東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-53円82銭となりました。
今週の高値は6月8日(月)の2万544円94銭、一方、安値は10日(金)の2万16円32銭。高安の値幅は528円62銭でした。10日(水)までの日経平均株価は今年初めて4日続落を記録しています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
6月8日(月)の東京株式市場は続落しました。前週末の米国市場では5月分の雇用統計が市場予想を大きく上回ったことから為替相場でドル買いが進みました。週明けの東京市場はドル高・円安基調となるなか、寄り付き前に発表された1~3月期GDP(国内総生産)改定値の上方修正を好感し、上昇して始まりました。ただ、その後は利益確定売りが出始め、メジャーSQ算出日を前の手仕舞い売りも膨らみ、日経平均株価は前場中ごろに、マイナスに沈みました。後場に入り、序盤は日銀買い期待を背景に今一度プラス圏に浮上する場面があったものの、買いの勢いは続かず、結局、日経平均株価は-3円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、石油・石炭、その他金融、倉庫、海運、非鉄、ガラス・土石、銀行など13業種が上昇。一方、電気・ガス、空運、サービス、精密、鉄鋼、医薬品、自動車など20業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。
9日(火)の東京株式市場は3日続落しました。前日の欧米市場が下落した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から売りが先行しました。前場を通して日経平均株価の下げ幅は150円前後で推移したものの、後場中ごろになると、先物の売りにつれて一気に下げ幅が拡大しました。メジャーSQ算出日を前に、裁定解消売りも出て全面安の展開となり、日経平均株価はほぼ安値引けの-360円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、水産、石油・石炭、電気・ガスの3業種が上昇。一方、保険、ゴム、非鉄、自動車、紙・パルプ、鉄鋼、電機など30業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日続落、日経平均株価は今年初の3日続落となりました。
10日(水)の東京株式市場は4日続落しました。前日の欧米市場が軟調な展開となるなか、東京市場は買い先行で始まりました。序盤はマイナスに沈む場面があったものの、前場中ごろから後場の中ごろまでは堅調な展開となりました。ただ、後場中ごろに、黒田日銀総裁が衆議院財政金融委員会で「これ以上円安に振れることはありそうにない」と発言したとの報道が伝わると、これが円安をけん制する発言として受け止められ、為替相場では一気に円高が加速しました。1ドル=122円台の円高水準となり、円高につれて日経平均株価も一気にマイナスに沈み、一時は2万16円と2万円を割り込みそうな気配も見せました。その後、切り返す場面があったものの、勢いは続かず、結局、日経平均株価は-49円で大引けを迎えています。TOPIX業種別株価指数は、鉱業、非鉄、電気・ガス、サービス、水産、情報通信など8業種が上昇。一方、海運、陸運、空運、倉庫、繊維、化学、証券など25業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに4日続落となっています。
11日(木)の東京株式市場は5日ぶりに反発しました。前日の海外市場が上昇した流れを引き継ぎ東京市場も朝方から買いが先行しました。翌日にメジャーSQ算出を控えるなか、日経平均先物、TOPIX先物ともに6月限から9月限への乗り換え(ロールオーバー)が順調に進んでいるとの見方も多く、買い安心感から幅広い銘柄が上昇しました。後場に入ってからも日経平均株価は堅調に推移し、終盤は一段高となり、結局、+336円の高値引けで取引を終えています。TOPIX業種別株価指数は、陸運、小売、食品、非鉄、紙・パルプ、サービス、卸売など30業種が上昇。一方、鉱業、石油・石炭、繊維の3業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに5日ぶりの反発となっています。
12日(金)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場が上昇した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方は買いが先行しました。午前9時すぎに算出されたメジャーSQが2万473円83銭と高い水準となったことから、この水準が当面の上値のメドになるものと意識され、先物につれて日経平均株価も売りが膨らみました。後場に入ると、日経平均株価はマイナスに沈み、ギリシャ債務問題も懸念されるなか売り買いが交錯し、結局、+24円で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数はその他製品、精密、保険、医薬品、機械、水産など18業種が上昇。一方、ガス、紙・パルプ、空運、陸運、鉱業など15業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。
来週の予定です。6月15日(月)には、国内で6月分の月例経済報告が発表となります。16日(火)にはトヨタ自動車の株主総会が開催されます。17日(水)には5月分の貿易統計が発表され、米国ではFOMC(米公開市場委員会)の結果発表とFRB(米連邦準備制度理事会)イエレン議長の記者会見が開かれます。18日(木)には欧州でユーロ圏財務相会合が開催されます。19日(金)には国内で5月分の全国百貨店売上高の発表、日銀の金融政策決定会合の結果発表と黒田日銀総裁による記者会見が開かれます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。