東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-254円42銭となりました。
今週の高値は23日(月)の1万5442円67銭、一方、安値は27日(金)の1万5027円31銭。高安の値幅は415円36銭でした。週間ベースでの日経平均株価は前週末比250円超のマイナスとなり、6週ぶりの下落となっています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
23日(月)の東京株式市場は小幅まちまちの展開となりました。前週末の米国市場が上昇した流れを受けて東京市場も朝方から買いが先行。午前の取引時間中に発表された6月分のHSBC中国PMI(中国製造業購買担当者景気指数)が50.8と6ヵ月ぶりに50を上回ったことから、一時、日経平均株価は+93円まで上昇する場面もありました。ただ、後場に入ると、短期的な相場の過熱感が意識され始め、上値は抑えられました。短期的な相場の過熱感が漂うなか、政府が発表する新成長戦略の内容を見極めたいとする向きもあり、終盤は様子見姿勢の強い展開のなか大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、石油・石炭、非鉄金属、精密、卸売など18業種が上昇。一方、情報・通信、証券、電気・ガス、銀行など15業種が下落。
日経平均株価は反発、TOPIXは続落となっています。
24日(火)の東京株式市場は小幅高となりました。市場が注目する新成長戦略の閣議決定と安倍首相の会見を前に、東京市場は朝方から利食い売り先行でスタートし、前場の序盤に、日経平均株価の下げ幅は一時、100円を超える場面もありました。その後、昼休み時間中に先物にまとまった買いが入り始め、後場に入ってからはプラスに切り返す底堅い展開へと流れが変わりました。ただ、新成長戦略の具体的な内容を確認したいとの慎重な見方も強く、結局、終盤の日経平均株価は伸び悩む形で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では、水産・農林、食品、電気・ガス、小売、医薬品など内需セクター中心に24業種が上昇。一方、鉱業、不動産、輸送用機器など9業種が下落。
日経平均株価は続伸、TOPIXは3日ぶりの反発となっています。
25日(水)の東京株式市場は反落しました。シリアの空爆によりイラク情勢の緊張感が高まったことから、前日の米国市場では、ダウ工業株30種平均株価が100ドル超も下落しました。その流れを受けた東京市場も朝方から売りが先行し、前場は地政学リスクを意識した軟調な展開となりました。後場に入り、安値圏で膠着感を強めるなか、下値では、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的年金による買いが続くとの見方も根強く、マイナス圏で売り買いが交錯する展開が続きました。その後、終盤は売りの勢いが強まり、この日の安値圏で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下がり率上位は保険、繊維、その他金融、機械、銀行など。日経平均株価は3日ぶりの反落、TOPIXは反落となっています。
26日(木)の東京株式市場は反発しました。前日の米国市場では、ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数が14年2カ月ぶりの高値となるなど、反発の展開となりました。その流れを引き継いだ東京市場も朝方から買いが先行。ただ、為替が円高に振れたことが重しとなり、上値は限られました。その後は売りに勢いが強まるわけでもなく、下値では押し目買いが入り、6月、12月決算銘柄の配当権利落ち分(13円60銭程度)を埋めた上でプラスを保ったまま大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では、金属製品、電気・ガス、情報・通信、建設など21業種が上昇。一方、ゴム製品、ガラス・土石、繊維など素材セクター中心に12業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。
27日(金)の東京株式市場は反落しました。前日の米株式市場でダウ工業株30種平均株価が反落したことや、為替がやや円高に振れたことが嫌気され、東京市場も朝方から売りが先行しました。昼休み時間中に先物に売りが膨らみ始め、後場に入ると、さらに下げ幅が拡大し、日経平均株価は一時、-280円まで下落する場面もありました。ただ、心理的な節目でもある1万5000円近辺では、押し目買いが入りやすく、終盤もこの水準を割らずに大引けを迎えています。週間ベースでの日経平均株価は前週末比-254円となり、6週ぶりに下落しています。TOPIX業種別指数では、その他金融、電気・ガスの2業種のみが上昇。一方、ゴム製品、金属製品、石油・石炭、ガラス・土石、保険など31業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
来週の予定です。30日(月)には5月分の鉱工業生産指数の速報値が発表されます。7月1日(火)には6月分の日銀短観(日銀企業短期経済観測調査)が発表されます。2日(水)には米国でFRB(米連邦準備制度理事会)イエレン議長が講演します。3日(木)には、欧米でECB(欧州中央銀行理事会)が開催されます。米国で雇用統計が発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。