みなさんは小学生のころ、こんな疑問を抱いたことはないだろうか。すなわち「あのラジオ体操はどこから放送しているのか?」と。
その疑問の一端に答えを出すべくお邪魔した「ラジオ体操80周年記念 第47回 1000万人ラジオ体操・みんなの体操祭」。去る7月27日早朝に東京ビッグサイトで行われたこのイベントの模様を、前回に引き続いてお届けしたい。
時刻は午前6時25分。10年に一度の記念大会の会場となった東京ビッグサイトの東ホールには全国各地から約6,000人の参加者と、300名近いスタッフが集結。すでにリハーサルを終え、いまや遅しと6時30分の本番開始を待ち受けている。取材するこちらも当初はリハーサルと同じく参加者のみなさんの目線から撮影を行うつもりだったが、ステージ脇に臨時に出された足場があったので、急遽そちらを使わせていただくことにした。
足場の高さは4メートルほどで、上面の広さはタタミ3畳ほど。本番間近なので思わず夢中でハシゴを登ってしまったが、安全柵などはなく、真下を覗き込むと結構高いので下っ腹がスースーする。絶好の撮影ポイントに陣取ってカメラを構えた瞬間、ついに本番が始まった。それでは百聞は一見にしかずということで、さっそく本番の模様をご覧いただこう。
6,000人がラジオ体操をする光景を上から撮影するという貴重なチャンスに、自分も思わず息を飲む。これぞまさしくキング・オブ・ラジオ体操! 人がたくさん集まっているだけではなく、全員が同じ体操を行っているというのはなんとも壮観だ。人数が人数なので、体操というよりはちょっとしたマスゲームのようにも見えてくる。普段あまり意識しないことだが、これだけ理路整然とした運動をほとんどの日本人がいきなり行えるというのは、じつは特筆すべきことかもしれない。
本番は予定どおりに進み、興奮冷めやらぬまま15分ほどで無事終了。生放送は満場の拍手で締めくくられたが、じつは生放送を終えてもまだまだ記念大会は終わらない。これからなんと会場に来た人だけが楽しめるミニライブが始まるのだ。朝7時というかなり破天荒な時間からスタートする特別ステージ、そこに登場するのは日本を代表するロックバンド、GODIEGO!(ゴダイゴ)。
「ラジオ体操→ゴダイゴ」というアクロバティックすぎる連続技をいったい誰が予想し得ただろうか!? なんとなく「朝7時からゴダイゴ」という言葉には、「朝食からインドカレー」のような響きがあるが、下は園児、上は90代までいるこの会場のゲストとして、世代を超えて幅広く支持されるゴダイゴを招くのは、納得のチョイスと言えるだろう。先ほどまでラジオ体操の模範演技とピアノ伴奏が行われていたステージのセッティングが変えられ、赤や紫といったサイケデリックな照明に照らされて大ヒット曲「モンキー・マジック」でライブはスタートした。周囲には夜を明かしたロックフェスティバルのような雰囲気も漂い、なかなか乙な風情だ。
ラジオ体操を終えて汗だく(多分)のどーもくんとななみちゃん |
時刻はまだ朝8時前。ゴダイゴの歌声を堪能して会場の外に出ると薄雲越しの朝日がまぶしい。人も街も準備運動を終え、さわやかな夏の休日が始まろうとしていた。今日はきっといい日曜日になるはずだ。夏の風物詩であるラジオ体操を心行くまで堪能した私はそんな感動を覚えつつ、もちろん帰ってすぐ床に就いたのだった。
「ラジオ体操第1」の音楽を作曲した作曲家の服部正さんが2008年8月2日に死去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。