東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-946円41銭となり、2011年3月14日~18日(-1047円68銭)以来の下落幅となりました。
一週間のうち上昇したのは11日(火)のみ。週末にかけて3日続落となっています。今週の高値は10日(月)の1万5266円12銭、一方、安値は14日(月)の1万4280円75銭。高安の値幅は985円37銭でした。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
10日(月)の東京株式市場は5日ぶりの反落。7日(金)に米国で発表された2月の雇用統計は市場予想を上回り好材料となったもの、中国で発表された2月の貿易統計で輸出額が大幅に落ち込んだことや、取引開始前に国内の10-12月期GDP改定値が速報値から下方修正されたことなどが悪材料となり、東京市場は売りが広がりました。日経平均株価は後場の序盤に一時、1万5088円(185円安)まで下落。その後は、翌日の日銀による金融政策決定会合の結果発表を前に、様子見ムードが強まり、安値圏でもみ合う展開のまま大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では建設、精密など4業種が上昇。一方、不動産、石油・石炭、非鉄金属、鉄鋼、情報・通信など29業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに5日ぶりの反落となっています。
11日(火)の東京株式市場は反発しました。中国の輸出減を示す統計結果を嫌気して、前日の米国市場は軟調な展開となったものの、為替が1ドル=103円台と落ち着きを保ったことから、東京市場は朝方から買いが優勢となりました。上海株の堅調さを確認すると、前場は終盤にかけて一段高となる場面も見られました。しかし、日銀が金融政策の現状維持を決定したというニュースが伝わると、後場の序盤はサプライズに期待していた向きの売りが広がり伸び悩む展開に。その後、米国のテレビインタビューで、ソフトバンクの孫社長がTモバイルUSの買収に改めて意欲を示したことから、日経平均株価への寄与度の高いソフトバンクに買いが入り、大引けにかけては大きく持ち直す形で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では保険、情報・通信、電気・ガス、輸送用機器、建設など29業種が上昇。一方、証券は変わらず、鉄鋼、海運、電気機器の3業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。
12日(水)の東京株式市場は大幅に反落。中国の電気機器メーカーの社債取引が停止されたことを受けて、中国企業の連鎖的なデフォルトが発生するとの懸念が台頭したほか、銅の国際価格が急落したことから、東京市場は序盤から売りが広がりました。取引時間の重なる上海市場が年初来安値を更新するなか、国内でも、2月の消費者態度指数が2011年9月以来の低水準となったことから、消費増税後の消費動向に対する懸念が改めて強まり、後場も軟調な展開が続きました。結局、日経平均株価は、この日の安値近辺で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下り率上位は海運、非鉄金属、石油・石炭、金属製品など。
日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
13日(木)の東京株式市場は続落しました。銅の先物価格が反発し、過度な不安心理が後退したことや、前日に大幅安した反動もあり、朝方の東京市場は反発の展開でスタートしました。ただ、中国の経済統計の発表や、週末にクリミアの住民投票を控えていることもあり、その後は様子見ムードから、膠着感の強い流れとなりました。薄商いが続くなか、午後2時30分過ぎに発表された1月~2月の中国小売売上高や工業生産高が市場予想を下回ったというニュースが伝わると、それを嫌気した売りが膨らみ、終盤はマイナスに沈む形で大引けを迎えています。東証1部の売買高は16億9800万株、売買代金は1兆6317億円と、共に今年最低の水準となっています。
TOPIX業種別指数では、紙・パルプ、ガラス・土石、情報・通信など9業種が上昇。一方、海運、不動産、証券、銀行、医薬品など24業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。
14日(金)の東京株式市場は3日続落となりました。ウクライナ情勢を巡る不透明感が再燃し、前日の海外市場はリスクオフの流れから軟調に推移しました。
その流れ引き継いだを東京市場でも、為替が101円台と円高に振れたことや、中国景気の先行き懸念が重荷となり、朝方から幅広い銘柄に売りが出るなか大幅下落の展開となりました。株価指数先物・オプション3月物のSQ(特別清算指数)値が1万4429円87銭と算出され、SQ算出に関連した日経平均採用銘柄の売買が小幅ながら買い越しの観測だったものの、相場全体への影響は限られました。後場に入ると、日経平均株価の下げ幅は500円を超え、午後2時10分には-535円まで下落する場面もありました。その後はやや持ち直す流れとなったものの、結局、-488円と大幅安のまま大引けを迎えています。週間の下げ幅は2011年3月14日~18日(-1047円68銭)以来の下落幅となりました。
TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下がり率上位は水産、海運、空運、不動産、鉄鋼など。
日経平均株価、TOPIXともに3日続落となっています。
来週の予定です。国内では18日(火)に2月の貿易統計が発表となります。海外では米国で18日(火)~19日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催され、FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が初の議長会見に臨みます。20日(木)には、日銀の黒田総裁が講演します。
いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。