東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。
今回は2014年の東京株式市場の相場動向の総括と、2015年、干支が乙未(きのと ひつじ)年のマーケットの相場見通しについてお伝えします。
まずは、日経平均株価の2014年最終週の動きを整理します。12月30日(火)の日経平均株価(終値)は前週末比-368円19銭となりました。
2014年の最終週となった二日間の高値は12月29日(月)の1万7914円55銭、一方、安値は12月30日(火)の1万7450円77銭。高安の値幅は463円78銭でした。この二日間は、高値で始まり安値で終わる展開となっています。
では具体的な相場概況です。
12月29日(月)の東京株式市場は反落しました。前週末の米国市場が堅調だったことから東京市場も朝方は小高く推移する展開となりました。ただ、昼ごろに厚生労働省から「西アフリカから帰国した日本人男性がエボラ出血熱に感染した疑いがある」と発表されると、先物を中心に売りが広がり、日経平均株価は一時、-293円まで下げ幅を広げる場面もありました。とは言え、その後は、徐々に押し目買いが入り始め、結局、日経平均株価は-89円で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数は、鉱業、小売の2業種のみが上昇。一方、自動車、保険、空運、ガラス土石、電気ガス、機械、その他金融など31業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
12月30日(火)の東京株式市場は続落しました。ギリシャの政局混迷や原油安、ロシア情勢など外部環境の悪化に対する警戒感から、東京市場は朝方から軟調に推移しました。年末年始の5連休を前に、持ち高を調整する売りが優勢となり、徐々に下げ幅を広げる展開となりました。取引時間中に与党が2015年度の税制改正大綱を決定し、初年度に法人実効税率を2.51%引き下げることで合意したとの報道が伝わったものの、市場はすでに織り込み済みで、新たな材料とはならず、結局、日経平均株価は安値引けとなっています。大納会に下落するのは2010年以来4年ぶりとなり、戦後初の「3年連続年末高値引け」は達成できませんでした。
一方、REIT(不動産投資信託)の配当利回りの上昇が期待され、東証REIT指数は年初来高値を更新して大引けを迎えています。TOPIX業種別指数は繊維、空運の2業種のみ上昇。一方、精密、証券、電機、電気ガス、化学、保険、医薬品など31業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。
2014年の相場概況
2014年の相場概況です。日経平均株価の大納会、12月30日(火)の終値は1万7450円77銭と、前年末(終値)1万6291円31銭と比べ+1159円46銭となりました。年間ベースでは3年連続で上昇し、2003年~2006年以来の続伸記録となっています。時価総額は7年ぶりに500兆円を回復しました。
一年のうちの高値は12月8日(月)の1万8030円83銭、一方、安値は4月11日(金)の1万3885円11銭。高安の値幅は4145円72銭。
今後の日経平均株価の目標水準は、2007年7月9日の(終値)1万8261円98銭、7月17日の(取引時間中に付けた高値)1万8269円36銭、その次の目標は、2000年4月12日の(終値・高値)2万833円21銭となり、この水準を達成すれば21世紀に入ってからの高値更新を記録することになります。
2015年・乙未(きのと ひつじ)年の相場見通し
では、2015年・乙未(きのと ひつじ)年の相場見通しです。
『羊』は『祥』に通じ、中国では吉祥動物とされ、天下泰平をもたらすとされている一方、『昧』にも通じ、世の中が暗く混沌となるとも言われています。『未』年の日経平均株価の騰落率は+7.6%と、年後半で上昇する傾向があります。
相場格言では、
『辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)は固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)は躓き、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』
とあり、過去の干支別騰落率では『午』を底に『未』『申』『酉』と上昇率が高まる展開となっています。
それでは、2015年の大発会から始まる最初の週の主な予定です。1月5日(月)は国内の証券取引所で今年最初の取引がスタートする大発会となります。7日(水)には米国でFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が発表されます。8日(木)には英国でBOE(イングランド中央銀行)が政策金利を発表します。9日(金)には米国で雇用統計が発表されます。
いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。