米アカデミー賞11部門の史上最多受賞に輝くピーター・ジャクソン監督が手掛ける『ホビット』シリーズが、今年12月13日公開の『ホビット 決戦のゆくえ』で感動のラストを迎える。大ヒット映画『ロード・オブ・ザ・リング』の60年前を描いた物語であり、本作をもって13年の歴史に幕を閉じる。完結編の公開を前に、映画の舞台である架空の世界"中つ国"のロケ地・ニュージーランドを訪れ、壮大なファンタジーの世界を体験。第1回は、フロドやビルボが住むホビットの家のセットが残されているホビット庄「HOBBITON(ホビトン)」を紹介する。
「"ホビット庄"に初めて足を踏み入れた時のことは忘れられません。遠い昔を懐かしむように様々な感情がこみ上げてきて、胸がいっぱいになりました」。フロドを演じたイライジャ・ウッドがこう振り返るホビット庄は、ニュージーランドのマタマタ郊外に位置。1998年に、ピーター・ジャクソン監督がヘリコプターで飛びながら『ロード・オブ・ザ・リング』のロケ地を探していた時に、アレキサンダー家の農場に白羽の矢が立った。
緑に囲まれた美しい湖のほとりには、映画で"パーティーツリー"と呼ばれる大きな松の木が立ち、監督は、トールキンが原作中で描いたホビットの故郷・シャイアを創造するのに完璧な場所だと惚れ込んだそう。そして、9カ月の建設期間を経て、ホビットの家や庭、橋などを完成させ、ホビット庄が誕生した。
『ホビット 思いがけない冒険』に登場するホビット庄のシーン |
通常、映画のセットは撮影終了後に撤去する。ホビット村も『ロード・オブ・ザ・リング』終了時に撤去されたが、大雨が降って完全に撤去できず、少し残ったセットでアレキサンダー家が2005年にロケ地ツアーをスタートさせた。その後、2009年に『ホビット』シリーズのためにセットが再建され、今度はセットをそのまま残すことに。撮影後に残っている世界一大きな映画セットとしては、多くの観光客が訪れる人気スポットとなった。
1万3,000匹の羊と牛が暮らす広大な敷地内を進んでいくと、ホビットの家がある映画セットの場所に到着。ガンダルフとフロドが再会した道を抜けると、ホビットたちが暮らす世界が広がり、丘の中腹には、黄色や緑、青などカラフルな扉のホビット穴が44戸ある。ホビットの世界観をより伝えるため、撮影終了後にさらに手が加えられており、ハチミツ売りのホビットの家にはハチミツが、アーティストの家には絵の具が飾られるなど、細部までこだわっている。
ビルボとフロドの家である緑の扉の"袋小路屋敷"は丘の上の方にあり、ビルボが座っていたベンチや、入り口の"no admittance"の看板など、映画で見たまま残っている。外からはダイニング、キッチン、リビングの窓が見られ、屋敷の上には、シリコンとスチールでできているセット内で唯一の人工の木が立つ。また、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』のラストとして印象的な、赤ちゃんを抱いたロージーがサムを迎えるシーンに登場した、黄色の扉のサムの家もある。
そして、映画でビルボの111歳の誕生パーティーが行われた野原"パーティーフィールド"には、テントや装飾が設置され、樹齢約100年という松の木"パーティーツリー"が堂々とした存在感を放っている。湖の対岸には、フロドたちがビールを飲んでいたパブ「グリーンドラゴン」があり、ジンジャービールやアップルサイダーなど、ここにしかないオリジナルの飲み物が味わえ、毎週水曜日に開催している夜のツアー参加者は、グリーンドラゴンで食事も楽しめる。なお、ホビット庄の夜のライティングは今年6月から始まった。
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(C)“Hobbiton Movie Set Tours” for Hobbiton
『ホビット 決戦のゆくえ』(12月13日公開)
シリーズ完結編『ホビット 決戦のゆくえ』では、恐ろしい竜"スマウグ"から奪われた王国を取り戻すために、ホビット族のビルボがドワーフ族たちと共に繰り広げてきた冒険が、いよいよ感動のラストを迎える。サウロン率いる闇の軍勢、仲間同士の対立など、最大の危機を迎える中、ビルボは自分を犠牲にし、仲間の命を守るために究極の決断をする。世界を二分する決戦のゆくえは果たして。
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