このコラムの第1回目で自己紹介したように、僕の専門はハーブです。このコラムを読んでいる皆様にも是非ハーブの素晴らしさを知り、ハーブを日常生活に取り入れていただけたらと思い、今回のテーマは"ハーバルライフのすすめ"としました。

僕がはじめてハーブと出会ったのは、1960年代の米国・ロサンゼルスです。当時はベトナム戦争中で、ヒッピー達が「自然に帰れ!」と自然への回帰を提唱した"Return to nature"運動がまっさかり。この運動にかかわっていた人達の多くが、穀物や豆類、果物などを中心に摂取する菜食主義を取り入れていたこともあって、ハーブが注目されるようになりました。1968年に大ヒットしたサイモン & ガーファンクルの『スカボロー・フェア(Scarborough Fair)』の歌詞にも「パセリ、セージ、ローズマリーにタイム」とハーブが登場しています。

僕はアート関係の学校に留学していたため、僕の学友は"ヒッピーもどき"がほとんど。ですから、僕もその影響を大いに受けました。彼らの家に行くと、必ずといって良いほどハーブが栽培されており、日本ではお目にかかったことのないハーブの不思議な香りや味、色に僕はすっかり魅了されたのです。それから数十年。世界各地を巡り、先人達が残してくれたハーブの素晴らしさを、一人でも多くの方々に伝えようとしているのが現在の僕です。

前置きが長くなりましたが、ハーブを生活に取り入れ、暮らしと健康に役立てる一番簡単な方法は、"ハーブティー"です。

写真のティーポットに入ったティーは、レモングラスとレモンバーム、アップルミントのブレンドティー。長寿を目的にして日常的に飲む場合は、レモンバームとレモングラス、アップルミントを2:1:1の割合でブレンドする

数あるハーブティーの中でもお勧めなのが、レモングラスとレモンバーム、アップルミントのブレンドティー。このブレンドティーは心身をリフレッシュさせる作用があるので、寝起きの悪い人のモーニングティーに最適です。レモングラスは、エスニック好きの方ならご存知のタイ料理「トムヤムクン」には無くてはならない材料で、血液をサラサラにする効果があります。

レモングラス

レモンバームとアップルミント

レモングラスと同じくレモンの名のついたレモンバームには、レモンなどに含まれる精油成分「シトラール」や苦味質、コハク酸などが含まれており、血管の壁を丈夫にしたり、血液の流れをよくする効果があると言われています。ですから、脳や心臓の病気を予防したり、脳を明晰にするので記憶力もよくなるそうです。また、ヨーロッパでは「長寿のハーブ」と呼ばれ、昔から珍重されています。

レモンバーム

アップルミント

爽やかなリンゴの香りが広がるアップルミントは、数あるミントの中でもハーブティー用としてお勧めのミント。ミントは地球の温帯地域に600種類以上あると言われています。クールミントやスペアミントなど聞きなれた種類も多く、チューインガムや歯磨き粉の香料としてもお馴染みです。ミントに含まれるメントールなどの成分は、集中力の低下や眠気を覚ます効果があるので、寝起きの悪い方にもお勧めです。さらに、妊娠中のつわりを緩和する効果もあります。

このレモングラス・レモンバーム・アップルミントの3点セットを大きめのプランターに寄せ植えして、モーニングティーとして常飲すれば、あなたは毎日、すがすがしい朝を迎えることができますよ! 今なら、どのハーブも園芸店で購入できます。育て方はいたって簡単で、水やりさえ忘れなければスクスクと育ちます。

ハーブ&おいしい野菜塾のゴーヤが結実しはじめました

緑のカーテン用に植えたゴーヤに実がなりました。採りたてのゴーヤは黒酢に漬けると美味しいので、ここで紹介しましょう。

〈作り方〉
  1. ゴーヤを縦に半分に切って、中のタネを取り、2mm位の薄切りにします。
  2. (1)を軽く塩もみした後、黒酢と醤油を2:1の割合で合わせたものをかけ、冷蔵庫で1〜2時間寝かせれば完成。

また、前回紹介したバジルですが、耐寒性がありません。梅雨空に覆われるこの時期は、ウィルス病などにかかりやすいので、なるべく気温が20度以上ある場所にプランターを移してあげてください。次回は「ハーバルライフのすすめ PART 2」をお送りします。 ではまた……

(イラスト:押金美和)