一見普通の白シャツが、ハイブランドでは10万円で販売される理由……あなたは説明できますか? この連載では、ハイブランドと呼ばれるアパレルブランドが「ハイブランドたる所以」をわかりやすく解説していると話題の書籍『教養としてのハイブランド フツーの白シャツが10万円もする理由』(とあるショップのてんちょう 著/彩図社 刊)から一部を抜粋して紹介していきます。

  • 『教養としてのハイブランド フツーの白シャツが10万円もする理由』(2090円/彩図社)

今回は現代社会ではおなじみのジーンズに注目。ヴィンテージモデルが高値で取引されるブランド、リーバイスの誕生に迫ります。


現在、ジーンズの三大ブランドと言いますと、「リーバイス」「リー」「ラングラー」の3つが挙げられます。

その中でもジーンズの元祖と言われているブランドが、ご存知「リーバイス」です。ジーンズの誕生の歴史とは、ほとんどリーバイスの誕生の歴史と同じと言っても過言ではありません。

  • 定番モデル リーバイス501

リーバイスは1853年に創業したブランド。当時は「ゴールドラッシュ」と呼ばれる、金脈を探し当てて一攫千金を狙う人々が溢れていた時代でした。

よくビジネス書なんかでは、「ゴールドラッシュでお金持ちになったのは、砂金を掘り当てた人ではなく、掘るための物を提供した人だ」なんて言われますが、リーバイスを創業したリーヴァイ・ストラウスは、まさに採掘者たちにデニム生地のワークパンツを売った人でした。

そんなリーヴァイ・ストラウスに、とある話が持ち掛けられます。その内容は、「リベットでポケットを補強する」というアイデアの特許を、協同で申請しないかというものでした。

この申請が晴れて受理されたのは、1873年5月20日のこと。世界で初めてジーンズが誕生した瞬間です。

実はジーンズがジーンズたる所以は、ブルーのデニム生地でも特徴的なファイブポケットでもなく、ポケットを補強するリベットにあるんですね。

その後「ツーホースマーク」と呼ばれるレザーパッチや「アーキュエイトステッチ」など、それがリーバイスのジーンズである、と一目で分かるような特徴が付け足されていき、迎えた1890年。ロットナンバー「501」が誕生しました。かの有名なジーンズの元祖「501」です。

この501という名前は、初めはただの品番として扱われていたのですが、現在は商品名として使われ、商標登録もされていますね。

こうして誕生したジーンズですが、1950年代にマーロン・ブランド、そしてジェームス・ディーンといった名俳優が映画で着用したことがきっかけとなり、そのイメージは大きく変化します。

  • 「Lee」のデニムを履くジェームス・ディーン

彼らには、共通点がありました。社会に対して反抗的なキャラクターを演じたこと、そして当時の若者たちのヒーローになったことです。

労働用のパンツとして生まれたジーンズは、映画をきっかけに若者に愛され、反体制・不良のシンボルとして日常に浸透していくことになりました。

『教養としてのハイブランド フツーの白シャツが10万円もする理由』(2,090円/とあるショップのてんちょう 著/彩図社 刊)

ファッションが楽しくなる、やさしい服飾史の本! アパレル業界に身を置き、YouTubeにて情報発信も行う著者による初の著書で、ディオールやサンローランといった老舗メゾンから、SacaiやAURALEEといった最新ブランドまで幅広く解説している。