米アカデミー賞11部門の史上最多受賞に輝くピーター・ジャクソン監督が手掛ける『ホビット』シリーズが、今年12月13日公開の『ホビット 決戦のゆくえ』で感動のラストを迎える。大ヒット映画『ロード・オブ・ザ・リング』の60年前を描いた物語であり、本作をもって13年の歴史に幕を閉じる。完結編の公開を前に、映画の舞台である架空の世界"中つ国"のロケ地・ニュージーランドを訪れ、壮大なファンタジーの世界を体験。第3回は、同シリーズを手掛けた制作会社「WETAワークショップ」の見学ツアーに参加し、制作の舞台裏に迫る。
ニュージーランドの首都・ウェリントンにある「WETAワークショップ」と「WETAデジタル」は、ピーター・ジャクソン監督らによって設立された制作会社。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ、『ホビット』シリーズのほか、『アバター』『ナルニア国物語』などを手掛け、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ、『キング・コング』『アバター』でオスカーを獲得した。"WETA"とは、ニュージーランドの昆虫からとった名前で、"醜いモンスターを作る会社"を意味しているのだそう。
小道具や衣装、オブジェなどを手掛ける「WETAワークショップ」の見学ツアーでは、WETAの歴史や手掛けてきた作品など、映像で紹介してくれる。映像を見る部屋には、映画のキャラクターのオブジェがズラリと飾られており、獲得したオスカー像も見ることができる。そして、撮影NGのスタジオ内では、映画で使われた武器や衣装、ミニチュア、キャラクタ―デザインなどが展示されており、実際に制作に関わっているスタッフの人が制作の舞台裏を説明をしてくれる。
はじめに、『第9地区』で使われた銃を例に、小道具を制作する流れを紹介。デザインを考えるところから始まり、まずはコンピューター上でデジタルモデルを完成させ、そのデータをもとに自動的に型を作り、シリコンを流し込む。その後、色を塗り、わざと汚れや傷を付けるなど手を加えて仕上げていくという。
『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』に登場するサウロンが実際に着た衣装も展示。金属の衣装では重すぎて動けないため、金属のように見えるが実はプラスチックでできている。ただ、頭や手の部分など、一部だけ金属で作ったものもあり、アップで映る場面では金属製のものを使用したという。また、さまざまな作品で登場した刀も展示されており、実際に持って重さなどを体感することができる。
キャラクターデザインについては、キャラクターを考える時は、実在する動物などをモチーフにし、それらをじっくり調べてデザインの参考にしていると説明。『ホビット』シリーズに登場する邪竜スマウグは、コモドドラゴンやワニ、トカゲなど複数の動物を参考に作られたそう。そして、キャラクターのデザインもコンピューターで作るため、監督との話し合いの中で出てきた修正点にもすぐ対応できるという。
そのほか、映画の撮影に使われたサウロンの城のミニチュアや、アラゴルンが使っていたチェーン、特殊メイク用の肌素材なども展示。肌素材のところでは、『ロード・オブ・ザ・リング』に使用したものと『ホビット』の時に使用したものを比較でき、『ホビット』の時の方がよりリアルな肌へと進化していることがわかる。チェーンも、素材の違いによる重さの違いを比較でき、技術の進歩が感じられる。
さらに、WETAワークショップが手掛けてたキャラクターのフィギュアなどのグッズが買える「WETAケーブ」も併設。入り口では、『ホビット 思いがけない冒険』に登場するトロルの巨大オブジェが出迎えてくれる。店内には、ゴラムやガンダルフのオブジェ、武器などの小道具なども展示されており、映画ファンにはたまらない人気スポットとなっている。
『ホビット 決戦のゆくえ』(12月13日公開)
シリーズ完結編『ホビット 決戦のゆくえ』では、恐ろしい竜"スマウグ"から奪われた王国を取り戻すために、ホビット族のビルボがドワーフ族たちと共に繰り広げてきた冒険が、いよいよ感動のラストを迎える。サウロン率いる闇の軍勢、仲間同士の対立など、最大の危機を迎える中、ビルボは自分を犠牲にし、仲間の命を守るために究極の決断をする。世界を二分する決戦のゆくえは果たして。
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