東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-166円36銭となりました。
今週の高値は7月2日(木)の2万601円73銭、一方、安値は6月29日(月)の2万93円16銭。高安の値幅は508円57銭でした。週初の6月29日(月)には日経平均株価、TOPIXいずれも今年最大の下げ幅を記録したものの、その後は4日続伸の展開となっています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
6月29日(月)の東京株式市場は3日続落しました。前週末にギリシャへの支援協議が決裂し、ギリシャの債務不履行への懸念が強まったとしてリスクオフの流れが広がるなか、為替市場で一気にユーロ安・円高が進みました。東京株式市場も寄り付きから全面安となり、日銀のETF買い期待も支えにならず、日経平均株価は一時、-613円と大幅安となる場面もありました。終始、全面安の展開となるなか、結局、日経平均株価は-596円、TOPIXも-42.21ポイントと、いずれも今年最大の下げ幅となりました。東証1部の値下がり銘柄数は1821銘柄と、東証1部全体の96.5%を占め、データが残る97年2月3日以降で最多となっています。
TOPIX業種別株価指数は全33業種が下落。下落率上位はガラス・土石、保険、その他製品、銀行、ゴム、不動産など。
日経平均株価、TOPIXともに3日続落となっています。
6月30日(火)の東京株式市場は反発しました。ギリシャ情勢の緊迫化で、前日の欧米市場は急落しました。その後の東京市場は、前日の大幅安で織り込み済みとされ、朝方から買いが先行しました。為替市場でユーロ円相場が落ち着いた展開となっていたことから、日経平均株価は堅調に推移し、後場に入ると一段高となり、結局、+125円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、空運、小売、繊維、サービス、医薬品、紙・パルプなど24業種が上昇。一方、鉄鋼、非鉄、石油・石炭、電機、その他製品、ゴムなど9業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに4日ぶりの反発となっています。
7月1日(水)の東京株式市場は続伸しました。前日の欧州市場は小幅安、一方、米国市場は小幅高となり、まちまちに推移するなか、東京市場は朝方から買いが先行しました。寄り付き前に発表された日銀短観で大企業・製造業の業況判断DIがプラス15と市場予想(プラス12)を上回ったことも支援材料となり、日経平均株価は堅調に推移しました。2日(木)に米雇用統計、5日(日)にはギリシャの国民投票を控え、様子見ムードも強く、総じて小幅な値動きとなりました。TOPIX業種別株価指数は、証券、小売、その他金融、その他製品、建設、サービスなど22業種が上昇。一方、鉄鋼、電気ガス、自動車、食品、非鉄、ゴムなど10業種が下落。紙・パルプは変わらず。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。
7月2日(木)の東京株式市場は3日続伸しました。前日の欧米市場が堅調に推移したことから、東京市場も朝方から買いが先行しました。ギリシャ問題で、ギリシャとEUの双方が交渉再開の兆しを見せ始め、事態打開への期待も高まるなか、主力銘柄を中心に買いが広がり、日経平均株価は一時、2万600円を上回る場面もありました。ただ、後場に入ると、米雇用統計の発表を前に様子見ムードも強まり、次第に伸び悩む展開となるなか、結局、日経平均株価は+193円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、医薬品、建設、保険、その他金融、空運、陸運など27業種が上昇。一方、食品、証券、海運、鉄鋼、ガラス・土石、電気・ガスの6業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日続伸となっています。
7月3日(金)の東京株式市場は4日続伸しました。前日の米国市場が下落した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方は軟調な展開となりました。前日に発表された6月の米雇用統計の結果が市場予想を下回ったことから為替が円高に振れ、前場は相場全体に売りが広がりました。その後、為替が円安に振れると、日経平均株価も後場中ごろからプラスに転じ、終盤にかけてもしっかりの展開となり、結局、+17円で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数は証券、精密、その他金融、銀行、ゴム、紙・パルプ、食料品、海運など17業種が上昇。一方、鉱業、繊維、保険、石油・石炭、鉄鋼など16業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに4日続伸となっています。
来週の予定です。7月5日(日)には、ギリシャでEU(欧州連合)案受け入れの賛否を問う国民投票が行われます。6日(月)には6月分と1月~6月分の車名別新車販売台数、車名別軽自動車販売台数、5月分の景気動向指数速報値が発表となります。8日(水)には5月分の国際収支、6月上中旬の貿易統計、6月分の景気ウォッチャー調査が発表されます。9日(木)には5月分の機械受注統計が発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。