東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。週末と月末が重なった今週末の日経平均株価(終値)は前週末比+280円15銭となりました。週初の月曜日は、米国市場の株高と為替相場の円安ムードに支えられ、買い安心感が広がる相場展開となりました。しかし、その後週半ばまでは短期的な利益確定売りが出やすくなり、26日(火)27日(水)と続落。そして先週同様にその流れが一変したのは、木曜日の28日。米国市場でダウ工業株30種平均株価が5日連続で過去最高値を更新したことに加え、為替が円安で推移するなか、日経平均株価は前日比+277円と急反発しました。ひき続きこのまま堅調な流れで週末、月末を迎えことになるのかと思いきや、今週末の29日(金)は軟調な展開に転じて反落。

結局、今週一週間の高値は28日(木)の1万5729円09銭、安値は27日(水)の1万5414円52銭。高安の値幅は314円57銭となりました。

11月の月間の高安の値幅は、28日(木)の高値1万5729円09銭、8日(金)の安値1万4026円17銭、この高安の値幅である1702円92銭。11月の月間の上昇幅(10月末比)は1333円93銭と、4月の1462円95銭以来の大きさとなっています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

25日(月)の東京株式市場は大幅に3日続伸となりました。前週末の米国市場でダウ工業株30種平均株価とS&P500種株価指数が連日で過去最高値を更新したことに加え、為替相場がドル=101円台と円安基調で推移したこともあり、輸出関連の主力株などに買いが先行しました。前場中ごろに上げ幅が拡大した後は、上値の重い場面も見られたものの、大引けにかけて再び買いの勢いが強まる流れとなり、結局、日経平均株価は高値引け、年初来高値を付けた5月22日以来、約半年ぶりの1万5600円台で終了しています。

TOPIX業種別指数では、情報・通信、保険、電気機器、輸送用機器、機械など31業種が上昇。一方、その他金融、海運の2業種が下落。日経平均株価、TOPIX共に大幅に3日続伸となっています。

26日(火)の東京株式市場は4日ぶりに反落しました。前日の米国市場で上昇の勢いが終盤にかけて弱まったことに加え、円安の流れも一服感が台頭、前日まで急上昇してきた先物にも売りが先行する展開となりました。日経平均株価は9時30分頃に一時、1万5460円(▲158円)まで下落。とは言え、後場に入ると下げ渋る場面もあり、一日を通して方向感が定まらないなか、結局、大引けにかけては売り優勢のなかで取引が終了しました。

TOPIX業種別指数では、石油・石炭、ゴム製品、銀行など6業種が上昇。一方、鉄鋼、空運、食品、輸送用機器、証券など27業種が下落。日経平均株価、TOPIX共に反落となっています。

27日(水)の東京株式市場は続落。この2週間の急上昇に対する反動と先高期待とが交錯し、日経平均株価はマイナス圏でもみ合う展開となりました。後場に入り、ドイツで年内にも大連立政権が樹立する見通しであるとの報道が伝わると、ユーロ円相場が1ユーロ=138円16銭と、約4年ぶりの高水準までユーロ高・円安が進み、これを受けて日経平均株価は前日比-2円まで下げ幅を縮小する場面がありました。しかし、その後ユーロ高・円安が一服すると、再び売り先行となり、結局、軟調な地合いのまま大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、鉱業、不動産、電気機器など8業種が上昇。一方、情報・通信、その他金融、卸売、建設、銀行など25業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

28日(木)の東京株式市場は3日ぶりに大幅反発となりました。日経平均株価は5月22日に付けた年初来高値(1万5627円)を上回り、約半年ぶりに年初来高値を更新、終値ベースでは、2007年12月12日の1万5932円以来、約6年ぶりの高値となっています。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が好調な経済統計を受けて上昇し、5日連続で過去最高値を更新したことに加え、為替が1ドル=102円台、1ユーロ=138円台と、円安で推移したことから、輸出関連株などを中心に買いが広がりました。さらに後場に入ると、午後2時以降から大引けにかけて、先物にまとまった買いが入り一段高となるなか、日経平均株価は結局、この日の高値近辺で取引を終えています。

TOPIX業種別指数では、海運、精密、鉄鋼、機械、電気機器など31業種が上昇。一方、鉱業、石油・石炭の2業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに大幅に3日ぶりの反発、TOPIXは高値引けとなりました。

29日(金)の東京株式市場は反落。米国市場が感謝祭で休場となり、海外の市場参加者が減るなか、先物の動きに左右されやすい展開となりました。前場は為替が1ドル=102円台後半と、半年ぶりの水準まで円安が進んだことを受け、小幅に上昇する場面もあるなど底堅く推移しました。ただ、後場に入り円安の進行が一服すると、先物にまとまった売りが続き、日経平均株価も一時-200円まで下落するなど、軟調な展開となりました。その後売りが一巡すると、押し目買いの動きも見られ、持ち直す形で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、海運、卸売、建設など11業種が上昇。一方、証券、情報・通信、銀行、機械など22業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

来週から12月。国内では日銀の黒田総裁の会見や講演における発言内容に注目が集まりそうです。海外では、米国の地域経済を把握する上で重要なベージュブック(米地区連銀経済報告)が4日(木)<日本時間5日午前4時>に発表されます。また、英中央銀行の金融政策委員会、ECB(欧州中央銀行)理事会による金融政策の結果が5日(木)<日本時間の夜>に発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。