東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+251円58銭となりました。
今週の高値は20日(金)の1万5422円06銭、一方、安値は16日(月)の1万4867円15銭。高安の値幅は554円91銭でした。19日(木)の日経平均株価は約4カ月半ぶりの高値水準まで上昇しています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
16日(月)の東京株式市場は反落しました。前週末の米国市場は反発したものの、東京市場は前週末の13日(金)の後場に大きく上昇した反動で、利益確定売りが先行するスタートとなりました。後場は先物主導で一時、-230円まで下落する場面も見られました。ただ、下値では年金の買いが入るとの見方から押し目買いも入りやすく、終盤は下げ幅を縮小する形で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、鉄鋼の1業種のみが上昇。一方、不動産、ゴム、鉱業、倉庫、小売など32業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
17日(火)の東京株式市場は反発。前日の米国市場が底堅く推移し、為替も円高が一服したことから、東京市場も買い戻しが先行しました。ただ、新たな手掛かり材料が見当たらないなか、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を見極めたいとする向きも強く、上値は限定的なものとなりました。日経平均株価は節目である1万5000円を挟んだ一進一退の動きとなり、高安の値幅はわずか78円程と、前場後場を通してこう着感の強い一日となりました。TOPIX業種別指数では、水産・農林、電気・ガス、卸売、不動産、機械など22業種が上昇。一方、海運、鉱業、保険など11業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。
18日(水)の東京株式市場は続伸。前日の米国市場で、ダウ工業株30種平均株価が3日続伸した流れを受けて、東京市場も朝方から買いが先行しました。イラク情勢の緊迫化を背景にした原油高が一服の様相となり、投資家心理が改善してきたものの、国内独自の手掛かり材料に乏しく、前場はCMEの高値(1万5050円)で上値が抑えられる展開が続きました。その後、昼休み以降は先物に断続的な買いが入り、後場に入ると幅広い銘柄が買われ、日経平均株価、TOPIXともに上げ幅が拡大しました。TOPIXは1月29日以来、約4カ月半ぶりの高値に浮上しています。TOPIX業種別指数では、証券、精密、銀行、電気機器、機械など30業種が上昇。一方、海運、ゴム製品、食品の3業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。
19日(木)の東京株式市場は大幅に3日続伸となりました。FOMCの結果が想定内であったことに加え、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が「米国の株価水準はそれほど割高ではない」と発言したことから、市場全体に外国人投資家の買い安心感が広がりました。
その流れを引き継いだ東京市場も、前場から大型株を中心に買いが広がりました。東証1部の値上がり銘柄数は1300を上回るなか、買いが優勢のまま大引けを迎えています。前日のTOPIXに続き、日経平均株価も1月29日以来、約4カ月半ぶりの高値水準に上昇しました。
TOPIX業種別指数では、その他金融、鉱業、ガラス・土石、鉄鋼、不動産など32業種が上昇。一方、水産・農林の1業種のみ下落。日経平均株価、TOPIXともに3日続伸となっています。
20日(金)の東京株式市場は4日ぶりの反落。前日の米国市場がまちまちの展開だったことから、東京市場も朝方から方向感がつかみにくく、日経平均株価も前日の終値をはさんで一進一退の展開となりました。ただ、前場の終盤には、まとまった買いも入り、日経平均株価は一時、1万4200円を超える水準まで上昇しました。その後、後場に入ると手掛かり材料難からすぐに伸び悩み、後場中ごろにはマイナス圏での軟調な展開が続いたものの、終盤にはプラスへ浮上、しかし大引け直前には今一度マイナスに沈み、結局-11円で取引を終えています。
TOPIX業種別指数では、非鉄、建設、証券など16業種が上昇。一方、石油・石炭、水産・農林、紙・パルプ、保険など17業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに4日ぶりの反落となっています。
来週の予定です。23日(月)に中国で、6月分のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表となります。27日(金)には国内で、5月分の全国CPI(消費者物価指数)、6月分の都区部CPI、5月分の完全失業率、有効求人倍率、家計調査が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。