東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-521円21銭となりました。
今週の高値は9月29日(月)の1万6344円32銭、一方、安値は10月3日(金)の1万5559円07銭。高安の値幅は785円25銭でした。この一週間は、国内外の要人発言に振らされやすい相場展開となりました。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
9月29日(月)の東京株式市場は反発しました。前週末の米国市場が反発した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行し、日経平均株価の上げ幅は序盤に110円を超える場面もありました。ただ、日銀短観や米雇用統計など注目イベントが控えている上、デモの拡大を懸念して香港市場が大幅安となったことが重しとなり、その後は伸び悩む展開となりました。その後、後場に入ると、午後2時に安倍首相が衆議院本会議で所信表明演説し「経済最優先で政策運営にあたる」方針を示すと為替が円安に振れ、それを受けて終盤は持ち直して大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では、機械、建設、電気機器、空運、保険など25業種が上昇。一方、紙・パルプ、海運、銀行など8業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反発となっています。
9月30日(火)の東京株式市場は反落しました。香港のデモ拡大など地政学リスクへの警戒感から東京市場は朝方から売りが先行しました。米国のシェールオイル開発関連で減損損失を計上すると発表した住友商事を中心に、総合商社株が大幅安となったほか、8月の鉱工業生産指数などの経済指標が市場予想を下回ったことから軟調な展開となり、日経平均株価は一時、-251円まで下落する場面もありました。その後、後場は下げ渋ったものの、戻りは限定的なものとなりました。
TOPIX業種別指数では、空運、小売、鉱業の3業種が小幅に上昇。一方、東京卸売、証券、鉄鋼、その他金融、電気機器など30業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
10月1日(水)の東京株式市場は続落しました。前日の米国市場が下落した上、取引開始前に発表された日銀短観がサプライズに乏しい内容だったことから、東京市場も朝方から軟調な展開となりました。その後、前場中ごろから為替がやや円安に振れると、日経平均株価は一時、プラスに切り返す場面もありました。ただ、後場に入ると主力銘柄を中心に今一度売りが広がり、日経平均株価はマイナス圏で推移したまま大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では、水産・農林、倉庫、小売など6業種が上昇。一方、その他金融、証券、機械、鉄鋼、建設など27業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。
10月2日(木)の東京株式市場は大幅に3日続落しました。前日の米国市場で、中小型株指数のラッセル2000が年初来安値を更新するなど、大幅下落した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から全面安で始まりました。その後も先物に断続的な売りが出て、下値を探る展開となりました。日経平均株価は節目の1万6000円を大きく下回り、約1カ月ぶりの安値を付け、下げ幅は-420円と、8月8日(-454円)以来の大きさとなっています。
TOPIX業種別指数では、全33業種が下落。値下がり率上位は空運、不動産ガラス・土石、輸送用機器、機械など。日経平均株価、TOPIXともに3日続落となっています。
10月3日(金)の東京株式市場は4日ぶりに反発しました。ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁による会見で、市場が期待していた具体的な金融緩和策についての言及がなかったことから、前日の欧米市場は大幅に下落しました。ただ米国市場がまちまちの展開となったこともあり、東京市場は方向感をつかめず、前場は前日の終値を挟んでの値動きとなりました。後場に入り、日経平均株価は一時、-102円となる場面があったものの、その後は下げ幅を縮小し、終盤に衆議院予算委員会で日銀の黒田総裁が「円安は経済全体としてマイナスではない」と発言したとの報道が伝わると、日経平均株価は一気に反発。結局、高値引けで取引を終えています。TOPIX業種別指数では、建設、化学、ゴム製品、食料品など21業種が上昇。一方、不動産、その他金融、鉱業など12業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに4日ぶりの反発となっています。
来週の予定です。10月6日(月)~7日(火)に日銀金融政策決定会合が開催されます。8日(水)には8月分の国際収支が発表となります。また米国ではFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨が公表されます。10日(金)には米国・ワシントンでIMF(国際通貨基金)・世界銀行年次会合やG20(20カ国・地域)財務省・中央銀行総裁会議が開催されますいずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。