東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+305円97銭となりました。
今週の高値は3月20日(金)の1万9565円44銭、一方、安値は16日(月)の1万9226円71銭。高安の値幅は338円73銭でした。週末の日経平均株価は先週に続き、約15年ぶりの高値更新となっています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
16日(月)の東京株式市場は反落しました。前週末までの3日間で日経平均株価が3%超上昇したことから、東京市場は朝方から売りが先行しました。ただ、企業業績の好調さや相次ぐ増配、賃上げの波及を手掛かり材料に、先高感からの買いも入りやすく、日経平均株価はプラス圏で推移する場面も続きました。その後、後場に入ると、売り買いが交錯し始め、後場中ごろからは売りが優勢となるなか、結局、日経平均株価は-8円の小幅安で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数は、空運、銀行、その他製品、ガラス・土石、機械、その他金融など14業種が上昇。一方、鉱業、石油・石炭、医薬品、ゴム、電気・ガス、鉄鋼など19業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに4日ぶりの反落となっています。
17日(火)の東京株式市場は反発しました。前日の欧米市場で独DAX指数が1万2000ポイント台に乗せて過去最高値を更新した上、米国市場も上昇したことから、東京市場も朝方から買い先行で始まりました。大手企業の賃上げに伴い個人消費が改善するとの見方も強く、主力銘柄を中心に買いが広がりました。日銀が金融政策決定会合で現状維持を決定すると、買い安心感が拡大し、後場に入って一段高の展開となるなか、日経平均株価は一時、+233円となる場面もありました。終盤も高値圏で推移し、結局、日経平均株価は+190円の大幅高で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数は、電機、証券、医薬品、化学、陸運、情報・通信、鉱業など29業種が上昇。一方、紙・パルプ、鉄鋼、銀行の3業種が下落。小売は変わらず。
日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。
18日(水)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場が下落した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方は売りが先行しました。序盤は軟調な展開が続いたものの、後場に入ると、主力銘柄を中心に買いが入り始め、後場中ごろからは日経平均株価も上昇基調となりました。終盤は上げ幅が拡大し、結局、1万9500円台に乗せたまま大引けを迎えています。東証1部の大型株指数は2008年6月以来、6年9カ月ぶりに1500ポイント台をつけました。TOPIX業種別指数は、その他製品、電機、サービス、銀行、精密、証券、小売など27業種が上昇。一方、鉱業、水産、ゴム、卸売、ガラス・土石、情報通信の6業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。
19日(木)の東京株式市場は反落しました。前日のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文では「忍耐強く」の文言が削除されたものの、イエレン議長が利上げへの慎重姿勢を重ねて強調したことで、米国市場は大幅に上昇しました。一方、東京市場は足元の過熱感から売り優勢でスタートし、日経平均株価の下げ幅は一時、-231円となる場面もありました。ただ、下値では期末配当狙いの買いを始め、押し目買いも入りやすく、後場中ごろからは下げ幅が縮小しました。結局、日経平均株価は-67円で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数は、その他製品、紙・パルプ、不動産、サービス、石油・石炭、小売など9業種が上昇。一方、水産、銀行、その他金融、食料品、保険、空運など24業種が下落し。日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反落となっています。
20日(金)の東京株式市場は反発しました。
前日の米国市場がまちまちの展開となるなか、東京市場も朝方は方向感に乏しい展開となりました。好調な企業業績や賃上げの浸透を背景に買いが入る一方、利益確定売りも出やすく、しばらくは売り買いが交錯する場面が続きました。ただ、後場中ごろからは期末前の配当権利取りを狙った買いが広がり、終盤にかけて上げ幅が拡大するなか、結局、日経平均株価は1万9560円(+83円)と、先週に続き、約15年ぶりの高値を更新して大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、小売り、電気・ガス、海運、倉庫、証券、サービス、輸送、銀行など22業種が上昇。一方、その他製品、鉄鋼、石油・石炭、空運、鉱業など11業種が下落。日経平均株価、TOPIXはともに反発となっています。
来週の予定です。3月23日(月)には2月分のスーパー全国売上高が発表となります。24日(火)には欧州で3月分のユーロ圏PMI速報値、中国で3月分のHSBC中国製造業PMI速報値が発表されます。25日(水)にはADB(アジア開発銀行)の中尾総裁が日本記者クラブにて講演します。27日(金)には、注目を集める大塚家具の株主総会が開催されます。また2月の全国CPI(消費者物価指数)、3月分の都区部CPI、2月分の完全失業率、有効求人倍率、家計調査が発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。