東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+215円80銭となりました。週初から半ばまでは、前週の一週間で1079円高(+7.7%)も急伸した後とあって、短期的な利益確定売りが出やすい展開が続きました。しかし21日(木)にはその流れが一変し、前日比+289円と急反発。22日(金)の前引けまで大幅続伸となりました。ただ、後場に入ると、急速に上げ幅が縮小し、何度かマイナスに転じる場面も見られ、結局、週末の終値は小幅続伸に留まっています。

今週一週間の高値は22日(金)の1万5579円39銭、安値は19日(火)の1万5020円33銭。高安の値幅は559円06銭となりました。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

18日(月)の東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。米国の量的金融緩和の長期化への期待から、株式市場へのリスクマネーの流入が継続。週末の米国市場の上昇や為替相場が1ドル=100円台の円安となるなか、前場の日経平均株価は上げ幅が100円を超える場面もありました。ただ、前週の一週間で1000円を超える急伸を見せた後とあって、為替が99円台まで円高に振れると、その後は短期的な利益確定売りが優勢となりました。

TOPIX業種別指数では、ゴム製品、その他金融、銀行、鉄鋼など20業種が上昇。一方、空運、倉庫、電気機器、卸売など13業種が下落。

日経平均株価は3日ぶりの反落、TOPIXは3日続伸となっています。

19日(火)の東京株式市場は小幅安の展開となりました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が取引時間中に初めて1万6000ドル台に乗せるなど、米国株高が相場の支えとなる一方、前週に急伸した反動の動きも依然として残っており、主力株を中心に利益確定売りが続きました。円安が一服し、99円台半ばまで円高・ドル安が進むと、日経平均株価は一時、-140円を超える大幅安まで下落。ただ、後場に入ると、円高が止まったことで押し目買いも入り、急速に下げ渋るなか大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、水産・農林、精密、鉄鋼など8業種が上昇。一方、銀行、その他金融、陸運、不動産、輸送用機器など25業種が下落。

日経平均株価は小幅続落、TOPIXは小反落となっています。

20日(水)の東京株式市場は続落の展開となりました。朝方は、為替相場で1ドル=100円台前半、1ユーロ=135円台後半と円安基調が支援材料となり、主力株中心に買いが先行しました。しかし、その後は、手掛かりとなる新規材料も見当たらず、FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨の発表や、日銀の金融政策決定会合の結果公表を前に、様子見姿勢が強くなりました。株価指数先物へのまとまった売買の動きに現物の株価も左右されやすい展開となるなか、前日同様に軟調な地合いのまま大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、繊維、パルプ・紙、ゴム製品など9業種が上昇。一方、銀行、不動産、建設、機械など24業種が下落。日経平均株価は3日続落、TOPIXは続落となりました。

21日(木)の東京株式市場は大幅反発の展開となりました。為替が1ドル=100円台を維持したことや、取引開始前に財務省が発表した『対外及び対内証券売買契約などの状況』で、前週の海外投資家の買い越し額が1兆2949億円と過去2番目の高水準だったことも買いの流れにつながりました。株価指数先物へのまとまった買いが断続的に入り、日経平均株価は一時、1万5377円(+300円)まで上昇。その後も円安を受けて輸出株などが買われ、そのまま大引けまで堅調な展開が続きました。

TOPIX業種別指数では、情報・通信、機械、保険、電気機器、証券など30業種が上昇。一方、空運、不動産、電気・ガスの3業種が下落。日経平均株価は4日ぶりの大幅反発、TOPIXは3日ぶりの大幅反発となっています。

22日(金)の東京株式市場は小幅に続伸しました。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価が終値ベースで初めて1万6000ドル台に乗せたことや、為替が101円台まで円安に振れたことを好感して前場は堅調に推移。日経平均株価は午前11時には1万5579円(+214円)まで上昇し、結局前引けも大幅続伸(+188円)のなか取引を終えました。その後、後場に入り堅調な展開が続くかと思いきや、週末の手じまい売りが一気に膨らみ日経平均株価は急速に上げ幅を縮小。ついには反落の展開となり、午後1時半過ぎにはこの日の安値をつけました。株価指数先物主導で急伸してきた短期的な過熱感も漂うなか、結局、前日の終値を挟んで上下しつつ小幅高で大引けを迎えました。

TOPIX業種別指数では、その他金、証券、電気機器、その他製品・鉱業など17業種が上昇。一方、鉄鋼、ゴム製品、水産、空運など16業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに小幅続伸となっています。

来週は、29日(金)にCPI(消費者物価指数)を始めとする10月分の国内経済統計が発表されます。同じく29日(金)には海外で、ユーロ圏の失業率が発表となります。また米国の景気(個人消費)を占う上で注目されるクリスマス商戦が、28日(木)の感謝祭を機に、翌日29日(金)からスタートします。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。