東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+249円82銭となりました。
今週の高値は19日(金)の1万7621円40銭、一方、安値は17日(水)の1万6672円94銭。高安の値幅は948円46銭でした。週末は大幅続伸、高値引けとなっています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
15日(月)の東京株式市場は反落しました。前週末の米国市場が大幅安となったことに加え、原油価格の下落によりロシアやベネズエラなど産油国経済の悪化を懸念し、東京市場も朝方から売りが先行しました。
世界的にリスクオフの動きが強まり、アジア市場も全面安の展開となりました。
前日に投票が行われた衆議院総選挙で与党が勝利し、アベノミクスの継続が確定したものの、相場全体ではすでに織り込み済みとされ、内需関連銘柄を物色する以外に買いの勢いは広がりませんでした。TOPIX業種別指数は、鉱業、小売の2業種が上昇。自動車、保険、空運、ガラス土石、電気ガス、機械、その他金融など31業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
16日(火)の東京株式市場は続落しました。原油相場の急落を受けて前日の欧米市場が下落するなか、東京市場も朝方から売りが先行しました。世界的な株安の流れから外国為替市場で、低リスク、低金利通貨の円を買う動きが加速し円高に振れると、自動車、電機など輸出関連銘柄への売り圧力が強まりました。12月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が49.5と、11月の確報値(50.0)から0.5ポイント低下し、景気判断の分かれ目となる50を7カ月ぶりに下回ったことも相場の重荷となりました。TOPIX業種別指数は全33業種が下落。金融、食料品、海運、卸売、精密、その他製品、建設などの下落が目立ちました。
日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。
17日(水)の東京株式市場は高安まちまちの展開となりました。前日の欧州市場が上昇し、原油先物相場も小幅ながら反発するなか、東京市場も朝方は売りが先行しました。ただ、前日までの続落で調整に一巡感が出たことから、その後、日経平均株価は上げに転じました。とは言えFOMC(米公開市場委員会)や日銀金融政策決定会合を控え様子見ムードも強く、積極的に上値を追う展開にはならず、結局、日経平均株価は+64円で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数は鉱業、紙・パルプ、石油・石炭、ゴム製品、鉄鋼、ガラス土石など19業種が上昇。一方、食料品、空運、陸運、化学、不動産、医薬品など14業種が下落。
日経平均株価は反発、TOPIXは3日続落となっています。
18日(木)の東京株式市場はプラスの展開となりました。FRB(米連邦準備制度理事会)がFOMC後の声明のなかに「(利上げまでの)相当な期間」という文言を残したことで、景気動向を見極め、冷静に対応する姿勢を示したとの見方から、原油先物相場の急落が一服しました。これにより、世界景気に対する懸念が弱まり、東京市場も朝方から大幅高でスタートしました。前場は終始堅調に推移するなか、後場中ごろになると、新たな手掛かり材料も見当たらず、利益確定売りから日経平均株価は一進一退の展開となりました。結局、日経平均株価は+390円と、3日ぶりに1万7000円を回復して大引けを迎えています。TOPIX業種別指数は全33業種が上昇。倉庫、食料品、水産、工業、石油・石炭、サービス業などの上昇が目立ちました。
日経平均株価は続伸、TOPIXは4日ぶりの反発となっています。
19日(金)の東京株式市場は続伸しました。前日の米国市場では、ダウ工業株30種平均株価、ナスダック総合株価指数の上げ幅が共に約3年ぶりの大きさとなり、大幅高となりました。その流れを引き継いだ東京市場も朝方から大幅続伸で始まり、相場全体に買いが広がりました。その後、日銀が金融政策決定会合で量的・質的緩和の維持を決めたとの報道が伝わると、後場に入ってからも幅広い銘柄に買いが続きました。結局、日経平均株価は1万7600円台を上回って高値引けで取引を終了しています。
TOPIX業種別指数では、不動産、証券、輸送、銀行、その他金融、保険など32業種が上昇。一方、水産の1業種のみが下落。
日経平均株価は3日続伸、TOPIXは続伸となっています。
来週の予定です。IPO(新規公開株・新規上場企業)が9社あります。22日(月)には国内で11月分の全国スーパー売上高が発表されます。23日(火)は東京市場が休場です。25日(木)は米国、英国、香港、シンガポールなど26日(金)は英国を始めとする欧州、香港などの各市場が休場となります。また、11月分の全国と12月分の都区部CPI(消費者物価指数)、11月分の完全失業率、有効求人倍率、鉱工業生産指数が発表されます。 いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。