東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+298円74銭となりました。
今週の高値は5月28日(木)の2万655円33銭、一方、安値は25日(月)の2万318円54銭。高安の値幅は336円79銭でした。日経平均株価は11連騰し、27年3カ月ぶりの記録となりました。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
5月25日(月)の東京株式市場は7日続伸しました。前週末の米国市場が下落したものの、為替相場ではFRBのイエレン議長の発言を受けて、年内の米国での利上げ観測が高まったことから、円安・ドル高が進みました。円安につれて東京市場は朝方から輸出銘柄中心に幅広く買いが広がり、堅調な展開となりました。後場に入ると、中ごろに首都圏で地震が発生した直後は、一気に下落したものの、その後すぐに切り返し、結局、日経平均株価は、2000年4月14日以来15年1カ月ぶりに2万400円台に乗せ、高値圏で大引けを迎えています。日経JQ平均株価、東証マザーズ指数は共に、連日で年初来高値を更新しています。TOPIX業種別株価指数は、電気・ガス、その他金融、空運、自動車、保険、機械、卸売など29業種が上昇、一方、倉庫、精密、証券、食料品の4業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに7日続伸となっています。
26日(火)の東京株式市場は8日続伸しました。前日は英国市場や米国市場などが休場だったことから、東京市場は手掛かり材料難となり、前場の序盤の日経平均株価はマイナスで推移しました。ただ、下値では買いが入りやすく、売り買いが交錯する展開となりました。後場に入ってからはプラス圏で推移する場面が多かったものの、値動きも乏しく、日経平均株価の高安の値幅は95円、TOPIXは6ポイントと小幅になっています。TOPIX業種別株価指数は、鉄鋼、空運、紙・パルプ、石油・石炭、海運、倉庫など18業種が上昇。一方、証券、その他金融、銀行、サービス、医薬品、機械など15業種が下落。日経平均株価、TOPIXは共に8日続伸、JPX日経インデックス400は8日ぶりに反落しました。
27日(水)の東京株式市場は9日続伸しました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が大幅に下落したことから東京市場も朝方から売りが先行しました。ただ、為替相場が1ドル=123円台と7年10カ月ぶりの円安水準に入ったことから輸出関連銘柄に買いが入りやすく、後場に入ると、日経平均株価はプラス圏へと浮上しました。その後はプラスとマイナスを行き来する展開が続くなか、結局、日経平均株価は9日続伸となりました。9日続伸は昨年8月11日~21日以来、約9カ月ぶりです。
TOPIX業種別株価指数は、非鉄、ゴム、繊維、自動車、電機、機械、鉄鋼など14業種が上昇。一方、海運、その他金融、鉱業、医薬品、情報・通信、その他金融、保険など19業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに9日続伸となっています。
28日(木)の東京株式市場は10日続伸しました。前日の欧州市場や米国市場が上昇した上、為替相場も円安水準で推移していることから、東京市場は朝方から買いが先行しました。日経平均株価は前場中ごろから2万600円台に乗せるなど堅調な展開となりました。ただ、後場に入り2万655円をつけた後は上げ幅が縮小し、一時はわずか1円高となる場面もありました。その後、終盤にかけて日経平均株価は持ち直し、結局、78円高で大引けを迎え、1988年2月10日~27日(13連騰)以来、27年3カ月ぶりの10連騰を記録しました。為替相場も1ドル=124円台半ばを目指す展開となり、12年半ぶりのドル高・円安水準をつけました。TOPIX業種別株価指数は、銀行、保険、ゴム、自動車、その他金融、電気・ガス、証券など17業種が上昇。一方、水産、サービス、情報・通信、非鉄、紙・パルプ、海運、卸売など16業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに10日続伸となっています。
29日(金)の東京株式市場は11日続伸しました。前日の米国市場が下落した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方は売りが先行しました。ただ、軟調な展開は長く続かず、すぐに上げに転じ、しっかりの展開となりました。後場に入ると、日経平均株価は2万600円前後でもみ合う展開となり、終盤には急速に上げ幅を縮小し、結局、11円高で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数は非鉄、鉄鋼、鉱業、空運、情報・通信、水産、その他製品」など19業種が上昇。一方、保険、医薬、証券、陸運、不動産など14業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに11日続伸となっています。
来週の予定です。6月1日(月)から東証が企業統治指針『コーポレートガバナンス・コード』の適用を開始します。1月~3月期の法人企業統計調査が発表となります。3日(水)にはECB(欧州中央銀行)理事会が開催され、ドラギ総裁が会見を開きます。米国では4月分の貿易収支が発表されます。5日(金)には米国で5月分の雇用統計が発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。