東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-87円01銭となりました。

今週の高値は21日(月)の1万4649円50銭、一方、安値は25日(金)の1万4327円60銭。高安の値幅は321円90銭でした。

様子見ムードで薄商いが続くなか、売買代金は週末まで10日連続で2兆円割れとなっています。では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。

21日(月)の東京株式市場は小反落。週末の海外市場が休場となるなか、欧州市場はひき続きこの日の夜も休場とあって、市場参加者の数は限られました。取引時間前に発表された2013年度の貿易収支で貿易赤字額が13兆7488億円と3年連続で最大の赤字となったこと受けて、為替がやや円安に振れたことから、前場は前週末比+133円まで上昇する場面もありました。ただ、その後は上値も重くなり、利食い売り優勢の展開となり、結局、小幅安で大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では鉱業、その他金融、情報・通信など13業種が上昇。一方、不動産、医薬品、建設、証券など20業種が下落。日経平均株価は反落、TOPIXは5日ぶりの反落となっています。

22日(火)の東京株式市場は続落しました。3連休明けとなった前日の米国市場が上昇したことから、東京市場も序盤から買いが先行し、前場は堅調に推移しました。日経平均株価は、一時、+91円まで上昇。ただ、翌日からのオバマ米大統領の来日(日米首脳会談)を控え、様子見ムードも漂うなか、伸び悩む展開となりました。後場に入り、午後2時過以降は、先物にまとまった売りが続き、軟調な展開のまま、結局、安値引けで大引けを迎えています。東証1部の売買代金は1兆4420億1400万円と、今年3番目の低水準となりました。TOPIX業種別指数ではゴム製品、食品の2業種が上昇。一方、紙・パルプ、証券、鉄鋼、銀行、電気機器など31業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

23日(水)の東京株式市場は3日ぶりに反発しました。4連休明けの欧州市場や米国市場が続伸し、最高値更新が今一度視野に入ってきたことから、その流れを引き継いだ東京市場でも買いが先行しました。大型IPO(東証1部上場)として注目を集めた西武HDの株価が堅調に推移したことや、午前10時45分にHSBCが発表した4月分の中国PMI(製造業購買担当者景気指数)が48.3と、市場予想通りだったことも買い安心感へとつながりました。終盤は一段高の展開となり、日経平均株価、TOPIXともに高値引けで大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、32業種が上昇。値上がり率上位は、その他金融、ゴム製品、非鉄金属、空運などとなっています。一方、鉱業の1業種のみが下落。日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの反発となっています。

24日(木)の東京株式市場は反落しました。前日の米通常取引終了後に発表されたアップルやフェイスブックの決算が良好な内容だったことから、朝方はアップル関連銘柄(村田製作所、アルプス電気等)に買いが入り、前場は底堅い展開となりました。ただ、日米首脳会談でTPP(環太平洋経済連携協定)を巡る日米合意が先送りされ、閣僚級協議を継続するとの内容にとどまったことが伝わると、後場に入ってからは、これを材料に先物にまとまった売りが続きました。日経平均株価は13時前に一時、-179円まで下落し、その後も戻る気配のないまま安値もみ合いのなか大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では、非鉄金属、石油・石炭、建設など5業種が上昇。一方、電気・ガス、ゴム製品、輸送用機器、電気機器、医薬品など28業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。

25日(金)の東京株式市場は反発。前日の米国市場でダウ工業株30種平均株価の終値は、13年4ヵ月ぶりに横ばい(変わらず)、小幅もみ合いの展開となりました。その後の東京市場では、取引時間前の記者会見で甘利明経済財政・再生相がTPPの日米協議について「進捗はあったが、大筋合意ではない」と発表し、朝方から売りが先行しました。ただ、売り一巡後は、先物への買い戻しに合わせて為替もやや円安に振れ始めたため、輸出関連株を中心に買いが広がりました。日経平均株価は一時、+149円となる場面もあり、前場は終始、プラス圏で推移しました。その後、後場に入ると、伸び悩む流れに変わるなか、アジア市場が総じて軟調な展開となり、日経平均株価も一時、マイナスとなる場面もありました。来週から大型連休の前半に入る上、国内では2014年3月期決算発表の本格化、日銀の金融政策決定会合の開催、米国では、FOMC(米連邦公開市場委員会)、雇用統計の発表など、数多くのイベントを控え、様子見ムードのなか、底堅くも上値の重い展開のまま大引けを迎えています。

TOPIX業種別指数では鉱業、その他金融、医薬品、ゴム、小売など28業種が上昇。一方、不動産、証券など5業種が下落。

日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

来週の予定です。30日(水)には、国内で日銀の金融政策決定会合の結果が、米国では、FOMCの結果が公表されます。また、2014年1月~3月期の米GDP(国内総生産)速報値が発表となります。5月2日(金)には米雇用統計が発表されます。

いずれもぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。