東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+472円06銭となりました。

今週の高値は9月9日(水)の1万8770円51銭、一方、安値は9月8日(火)の1万7415円61銭。高安の値幅は1354円90銭でした。9日(水)の日経平均株価(終値)は1万8770円51銭(+1343円43銭)となり、上げ幅は21年7カ月ぶり、歴代で6番目の大きさとなっています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

9月7日(月)の東京株式市場は反発しました。前週末に発表された8月分の米雇用統計は非農業部門雇用者数が予想を下回ったものの、失業率は2008年3月以来の低水準となり、強弱まちまちの結果となるなか、ダウ工業株30種平均株価、S&P500種株価指数は下落しました。その流れを引き継いだ週明けの東京市場も続落でスタートし、日経平均株価は上海市場が始まる午前10時30分をはさんだ高安の値幅が534円になるなど、乱高下の激しい相場展開となりました。上海総合株価指数がプラスに転じると、日経平均株価もじわじわと上昇し、後場はプラス圏で推移する場面も多く、結局、+68円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、倉庫、自動車、水産、電気・ガス、空運、鉄鋼など17業種が上昇。一方、ガラス・土石、不動産、食品、その他金融、保険、証券など15業種が下落。銀行は変わらず。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

8日(火)の東京株式市場は反落しました。前日の米国市場が休場となるなか、東京市場の寄り付き前に発表された4-6月期GDP改定値が前期比年率-1.2%となり、速報値(-1.6%)から上方修正されことを受けて、東京市場は朝方に買いが先行しました。ただ、買い一巡後はマイナスに沈み、昼休み中に発表された中国の8月分の貿易統計が輸出入ともに市場予想を下回ったことから、後場の日経平均株価は一段安の展開となりました。またメジャーSQを控え、ポジション調整の売りも入りやすく、結局、大引けの日経平均株価は-433円と、昨年の大納会の終値(1万7450円77銭)を下回り、今年の上昇分を打ち消す形で取引を終えました。TOPIX業種別株価指数は、鉄鋼、紙・パルプ、非鉄、石油・石炭の4業種が上昇。一方、医薬品、食品、小売、保険、陸運、その他製品など29業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

9日(水)の東京株式市場は反発しました。前日の米国市場が大幅に上昇した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行しました。為替相場がやや円安に振れ、上海市場も堅調に推移したことから、輸出関連銘柄を中心に幅広い銘柄に買いが広がりました。後場に入ると、日経平均株価の上げ幅は1000円を超え、大引けにかけて一段高となり、日経平均採用銘柄の全225銘柄が上昇しました。結局、大引けの日経平均株価は高値引けの1万8770円51銭(+1343円43銭)となり、上げ幅は政治改革関連法の成立で大幅上昇した1994年1月31日(1471円24銭)以来、21年7カ月ぶり、歴代では1990年8月15日(1439円59銭)に次ぐ6番目の大きさとなっています。TOPIX業種別株価指数は、薬品、保険、その他金融、証券、ゴム、非鉄、倉庫など全33業種が上昇。日経平均株価、TOPIXともに大幅に反発しています。

10日(木)の東京市場は反落しました。前日の東京市場が歴史的な急騰記録となったものの、欧州や米国への波及効果は薄く、米国市場では好調な経済指標から利上げが再認識され、ダウ工業株30種平均株価は-239ドルとなりました。その流れを引き継いだ東京市場も朝方から売りが先行し、利益確定売りが広がりました。前場の日経平均株価は一時、-814円となる場面もありました。その後、後場に入ると売りが一巡し、前場の日経平均株価の高安の値幅(464円)内で膠着状態となり、結局、-470円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は建設、海運、繊維の3業種が上昇。一方、鉱業、保険、石油・石炭、食品、自動車、医薬品など30業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

11日(金)の東京株式市場はまちまちの展開となりました。前日の米国市場は上昇したものの、東京市場は朝方から売りが先行し、その後、日経平均株価は前日の終値をはさんで上下する展開となりました。週末に中国で発表される小売や不動産に関する経済統計、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を前に、積極的な売買は手控えられ、方向感に乏しい流れとなりました。後場に入ってからも、様子見気分が漂い、日経平均株価はプラスとマイナスを行ったり来たりしながら、結局、-35円で大引けを迎えています。TOPIXとJPX日経インデックス400は小幅に反発しました。TOPIX業種別指数は小売、水産、不動産、その他金融、証券など16業種が上昇。一方、石油・石炭、電気・ガス、鉄鋼、保険など17業種が下落。日経平均株価は続落、TOPIXは反発となっています。

来週の予定です。9月13日(日)には、中国で8月分の工業生産高、小売売上高、1月~8月の固定資産投資、不動産投資が発表となります。14日(月)、15日(火)には、日銀金融政策決定会合が開催されます。また、14日(月)には、7月分の鉱工業生産指数の確報値が発表される他、東芝が4月~6月期決算を発表します。16日(水)には8月分の訪日外国人客数が発表となります。17日(木)には8月分の貿易統計が発表され、米国ではFOMCの結果発表、イエレンFRB議長の記者会見が開かれます。18日(金)には8月分の全国百貨店売上高が発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。