東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-744円74銭となりました。
今週の高値は4日(月)の1万5535円62銭、一方、安値は8日(金)の1万4753円84銭。高安の値幅は781円78銭でした。週末には、オバマ米大統領がイラクへの限定空爆を承認したとの報道が伝わり、地政学リスクの一段の高まりから、日経平均株価、TOPIXともに一気に急落しました。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
4日(月)の東京株式市場は3日続落しました。前日の米国市場が下落したことから、東京市場も朝方から軟調に推移し、日経平均株価の下げ幅は一時、80円を超える場面もありました。ただ、売り一巡後は先物から買いが入り始め、一時はプラスに転じる展開となりました。ただ、日本時間の夜にスタートする米国市場の動向を見極めたいとする向きもあり、終盤は再び売りが広がるなか軟化して大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、鉱業、食品、医薬品など10業種が上昇。一方、不動産、銀行、証券、海運、情報・通信など23業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに3日続落となっています。
5日(火)の東京株式市場は4日続落しました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が5日ぶりに反発した流れを引き継ぎ、東京市場も朝方は買いが先行し、序盤は1万5500円台に乗せる場面もありました。その後は伸び悩んで下げに転じ、後場中ごろからは先物の断続的な売りに押され、中国で7月のPMI(中国非製造業購買担当者景気指数)が算出以来最低となったことも、相場を押し下げる要因となりました。TOPIX業種別指数では、医薬品の1業種のみが上昇。一方、水産・農林、その他金融、倉庫、機械、空運など32業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに4日続落となっています。
6日(水)の東京株式市場は5日続落しました。前日の米国市場が大幅安となった流れを受けて、東京市場も序盤から幅広く売りが先行しました。スプリントがTモバイルUSの買収を断念したと報じられると、ソフトバンクの株価が下落し、後場中ごろには日経平均株価の下げ幅は一時、-200円弱にまで拡大する場面もありました。その後はやや持ち直したものの、戻りの勢いはつかず、軟調なまま大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、その他製品の1業種のみが上昇。一方、鉱業、鉄鋼、電気・ガス、情報・通信、紙・パルプなど32業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに5日続落となっています。
7日(木)の東京株式市場は6日ぶりに反発しました。朝方に為替が円高に振れたことを受けて東京市場は売り先行でスタートしました。その後も軟調な展開が続き、後場中ごろには日経平均株価は一時、-97円まで下落する場面もありました。ただ、午後2時過ぎに「政府・与党がGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による日本株への配分を20%超に増やすことを本格化させる」との報道が伝わると、一気に買い戻しが広がり、日経平均株価も上昇に転じて、結局、+72円で大引けを迎えています。アベノミクス相場開始以来、初となる6日続落を回避することができました。
TOPIX業種別指数では、非鉄金属、情報・通信、その他金融、証券、銀行など29業種が上昇。一方、ゴム製品、海運など4業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに6日ぶりの反発となっています。
8日(金)の東京株式市場は大幅反落となりました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が3カ月ぶりの安値となった流れを受けて、東京市場も朝方から売りが先行しました。午前10時過ぎにオバマ米大統領がイラクへの限定空爆を承認したとの報道が伝わると、地政学リスクの一段の高まりから、一気に売りが加速し、前場の終盤に、日経平均株価の下げ幅は一時、-478円まで急落する場面もありました。
昼休み時間中に日銀の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持が決定されたとの報道が伝わったものの、特に材料視はされず、後場に入ってからも軟調な展開が続きました。午後2時過ぎに発表された7月の景気ウォッチャー調査で、現状判断指数が前月比で改善したというニュースにも相場の反応は限られました。終盤も日経平均株価は軟調なまま推移し、結局、-454円の大幅安で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では、全33業種が下落。値下がり率上位には鉱業、空運、その他製品、繊維、サービスなど。
日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
来週の予定です。13日(水)に国内で4月~6月期のGDP(国内総生産)速報値と、日銀金融政策会合(7月14日~15日開催分)議事要旨が公表されます。14日(木)には6月分の機械受注統計と7月~9月の機械受注見通しが発表されます。海外ではユーロ圏の4月~6月期のGDPが発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。