東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-362円01銭となり、週間ベースで4週間ぶりに下落しました。週前半は堅調に推移し、3日(火)の日経平均株価は終値ベースの年初来高値を更新しました。しかし明けて4日(水)には一気に急落。5日(木)も大幅続落となり、軟調な地合いが続きました。その後、週末6日(金)は、後場中ごろまで方向感に乏しい展開が続いたものの、大引けにかけて一気に買いが広がり、結局、大幅反発で取引を終えています。今週一週間の高値は3日(火)の1万5794円15銭、安値は6日(金)の1万5112円54銭。高安の値幅は362円01銭となりました。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
2日(月)の東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。日経平均株価は小幅続落。前週末の米国市場での株安や円安の一服、短期的な過熱感などを背景に朝方から主力株を中心に売りが先行し、一時は前週末比-80円まで下落しました。その後、売りが一巡すると買い戻しが入り、大引けにかけて下げ渋る場面も見られました。この一週間は、米国のマクロ経済統計の発表が目白押しであることから、これらの発表を前に様子見となり、日経平均株価、TOPIXともに前週末の終値を挟んだ一進一退の動きとなりました。TOPIX業種別指数では、電気・ガス、保険、医薬品、銀行など17業種が上昇。一方、石油・石炭、不動産、電気機器、輸送用機器など16業種が下落。日経平均株価は続落、TOPIXは反発となっています。
3日(火)の東京株式市場は上昇。日経平均株価は3営業日ぶりに終値ベースの年初来高値を更新しました。日銀による追加緩和観測や米国で発表されたISM製造業景況感指数が57.3と市場予想(55.5)を大きく上回り、しばらくドル高・円安が続くとの見方が広まりました。為替相場で1ドル=103円台まで円安が進むなか、前場から買いが先行し、後場に1ドル=103円37銭、1ユーロ=139円93銭まで円安が進み、これを受けて値がさ株などへの買いの勢いが強まり、日経平均株価は1万5794円(+139円)まで上昇する場面がありました。ただ、上値では売りに押される銘柄も多く、結局大引けでは、株価指数は上昇したものの、東証1部の騰落銘柄数で、値下がり銘柄数(828)が値上がり銘柄数(786)を上回っています。
TOPIX業種別指数では、紙・パルプ、情報・通信、保険、医薬品、電気機器など21業種が上昇。一方、電気・ガス、不動産、海運など12業種が下落。日経平均株価は3日ぶりの反発で年初来高値更新、TOPIXは続伸となっています。
4日(水)の東京株式市場は急落。日経平均株価は1万5407円94銭(-341円72銭)と10月25日に記録した-398円以来の下げ幅、11月22日以来の安値となりました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が約2カ月ぶりに3日続落し、為替が1ドル=102円台まで円高に振れたのを受け、前場は幅広い銘柄に利益確定売りが先行しました。最近の上昇基調で日経平均株価が高値圏にあり、週末に米国の雇用統計の発表を控えたポジション調整の売りも出て、下げ幅は一時420円を超えました。ただ、株価の下落に比べて為替が落ち着いて推移したことから、後場は底堅い動きとなり、主力株の一角には押し目買いが入る場面も見られました。東証1部の値下がり銘柄数は1483銘柄と、全体の8割を超えています。TOPIX業種別指数では、鉱業のみが上昇。一方、保険、証券、その他金融、パルプ・紙、その他製品、ガラスなど32業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに大幅反落となっています。
5日(木)の東京株式市場は大幅続落となりました。日経平均株価は2週間ぶりの安値となっています。米国市場でダウ工業株30種平均株価が4日続落したことに加え、為替相場が欧州時間で一時、1ドル=101円台と一週間ぶりの円高水準に振れたことから、調整局面の地合いが続きました。米国の雇用統計の発表を翌日に控え、主力の輸出関連株などを中心に売りが広がりました。一方、主力株が軟調に推移するなか、新興市場では東証マザーズ指数が大幅続伸。個人投資家の資金が新興市場のネット関連株へと向かい、朝方から買いが先行し、その後も堅調な地合いが続くなかで大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、情報・通信、空運の3業種が上昇。一方、倉庫、ゴム、陸運、機械、保険、パルプ・紙、輸送用機器など30業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに大幅続落となっています。
6日(金)の東京株式市場は3日ぶりに反発しました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が5日続落したことや為替が円安に振れる様子がないことから前場は売りが先行し、その後も米国の雇用統計の発表を前に、方向感に乏しい展開が続きました。
しかし、前日までの2日間の下落で、日経平均株価が-572円となっていたこともあり、値ごろ感から押し目買いが入る場面も見られました。後場に入って、123兆円を超える資産規模を持つGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用改革について、有識者会議の伊藤隆敏座長が「資産構成の見直しは株高・円安要因」と発言したことが伝わると、一気に買いが優勢となり、株価は終盤にかけて大幅に上昇。結局、大幅反発する形で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、精密、ガス、金属、空運など30業種が上昇、一方、鉱業、その他金融、その他製品の3業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反発となっています。
来週は、9日(月)に国内で2013年7月~9月期のGDP改定値が、10日(火)に10月~12月期の法人企業統計が、11日(水)に10月分の機械受注統計が発表されます。そして、週末13日(金)は株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日となっています。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。