東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-257円92銭となりました。

GW連休明け後、3日間のみの取引となった今週の高値は7日(水)の1万4299円13銭、一方、安値も7日(水)の1万4033円45銭。一週間の高安の値幅は265円68銭となり、今週の3日間の相場(株価)が、全て7日(水)のレンジ内(高安の値幅内)におさまる形となりました。

では、具体的に今週を振り返ってみましょう。

4連休明けとなった7日(水)の東京株式市場は大幅安となりました。2日に米国で発表された4月の雇用統計が市場予想を大幅に上回ったものの、この結果を好感する動きは限定的となり、ウクライナ情勢の悪化による地政学リスクも意識され、米国市場は下落しました。為替相場も1ドル=101円台と円高に振れたことから、その流れを受けた東京市場も朝方から売りが先行。OECD(経済協力開発機構)が2014年の日本や世界のGDP(国内総生産)の経済成長率見通しを下方修正したことも、株価の重しとなり、連休前に値上がり率上位にランクインしていた海運や証券などに戻り売りが広がりました。日本時間の夜に開かれるFRB(米連邦準備制度理事会)イエレン議長の議会証言を前に様子見ムードも漂うなか、仕掛け的な先物売りが続く展開となり、日経平均株価、TOPIXともに安値引けとなっています。

TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下がり率上位はパルプ・紙、証券、石油・石炭、保険、銀行など。

日経平均株価は続落、TOPIXは4日ぶりの反落となりました。

8日(木)の東京株式市場は反発。前日の議会証言で、FRBイエレン議長が住宅市場の停滞に言及したことから、低金利政策が長期に渡って続くとの見方が台頭し、米国市場は反発の展開となりました。その流れを受けた東京市場も買いが先行。前日の日経平均株価が-400円と大幅安となった反動もあるなか、午前11時過ぎに中国で発表された4月の貿易統計で、輸出額が市場予想を上回ったこともあり、目先の相場の戻りを期待した買いも入りやすい展開となりました。日経平均株価は後場の寄り付き直後に一時、+220円まで上昇する場面もありましたが、米長期金利の低下と為替がやや円高・ドル安で推移したことから、戻り売りも出始め、終盤は伸び悩む展開となるなか大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では、卸売、海運、電気・ガス、繊維、医薬品など30業種が上昇。一方、金属製品、建設、輸送用機器の3業種が下落。日経平均株価は3日ぶりの反発、TOPIXは反発となっています。

9日(金)の東京株式市場は続伸の展開となりました。朝方は反落で始まったものの、下値の底堅さが確認されると、次第に買いが優勢となり、日経平均株価はマイナスからプラスへ切り返す展開となりました。とは言え、後場に入り、中国株などアジア市場が軟調に推移し始めると、東京市場も上げ幅を縮小する場面も見られました。ただ、下値では値ごろ感から押し目買いも入り、日経平均株価は1万4200円近辺での狭いレンジで推移する展開が続きました。結局、膠着相場のまま大引けを迎えています。TOPIX業種別指数ではその他金融、その他製品、陸運、非鉄など25業種が上昇。一方、石油・石炭、証券、繊維、金属製品など8業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。

来週の予定です。来週も主要企業の決算発表が相次ぎます。その他、12日(月)には国内で3月分と2013年度の国際収支が発表されます。15日(木)は1月~3月期のGDP(国内総生産)速報値が発表となります。いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。