高速道路の壁面緑化は、遮音壁の前面やコンクリートの壁面にツタなどの植物を用いて緑化したものです。

壁面緑化は、コンクリートや金属などの硬い印象を和らげるとともにCO2の排出を抑え、ヒートアイランド現象や地球温暖化など環境負荷を軽減させる働きがあります。

ツタが壁面緑化に適している理由とは?

NEXCO東日本の管内では京葉道路:穴川IC~貝塚ICなどの壁面緑化に甲子園の「ナツヅタ」を使っています。

ツタのなかでも「ナツヅタ」は成長が早く手間もかからなくて、吸盤で壁を這い上がるのが特徴です。そのため、壁面を緑化するのに適しているのです。

「ナツヅタ」は、ブドウ科の落葉性つる植物で、吸盤になった巻きヒゲをのばし壁などに付着して上へ伸びる特性を持ちます。春の新緑や夏の深緑、秋の紅葉と、四季折々の高速道路の景観が楽しめ、秋には黒い実をつけます。

京葉道路は両サイドの壁面にツタで覆い、遮音や環境負荷を軽減

一方のNEXCO中日本や西日本でも同じような取り組みが行われています。NEXCO西日本では、盛土のり面やインターチェンジの園地に木を植えることにより、樹木林を推進、3,000ha以上の樹木を整備しています。また、壁面のツタや樹木などの植栽以外に、「資源の3R」の観点から間伐材にも取り組み、健全な樹木形成を促進しています。

甲子園のツタJr.から自家生産

甲子園の「ナツヅタ」から1月頃に種子を採取し、1年かけて育てたのち高速道路の壁面緑化として植え付けを行います。滋賀県湖南市にある「NEXCO総研 緑化技術センター」で、昭和46年から平成14年2月まで約43万本を生産し、全国の高速道路に出荷していました。

昨今では市場で「ナツヅタ」の調達が可能となったため生産が終了しています。

甲子園の「ナツヅタ」を採用するようになったきっかけは、当時「ナツヅタ」の市場が少なく、多くの種子を集めるのにたいへん苦労していました。

そんななか、甲子園の「ナツヅタ」に着目し、種子の提供をお願いしたところ承諾を得ることができ、当時は、毎年3万~9万粒の種子を採取していたのです。

「ナツヅタ」は種子が小さいため、甲子園での種子採取や選別、果実の除去作業にとても手間がかかっていたそうです。