「トマトとバジルのおいしい関係」とタイトルしましたが、欧米のコンパニオンプランツ実践者にその代表は?と訊ねれば「それは、トマトとバジルである」と答えが返ってくるほど代表的な組み合わせです。とにかくトマトの脇にバジルを植えると、お互いの病害虫が防げ、かつ美味しくなるという不思議な関係!まさに共に栄える(コンパニオン)植物関係なんです。

それでは早速トマト&バジルのプランター栽培にとりかかりましょう。トマトにはミニトマトとピンポン球大のミディトマト、コブシ大の大玉トマトがあります。日本人はトマトを生食することが多く、調理用トマトはあまり馴染みがありませんが、イタリア料理のブームで、調理用トマトも人気が出てきました。どの種類もプランターで栽培することが可能ですが、まず手始めにミニトマトにトライしましょう。

まず苗の購入が必要ですが、トマト苗販売は今がギリギリ!今日にでも大きな園芸店を駆け回って手にいれてください。ミニトマト苗は「千果」とか「アイコ」とか可愛らしい名前がついたものが多くあります。色も赤系、ピンク系、黄色系やグリーン系などがあります。

初心者の苗選びのポイントは「接ぎ木苗」を購入することです。接ぎ木というのは、野菜では果菜のトマト、ナス、ウリ類に用いられる方法で、耐病性のある台木に本体の穂木を接いだものです。強い台木に接ぐことで、病気だけでなく線虫などの害虫にも強く、実生苗よりも生長や結実が早いのが特徴です。実生苗に比べるとやや割高ですが、接ぎ木苗の購入をおすすめします。接ぎ木苗は、苗のポップに接ぎ木苗と書いてあるか、根元の接いだ場所にプラスチックのリングがついています。スイートバジルの苗は、これからが出荷本番なので手に入れやすいでしょう。

苗が手に入ったら次はプランターの購入です。ベランダで野菜のプランター栽培をする人が増えたせいか、野菜用のプランターの新製品が沢山出回っています。ベランダ栽培の場合は負荷がかかりすぎると問題なので、軽いプラスチック製品がよいでしょう。ミニトマト1苗にバジル2苗を寄せ植えする場合は、35(W)×30(H)×35(D)cmの大型・深型・野菜用プランターがのぞましく、ミニトマト2苗にバジル4苗を植える場合は、85(W)×35(H)×35(D)cmが必要です。

ハーブ&おいしい野菜塾の授業では85(W)×35(H)×35(D)cmのプランターを使いました

プランター栽培には培養土が必要です。今は植物別にブレンドされた培養土が市販されていますが、ハーブ&おいしい野菜塾(以下、野菜塾)では、野菜ごとに異なったブレンドをしています。トマトのような果菜類の場合は、赤玉土中粒2:赤玉土小粒2:腐葉土4:完熟堆肥2をブレンドします。そして、全体が同じ手触りになるように、愛情をこめて混ぜ合わせます。

次は培養土のpH調整です。pHは皆さんが中学校の理科の時間で習ったと思いますが、酸性を計る基準で14段階あり、pH7が中性でそれより6〜1と数値が下がるほど酸性にかたむき、8~14と上がるほどアルカリ性を示します。たいていの野菜類はpH5.5〜6.5の弱酸性を好みますが、地中海沿岸原産のハーブのタイム、セージ、ローズマリーなどは弱アルカリ性を好むので注意が必要です。

トマトとバジルの場合は、pH6〜6.5が適当なpHです。今回の培養土のブレンドには赤玉土を40%使っています。赤玉土はpHが5.5位の酸性を示しますので苦土石灰を培養土に加えて中和する必要があります。85(W)×35(H)×35(D)cmのプランターの場合は半カップ位の苦土石灰を培養土全体に混ぜてください。

最後は肥料です。野菜作りには肥料は欠かせません。本格的ボカシ肥料の作り方などは今後伝授するつもりですが、今回は市販の肥料を使いましょう。元肥には、N:P:K=8:8:8の化学肥料を培養土1リットル当たり4グラム施します。油粕や鶏糞を混ぜた有機質肥料の場合は、商品の袋に書いてある適量を施してください。

培養土をブレンドして、石灰で中和して、元肥を施したら、苗の植え込みは、1週間待ってください。すぐに植えると石灰や肥料の化学反応で苗の根を傷めてしまします。購入したトマトとバジルの苗は、1週間水やりを忘れないように愛情をもって管理してください。

それでは次回は「続・トマトとバジルのおいしい関係」をお送りします。

イラスト:押金美和