東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+220円85銭となりました。
今週の高値は22日(金)の1万5628円78銭、一方、安値は18日(月)の1万5303円39銭。高安の値幅は325円39銭でした。日経平均株価は2013年12月17日~30日以来の9連騰を記録しています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
18日(月)の東京株式市場は6日続伸しました。地政学リスクに対する警戒感が漂うものの、大きな材料も出ず、週後半に重要イベントが集中しているなか、方向感に欠ける展開となりました。自動車、メガバンクなどの主力株の上値が重くなるなか、造船や医薬品など、個別に材料が出た銘柄を買う動きが目立ちました。全体的には見送り気分が強く、東証1部の売買代金は約4カ月ぶりの低水準となっています。TOPIX業種別指数では、その他製品、医薬品、建設、化学など17業種が上昇。一方、金属製品、不動産、精密、証券など16業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに6日続伸となっています。
19日(火)の東京株式市場は7日続伸しました。地政学リスクがやや後退したことから、前日の米国市場では、ダウ工業株30種平均株価が大幅に反発した他、ナスダック総合株価指数も約14年4カ月ぶりの高値をつけました。
その流れを引き継いだ東京市場も、朝方から買いが先行し、スタートから100円を超える上げ幅となりました。ただ、決算発表も一巡し、安倍首相が夏休み中で国内の手掛かり材料がないことから、その後はこう着感の強い展開が続き、日経平均株価の高安の値幅はわずか46円94銭と、今年最少となっています。
TOPIX業種別指数では、不動産、機械、電気・ガス、陸運、精密など31業種が上昇。一方、その他製品、小売の2業種が小幅に下落。
日経平均株価、TOPIXともに7日続伸となっています。
20日(水)の東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。ロシアとウクライナが首脳会談に臨む見通しとなり、地政学リスクが後退したことや、米国で発表された7月の住宅着工件数が8カ月ぶりの高水準となり、前日の米国市場は続伸しました。その流れを受けた東京市場も朝方は堅調なスタートとなったものの、前日まで7連騰した後だけに、その後は日経平均先物、現物の日経平均株価ともに、節目の1万5500円の手前で伸び悩む展開となりました。後場に入ると、為替が円安に振れたにもかかわらず、株価の反応は鈍いままで、結局、値がさ株に押し上げられた日経平均株価のみが小幅プラスとなり、TOPIXやJPX日経インデックス400は反落しています。
TOPIX業種別指数では、情報・通信、海運、ゴム製品など10業種が上昇。一方、その他金融、保険、建設、証券など23業種が下落。日経平均株価は8日続伸、TOPIXは反落となっています。
21日(木)の東京株式市場は9日続伸しました。前日の米国市場が堅調に推移した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方から買いが先行しました。日経平均株価は、前場中ごろには1万5600円を上回る場面もありました。午前10時45分ごろに発表された8月分のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が3カ月ぶりの低水準だったことから、先物にやや売りが出たものの、その後は持ち直し、後場に入ってからもしっかりの展開となりました。東証1部全体の7割以上の銘柄が上昇し、結局、日経平均株価は2013年12月17日~30日以来の9連騰を記録しています。TOPIX業種別指数では、証券、その他金融、不動産など31業種が上昇。一方、鉱業、空運の2業種が下落。日経平均株価は9日続伸、TOPIXは反発となっています。
22日(金)の東京株式市場は反落しました。前日の米国市場でナスダック総合株価指数が約14年5カ月ぶりの高値をつけるなど、米国株が上昇した流れを受けて、東京市場も朝方は買いが優勢となりました。ただ、9連騰の後だけに過熱感も懸念され、買い一巡後は日経平均株価、TOPIXともに軟調な展開へと変わりました。後場に入ってからも、日本時間夜に始まるイエレンFRB(米連邦制度理事会)議長の講演を前に積極的な買いは手控えられ、日経平均株価は小幅安の1万5500円台半ばで推移し、結局、-47円で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では、ゴム製品、水産など8業種が上昇。一方、建設、鉄鋼、鉱業など25業種が下落。
日経平均株価は10日ぶりの反落、TOPIXは反落となっています。
来週の予定です。28日(木)には米国で4月~6月期の実質GDP(国内総生産)の改定値が発表されます。29日(金)には国内で7月分の全国CPI(消費者物価指数)、8月分の都区部CPI、7月分の完全失業率、7月分の有効求人倍率、7月分の家計調査、7月分の鉱工業生産指数の速報値が発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。