東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+465円64銭となりました。
今週の高値は27日(金)の1万8790円83銭、一方、安値は23日(月)の1万8402円02銭。高安の値幅は388円81銭でした。週末の日経平均株価は連日で2000年4月20日以来、約15年ぶりの高値、TOPIXは2007年12月12日以来、7年2カ月ぶりの高値をつけています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
23日(月)の東京株式市場は続伸しました。
前週末に開催されたユーロ圏財務相会合で、ギリシャへの金融支援が4カ月延長されたとの報道を受け、米国市場は大幅に反発し、ダウ工業株30種平均株価は2カ月ぶりに過去最高値を更新しました。その流れを引き継いだ東京市場も朝方から上昇しました。主力銘柄を中心に買いが広がり、日経平均株価は一時、1万8500円台に乗せ、取引時間中としては2000年5月2日以来約15年ぶりの高値をつける場面もありました。ただ、後場に入ると、上昇ピッチの速さに対する警戒感から利益確定売りが出始め、伸び悩む展開となりました。主に金融関連銘柄が売られたことから、TOPIXはマイナス圏で推移する場面もありました。
TOPIX業種別指数は、陸運、水産、空運、ガラス・土石、精密、鉄鋼など23業種が上昇。一方、鉱業、保険、その他金融、銀行など9業種が下落。海運は変わらずでした。
日経平均株価は4日続伸、TOPIXは6日続伸となっています。
24日(火)の東京株式市場は続伸しました。FRB(米連邦準備制度理事会)イエレン議長の議会証言を控え、前日の米国市場は高安まちまちとなりました。その流れを引き継いだ東京市場も朝方は方向感の乏しい展開となるなか、短期的な過熱感からやや売り優勢となる場面もありました。ただ、後場に入り、日銀やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による買い支え観測が出始め、先物主導で買いが広がりました。終盤は上昇基調となり、結局3指数ともに高値引けとなっています。日経平均株価は今年初の5日続伸、連日で昨年来高値を更新し、2000年4月20日以来の高値水準、TOPIXは7年2カ月ぶりの高値水準で大引けを迎えています。JPX日経インデックス400は12日続伸となりました。TOPIX業種別指数は、ガラス・土石、鉄鋼、情報通信、石油・石炭、非鉄金属、金属製品、医薬品など23業種が上昇。一方、鉱業、ゴム、倉庫、紙・パルプ、食料品、銀行など10業種が下落。日経平均株価は5日続伸、TOPIXは7日続伸となっています。
25日(水)の東京株式市場は反落しました。ギリシャの財政構造改革案をEU側が承認した上、FRBイエレン議長が議会証言で利上げに慎重姿勢を示したことから、前日の米国市場は堅調に推移しました。その流れを引き継いだ東京市場も朝方は買い優勢で始まりました。ただ、前日までの上昇に対する過熱感も意識され始め、後場中ごろからは売りが広がり、日経平均株価は終盤にマイナスに転じて、結局-18円で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数は、鉱業、紙・パルプ、石油・石炭、水産、食料、銀行など18業種が上昇。一方、空運、陸運、ガラス・土石、ゴム、繊維、鉄鋼など15業種が下落。
日経平均株価は6日ぶりの反落、TOPIXは8日ぶりの反落となっています。
26日(木)の東京株式市場は反発しました。
前日の欧米市場が高安まちまちとなるなか、東京市場は買い先行でスタートしました。前日にKKR(国家公務員共済組合連合会)が資産構成を見直し、国内株式での運用比率を現在の8%から25%に高めると発表したことから、相場全体に買い意欲が増しました。昼休み時間中に先物が買われ、その後、後場に入ってからも先物主導で継続的に買いが入り、相場は一段高となりました。大引けにかけて、今一度上昇ムードに拍車がかかり、TOPIX、JPX日経インデックス400は高値引けとなりました。
TOPIX業種別指数は33業種すべて上昇。値上がり率上位は、鉱業、保険、海運、鉄鋼、証券、水産、倉庫、銀行など。
日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。
27日(金)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場が終盤にかけて持ち直した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行しました。日経平均株価は前場に一時、1万8865円39銭(+79円)となる場面もありました。
ただ、週末と月末が重なったことから、利益確定売りが出やすく、日経平均株価は後場中ごろから下げに転じ、しばらくマイナス圏で推移するなか、大引け直前で持ち直し、結局+12円で大引けを迎えています。連日で2000年4月20日以来、約15年ぶりの高値をつけました。TOPIXは2007年12月12日以来、7年2カ月ぶりの高値となっています。
TOPIX業種別指数では、その他金融、サービス、その他製品、小売り、証券、など16業種が上昇。一方、鉱業、不動産、水産、倉庫、鉄鋼など17業種が下落。
日経平均株価、TOPIXはともに続伸となっています。
来週の予定です。3月2日(月)には2014年10月~12月期の法人企業統計調査、2月分の新車販売台数が発表されます。5日(木)には中国で全国人民代表大会が開幕します。また、欧米でECB(欧州中央銀行)理事会が開催されます。6日(金)は2月分の米雇用統計が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。