東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+610円45銭となりました。

今週の高値は14日(金)の1万7520円54銭、一方、安値は10日(月)の1万6713円37銭。高安の値幅は807円17銭でした。今週は消費再増税、衆議院解散・総選挙に関する要人発言に振らされやすい相場展開となりました。時価総額は約7年ぶりに500兆円を回復しています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

10日(月)の東京株式市場は反落しました。前週末に発表された10月の米雇用統計は堅調な内容だったものの、米国市場は小幅まちまちの展開となりました。週明けの東京市場は為替相場のドル高・円安が一服したことも重しとなり、朝方から主力銘柄を中心に売りが先行しました。ただ、下値では押し目買いが入りやすく、日経平均株価は-100円前後でのもみ合いが続き、下げ渋る展開のなか大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、鉱業、鉄鋼、海運、不動産など17業種が上昇。一方、情報・通信、医薬品、輸送用機器、精密など16業種が下落。日経平均株価、TOPIXは反落となっています。

11日(火)の東京株式市場は反発しました。前日の米国市場が上昇したことや為替相場が1ドル=115円台の円安に振れたことから、東京市場も朝方から堅調な展開となりました。後場に入ってからも先物に断続的な買いが入り、衆議院解散・総選挙や消費再増税の先送りといった憶測から日経平均株価は上昇し、2007年10月18日以来7年1カ月ぶりに1万7000円台にのせて大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、精密、不動産、小売、情報・通信、建設など30業種が上昇。一方、鉱業、ゴム製品、石油・石炭の3業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。 

12日(水)の東京株式市場は続伸しました。衆議院解散・総選挙や消費再増税の先送りの観測を背景に東京市場は朝方から買いが先行しました。為替相場が1ドル=116円台と円安に振れたことから、先物や主力銘柄に買いが広がり、日経平均株価の上げ幅は一時、300円を超える場面もありました。ただ、この2日間の急ピッチな上昇に対する過熱感が高まった上、菅官房長官や麻生財務大臣から消費再増税の先延ばし報道に関する否定的なコメントが伝わると、後場は先物を中心に売り買いが交錯する値動きの荒い展開となりました。終盤の日経平均株価は伸び悩み、結局、+72円で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、不動産、空運、小売、精密、陸運など18業種が上昇。一方、建設、海運、鉄鋼、機械など15業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。

13日(木)の東京株式市場は3日続伸しました。前日の米国市場がまちまちの展開だったこともあり、前場の東京市場は売り買いが交錯する展開となりました。その後、後場に入り、前日の黒田日銀総裁による「追加緩和は消費再増税が前提」との発言に対し、菅官房長官が「消費再増税の先送りについては、あくまでも政府が判断する」とコメントしたと伝わると、市場は政府が増税先送りに傾いていると受け取り、買いの勢いが強まりました。先高期待から日経平均先物が1万7400円台をつけると、日経平均株価も上昇し、結局、2007年10月11日以来7年1カ月ぶりの高値水準で大引けを迎えています。また時価総額が2007年12月以来、約7年ぶりに500兆円を回復しました。

TOPIX業種別 指数は倉庫運輸、水産農林、その他金通、保険、小売など29業種が上昇。一方、鉱業、ガラス土石など4業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日続伸となっています。

14日(金)の東京株式市場は4日続伸しました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が過去最高値を更新するなど、堅調に推移した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行し、寄付き直後の日経平均株価は約7年4カ月ぶりに1万7500円を回復しました。ただ、その後は節目を上回った達成感から利益確定売りも出始め、前場中ごろには-92円となる場面もありました。後場に入ると、もみ合い状態が続くなか、終盤には今一度押し目買いが入り始め、結局、日経平均株価は1万7490円(+98円)と、2007年7月以来の水準で大引けを迎えています。時価総額も500兆円を超えました。TOPIX業種別指数では、不動産、精密、電気・ガス、空運、海運など30業種が上昇。一方、食料品、石油・石炭など2業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに4日続伸となっています。

来週の予定です。17日(月)に国内で7月~9月期のGDP(国内総生産)の速報値が公表されます。19日(水)には日銀金融政策決定会合の結果発表、黒田日銀総裁による記者会見が開かれます。20日(木)には10月分の貿易統計が発表されます。また、中国ではHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。