みなさんは「緑のカーテン」という言葉をご存じですか? 地球温暖化やヒートアイランド現象の防止策として日本全国に広がっているもので、板橋区立高島第五小学校の菊本るり子教諭が始めた試みです。陽のあたる教室の窓外のベランダにネットを張り、そこにヘチマやゴーヤ、アサガオなどのツル性植物をからませることで、教室の室内温度が6℃も下がったという報告もあるそうです。

この「緑のカーテン」は家庭にも応用できます。昨年、私の母親の部屋(我が家の2階)のベランダにネットを張り、そこに大型のプランター2台を設置して、ヘチマとゴーヤ、朝顔、夕顔を植えました。当初母親は「(ベランダに)布団を干す場所がなくなる」と反対していましたが、ゴーヤや朝顔のツルがネットにからみ、"緑のカーテン"が広がりはじめると「直射日光が部屋に入ってこなくなって (暑さが軽減され)、窓を開けていられるので風通しもよい。それにエアコンいらずで気持ちがいい」と満足げな様子で話しておりました。さらに朝顔や夕顔の花が咲き始めると「まあきれい」とおおはしゃぎ! ですから、エアコンが嫌いな方や電気代を節約したい方には、この「緑のカーテン」を作ることをお勧めします。

ヘチマやゴーヤは水が大好き!

ヘチマやゴーヤは熱帯生まれ。大雨の降る地方からやって来た植物なので水が大好きです。ですから真夏などには、朝晩水やりしないと萎れてしまいます。それほど、植物が根から吸い上げた水を葉から水蒸気として出す「蒸散作用」が強いので、液体が気体に変わる時に周囲から熱を吸収して、周囲の温度を下げる効果も高く、緑のカーテンに使う植物として適しています。

ベランダにネットを張り、ゴーヤ苗を植え付けた、ハーブ & おいしい野菜塾のプランターコースの塾生たち

緑のカーテンの作り方

ヘチマやゴーヤで「緑のカーテン」を作る場合は、大型のプランターが必要です。プランターの大きさは85(W)×35(H)×35(D)cm以上が望ましいと思います。培養土は赤玉土の中粒と赤玉土の小粒、腐葉土、完熟堆肥を2:2:4:2の割合でブレンドします。今の時期はヘチマやゴーヤの苗が園芸店に置かれていません。ですが、自分で種まきをすれば、すぐに発芽して、8月には緑のカーテンが完成するでしょう。なお、肥料は1週間に一度くらい、600倍から1,000倍に薄めた液肥(実もの野菜用)を与えるとよいと思います。

一方、朝顔や夕顔、フウセンカズラなどで作る場合は、普通サイズのプランターがあれば十分。土は市販の園芸用土を使用すると便利です。朝顔や夕顔は今が苗の出荷の盛りですので、園芸店へ行けば朝顔や夕顔の大苗が手に入るでしょう。

1つのプランターに定植する苗数(大型プランターの場合)は、ヘチマは2苗、ゴーヤは3苗、朝顔は5苗、夕顔は4苗が適当です。植えた時は、苗と苗との間の株間が広すぎるように見えますが、それ以上苗を植えると植物のツルが長く伸びません。ツルを這わせるためのネットは園芸店で販売されているキュウリ用ネットが適しています。

緑のカーテンで収穫も楽しむ

今回は「緑のカーテンでエコライフ」のお話をしました。ゴーヤは葉が茂るのが早く、すぐに実がなります。この記事が掲載された1カ月後には、実が収穫できると思いますので、その頃にまた報告いたします。

前回植えたトマトのその後

ところで、前回のコラム「続・トマトとバジルのおいしい関係」で定植したトマトがもう結実しましたのでお知らせします。トマトは1カ所に4~5個から十数個の実がなります。ミニトマトの場合はそのままで構いませんが、大玉のトマトの場合は、生育途中の実を摘み取って減らす「摘果」の作業が必要です。

ここで、甘くておいしいトマトを作るコツを伝授しましょう。多分みなさんは、トマトが可愛くて毎朝お水をタップリ与えていることかと思います。僕も以前はそうでした。しかし、これは大きな間違いなのです。

僕の尊敬する農法指導者、永田照喜治先生は「葉が萎れかけてくるまで水を与えないこと」が原則だとおっしゃっています。つまり、ギリギリまで水を与えないのが、糖度の高いトマトを作るポイントなのです。トマトの原産地はアンデス山脈の海抜2,000m当たりの高地で、降雨量の少ない乾燥した場所ですから、この方法は非常に理にかなっています。

また、関東地方は梅雨入りしましたが、トマトの原産地の環境を考えると、この時期の雨はトマトにとって大敵です。雨がトマトに当たると果実が裂果したり、ウドンコ病などの病気にかかる要因になります。ですから、トマトを植えたプランターを雨の当たらない場所に移動させるか、透明のビニール傘で雨よけをしてください。

おいしいトマト作りには追肥も大切です。1週間に一度くらい600倍から1,000倍に薄めた液肥(実もの野菜用)を与えると、おいしいトマトが収穫できます。それでは梅雨寒(つゆざむ)や暑さに負けずお元気で!

(イラスト:押金美和)