米アカデミー賞11部門の史上最多受賞に輝くピーター・ジャクソン監督が手掛ける『ホビット』シリーズが、今年12月13日公開の『ホビット 決戦のゆくえ』で感動のラストを迎える。『ロード・オブ・ザ・リング』の60年前を描いた物語であり、本作をもって13年の歴史に幕を閉じる。完結編の公開を前に、映画の舞台"中つ国"のロケ地・ニュージーランドを訪問。第10回は、クイーンズタウン発着の4WD(四輪駆動)ツアーで、サルマンの本拠地やボロミア終焉の地を巡る。
4WDでクイーンズタウン周辺のロケ地を巡るツアーは、1日2回開催されている人気のツアー。クイーンズタウンからワカティプ湖畔沿いを進み、さらに北上すると、さまざまな映画のロケ地として使われている絶景スポット、パラダイス(地名)にたどり着く。そこには、『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』で描かれきた"中つ国"の世界が広がっている。
雪をかぶった美しい山々に囲まれたダート川付近で撮影されたのが、魔法使いサルマンの本拠地・アイゼンガルド。この景色と、WETAワークショップに保存されているサルマンの塔・オルサンクのミニチュアを合成し、映画のシーンが作られた。サルマンの部下たちを全滅させた大洪水のシーンや、ガンダルフがサルマンに助言を求めに馬を走らたシーンなど、重要な場面で登場した場所であり、眺めていると名シーンがよみがえってくる。
アイゼンガルドと同じエリアにある、高原牧場として利用されているアルカディア・ステーションは、『ホビット 竜に奪われた王国』で、熊に姿を変えられるビヨルンの家が建てられた場所。オークの一群に追われたホビットたちが逃げ込んだ家で、人間の姿に戻ったビヨルンが「ドワーフは嫌いだ。でもオークはもっと嫌いだ」と語ったあのシーンが撮られた。
この地で牧場を営み、さまざまな撮影に協力してきたヴェイント夫妻は、ビヨルンの家について「ドワーフとホビットが小さく見えるように、大きなセットが作られた」と振り返る。『ラブリーボーン』『ウルヴァリン』『ナルニア国物語』などの映画のほか、日本のファンタのCMもここで撮影されたそう。夫妻は「映画の撮影になるとトラック100台くらいで来る。いろいろな撮影を経験し、クイーンズタウン全体がロケ対応に慣れてきた」と語ってくれた。
ダート川では、『ロード・オブ・ザ・リング』の舞台を感じられる大自然の中を快走する、ジェットボートも体験できる。美しい山々、川沿いの緑、そして、底まで透き通って見える透明度は感動もの。『ホビット 竜に奪われた王国』で、樽に入って川を下るビルボとドワーフになった気分で、川から"中つ国"の世界を感じることができる。
そのほか、ボロミアがウルク=ハイに撃たれ、最後にアラゴルンと言葉を交わした場所や、ワーグとの戦いでアラゴルンが崖から落ちた場所が遠くに見える25マイル・クリーク、そして、12マイル・デルタには、サムとフロドがオリファントを見た場所や、フロドとサムとゴラムがキャンプを張っていた場所、フロドがボートに乗って逃げる場所があり、遠くに霧降山脈として撮影されたアーンスロー山も見ることができる。
『ホビット 決戦のゆくえ』(12月13日公開)
シリーズ完結編『ホビット 決戦のゆくえ』では、恐ろしい竜"スマウグ"から奪われた王国を取り戻すために、ホビット族のビルボがドワーフ族たちと共に繰り広げてきた冒険が、いよいよ感動のラストを迎える。サウロン率いる闇の軍勢、仲間同士の対立など、最大の危機を迎える中、ビルボは自分を犠牲にし、仲間の命を守るために究極の決断をする。世界を二分する決戦のゆくえは果たして。
(C)2014 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.