地震大国と呼ばれる日本では、建築物の耐震強度を高めることは常に重視されてきました。近年では道路についても、日常的な通行の安全性確保を当然の前提としながら、災害時にはライフラインの一つとなることから、耐震補強が課題になっています。
さらに、高速道路に関しては阪神淡路大震災において、阪神高速道路が甚大な被害を受けたことを教訓に、NEXCO各社は道路だけでなく橋梁の耐震補強にも力を注いでいます。
厚さ250mmのコンクリートで橋を補強
地震などの災害で橋梁部に甚大な損害が生じた場合、復旧には土工部(土を掘り、運び、盛り固めるなどの基礎的な作業)より多くの時間や費用がかかります。
NEXCO東日本では、阪神淡路大震災を教訓にして、災害に強い高速道路ネットワークを構築するため、多くの橋梁にRC(鉄筋コンクリート)巻立工法という耐震補強を行っています。これは既設の橋梁周囲に鉄筋を巻き、その上から厚さ200~250mm程度のコンクリートを巻き立てて補強するものです。
東日本管内には開通から30年以上経過した東北道や常磐道がありますが、いずれも補強工事が一通り完了していたため、2011年3月11日に発生した東日本大震災でも、倒壊や落橋などの甚大な損傷はなく、早期復旧につながりました。
「百年道路」計画
NEXCO中日本の管内では、供用後30年を経過する道路が全体の約7割を占めており、適切な点検と集中的な補修・補強といった、高齢化する高速道路ネットワークの長期的な保全事業の推進が急務となっています。
国民生活に必要不可欠な高速道路を健全な状態で百年以上維持するという「百年道路」を目指し、対症療法的な「事後保全」から「計画保全」への転換を推進しています。
「百年道路」計画の着実な実行に向けて、橋梁の耐震補強、盛土補強対策など災害に強い道路づくり計画的に取り組んでいます。
災害に強い高速道路を
NEXCO西日本でも、東日本大震災の経験を踏まえて、津波を含めた自然災害による被害想定と災害復旧対策の見直しを行うとともに、地域や関係機関との連携強化により、防災機能を高め、災害に強い高速道路を目指しています。また、高速道路は地震などの自然災害が発生した場合、救援活動に重要な役割を担う道路として位置付けられており、橋脚の耐震補強を積極的に進めるとともに、さらなる耐震性の向上を目的とした検討を進めています。
大規模地震時にも緊急輸送路として機能を十分発揮できるよう、橋脚などの耐震補強工事を行っています。
備えることは、たゆまぬ努力であり、挑戦でもあるのです。