「鎌倉に行ってきてください」
編集Cさんから指令が下った。猫喫茶とムツゴロウ動物王国の回が一部で好評を得たため、ついに動物取材シリーズの第3弾が企画されたのだ。今回の目的地は鎌倉の新しい人気スポット、その名もずばり「うさぎカフェ」。なぜうさぎカフェなのか? それはもちろんお店自体のユニークさも大きいのだが、「どうしても行ってみたい!」と声を上げた人がマイコミ関係者にいたからである。というわけで、普通の観光客状態となっている動物好きの編集・土方嬢とともに、うさぎカフェにお邪魔した。
鶴岡八幡宮の裏手にあるうさぎカフェで我々を出迎えてくれたのは、ご主人の畑中さんと、看板うさぎのくっきーくん(オス・3歳)。くっきーくんはネザーランドドワーフという品種で、これはあのピーターラビットのモデルにもなった種類。本来夜行性らしいが、この日のくっきーくんはなかなか快調のようだ。
ご主人の畑中さんと看板うさぎのくっきーくん(オス・3歳)。普段はケージから出していないとのこと |
ちなみにペットを呼ぶときには毎回「くん」や「ちゃん」付けで呼ぶべきなのかいつも迷ってしまう私だが、今回はやはり恥ずかしがらずに「くっきーくん」と呼ぶことにする。そんなどうでもいい葛藤をよそに、お客さんモード全開の土方嬢は早速くっきーくんを撫で回している。彼女の背中からは「いまは誰も邪魔すんじゃねえぞ」という剣呑なオーラが放たれているようにも見えた。同行者なのにかなり声をかけづらい。もっとも、くっきーくんは確かにかわいい。かわいいの権化と言っても過言ではない。あまりにもかわいいので、取材にも関わらずふたりとも見とれて、だんだん無口になってしまう。
野口「……こりゃアレだなあ、僕が記事書くより、くっきーくんの写真だけいっぱい載せたほうがいいんじゃないかなあ」
土方「ダメですよ! ちゃんと仕事してください!」
野口「仕事って、あなたこそさっきからくっきーくんを愛でてるだけで、仕事してないでしょう!」
土方「私はいいんです! 今日はお休みを取って来たんですから!!」
……威圧されてしまった。そうか、お休みなら仕方がない。気を取り直してご主人にお話をうかがう。もともと東京で働いていた畑中さんご夫妻が、鎌倉でうさぎカフェをオープンしたのは2005年の9月。口コミなどで噂が広がり、オープンしてから2年弱の間に800匹ものうさぎが来店している。mixiで開設されている、うさぎカフェのコミュニティもおよそ1,500名が参加しているという賑わいぶりで、若い女性や親子連れを中心に全国からうさぎファンが足を運んでくれるのだとか。うさぎはほとんど鳴かないし、飼うのもそれほど難しくないので、都内でも飼っている人は結構多いらしい。
いろいろな角度からのくっきーくんただ、うさぎカフェとは言っても、あくまでうさぎを同伴できる喫茶店。以前紹介した猫喫茶のように、店内に毎日何匹もいるわけではなく、くっきーくんも週末はお休みとなるので、来店を希望する人はその点だけご注意いただきたい。この夏からは夜にゆっくりとお酒なども楽しめる予約制のうさぎバーもスタートし、なかなか好評だとか。
さて、店内の取材や撮影もあらかた終了。うさぎカフェ特製のホットケーキを食べている土方嬢の機嫌の良さそうなタイミングを見計らって、私は神妙な面持ちで相談を切り出した。今回の鎌倉行きに際し、どうしても取材しておかなければならない場所がもう1カ所あったのだ。
野口「大変恐縮ですが、今回は土方さんの希望を聞いたのですから、ひとつ私のわがままも聞いていただきたい」
土方「はあ」
野口「鎌倉にはうさぎカフェとならんで、その筋には大変有名なお店がありまして、マイコミジャーナルのホビー情報担当者としてはどうしても足を運んでおきたいのです」
土方「どこですか?」
野口「武器屋です!!」
(つづく)