水着撮影。取材日はまだかなり暑かったこともあって、都心にいながらちょっとリゾートな雰囲気

屋上はビルの8階とあってご覧の絶景

ビニールプールを使った撮影も。髪や衣装が濡れると進行が滞るので、撮影会では水の使用はナシ

動画
第3部の撮影風景はこんな感じ。題して「新宿副都心とアイドル」

下の階に特設されたサンルームを屋上からのぞいてみる。これだけではどうなっているかよくわからないが……

サンルームはこのような内装に。天井部分は写さないので自然光を取り入れて、なおかつ秘密の小部屋的な撮影が可能

サンルームに島野亜希子さんが入ってみるとこんな感じ。南国のお姫様風?

吉川麻衣子さんも水着を替えて登場。アイドルはやっぱりピンクが似合います

撮影中もスタッフは、次のシチュエーションをセッティング。このフロアだけで撮影に7面使えるようになっている

合間にスタジオの舞台裏を見せていだだいた。こちらは壁紙と小物類。様々な状況に合わせられるようになっており、ちょっとした雑貨屋状態

控え室にはすぐ撮影に使える衣装を150着以上用意。このほか靴も多数用意されている

控え室の座敷下のスペースには水着類を収納。自前でここまで揃えている撮影スタジオは少ないとか

休憩中、ファンの方のカメラを見せていただいた。こちらはPENTAX istD(左)とソニー α100(右)。このほかニコンDシリーズのユーザーも多し

続いて第4部はファンからのプレゼント(!)という浴衣で撮影。背景も浴衣の色に合わせ、淡いピンクとブルーに

「手を握ってみて」というファンからの声にふたりも思わず赤面。普段から仲がいいと逆に恥ずかしいとか

夕方の薄暗い時間を利用し、屋上に出て再び撮影することに

今回は常連さんからのリクエストで花火大会というシチュエーション。「ファンの声にはできる限り応えてあげたいと思ってます」とスタジオの藤井さん

撮影会終了後にはミニサイン会を開催。人数が少ないこともあり、書店などのサイン会よりかなりアットホームな雰囲気

撮影会を終えて。吉川さんも心なしかリラックス。ファンからのリクエストに応え、イラストも添えてサインを描き込んでいた

見せていただいたファンお手製のオリジナルアルバム。すべて島野さんのサイン入りで、まさに最高のトレーディングアイテム

日もすっかり暮れ、朝から約9時間、全4部に渡って行われた撮影会も無事終了。最後に一日被写体を務めた吉川麻衣子さんと島野亜希子さんにお話をうかがった。

――今日の撮影会はいかがでしたか?

島野「すっごいひさしぶりでした。撮影会は多いときは3ヶ月連続とかもあって、前は年に5~6回はやってたんですけど、今回は10カ月ぶりぐらいですね」

吉川「私は5カ月ぶりぐらいですね。ふたりともこのスタジオでやるのは初めてだったんですけど、すごいきれいでした」

島野「ね? アイテムがすごく多いんで、ポーズも取りやすくてやりやすかったです」

――撮影会で大変なのはどんなところですか?

吉川「いつもは3人でやることが多いので、ちょっと休める時間があったり、髪の毛をいじる時間があったり、化粧を直したりもできるんですけど、今日はふたりだったのでそこはちょっと大変でした」

島野「化粧直しはあんまりできなかったよね。浴衣も着なくちゃいけなかったので、バタバタで顔もテカっちゃいました(笑)」

――まだ撮影会に参加したことがない方にメッセージをお願いできますか?

島野「やっぱりコミュニケーションが直接取れるのが撮影会のいいところかなと思います。まだ撮影会に来たことがない人も気軽に来てください」

吉川「ファン同士の人の仲がいい現場なので、こっちも楽しく満面の笑顔でモデルになれるし、本当に1日があっと言う間という感じですね。まだの方もぜひ来てほしいです」

撮影後インタビューに応じていただいた島野亜希子さん(左)と吉川麻衣子さん(右)。一日同行して、つくづく体力が要る仕事だと痛感しました……

さて、今回の報告の締めくくりとして、ちょっと堅めの話をしてみたい。取材終了後、参加したあるファンは、「今回の撮影会はすごくよかったですよ」という感想を漏らしていた。しかしその言葉の影には、例えばファンが吉川さんと島野さんに浴衣をプレゼントしていたり、その浴衣で撮影できるようにしたりといった、アイドル、スタッフ、ファンの三者間の協力体制が隠れている。

そもそも撮影会自体ほかのアイドルイベントと違って参加人数が限られるので、そのアイドルがブレイクするとなかなか行われない。非常に期間限定性の高いものだ。ましてアイドルの体調やスタッフの経験値、ファン同士の連帯といった条件が整わなければ、いい撮影会のチャンスはさらに失われてしまうだろう。実際にマナーが悪い現場や、値段に見合わない撮影会も一方でやはり存在するらしい。

アイドルファンやカメラ小僧は空気を読まないタイプ、という色眼鏡で報じられていることが間々ある。しかし今回の取材現場で一番印象的だったのは、アイドルとスタッフとファン、それぞれが空気を読んで、少しでもいい雰囲気で撮影会を進めようとする姿だった。

「撮影会は次にいつあるかわからないし、値段もそれなりにしますからね。自分たちも協力していいものにしたいってだけですよ」

取材後、ファンのひとりがファミレスで語ってくれた言葉だ。じつに渋い、大人の一言だと思った。

そんなわけで今回の取材に満足した私は原稿をまとめ終わり、編集・千葉氏に電話をかけてみることにする。

編集・千葉「……で、いい話だけどさ、肝心の女の子の撮影テクニックは上達したの?」

ライター野口「いや、スタジオの機材とか小道具ばっかり撮ってたんで、それはあんまり……」

編集・千葉「ダメじゃん! 意味ないじゃん!」

ライター野口「そういう千葉さんこそ、後編いないでしょう!」

編集・千葉「昼から某声優の取材があったんだからしょうがねえだろう!」

ライター野口「しかも前編の公園では猫ばっかり撮ってたでしょう!」

編集・千葉「いいんだよ!」

ライター野口「よくねえよ!」

その後、空気を読めない編集とライターによる、大人げない口論が電話口で続いたことは言うまでもない。

<告知情報>
スタジオマーカスでは随時撮影会を開催しています。詳細はこちらをご覧ください。2008年11月23日には吉川麻衣子さん、島野亜希子さんの撮影会も予定されています。