東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比+433円となりました。
週初の3日(月)は4日続落でのスタートとなったものの、その後、4日(火)から7日(金)までは4日続伸となり、今年に入ってから初めて4連騰を記録しました。
今週の高値は7日(金)の1万5312円60銭、一方、安値は3日(月)の1万4443円10銭。高安の値幅は869円50銭でした。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
3日(月)の東京株式市場は4日続落。ロシアがクリミア半島への軍事介入を決定し、ウクライナ情勢を巡る不透明感が強まるなか、東アジア情勢も緊張度が高まり、地政学的リスクから、週明けの東京市場は売りが続く展開となりました。日経平均株価は一時、1万4443円(397円安)まで下落。ただ、後場に入ると、中国株が上昇したことから東京市場も買い戻しの動きが出始め、下げ幅を縮める展開となりました。終始マイナス圏での推移とは言え、この日の高値近辺で大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では鉱業、電気・ガスの2業種が上昇。一方、医薬品、情報・通信、精密、電気機器、不動産など31業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに4日続落となっています。
4日(火)の東京株式市場は5日ぶりに反発しました。ウクライナ情勢の緊迫化から下落した欧米市場の流れを引き継ぎ、東京市場も序盤から売りが先行し、日経平均株価の下げ幅は、一時、100円を超える場面もありました。ただ、投資家のリスク回避姿勢が一服したとして、為替が円安に振れると、その後は押し目買いや買い戻しが広がり、前場中ごろには、プラスに切り返しました。前場の終盤、11時すぎに、大証の日経平均先物の売買に障害が発生し、取引が一時停止となったものの、相場全体への影響は限られました。後場に入ってからも、前日まで4日続落していた反動による押し目買いは続き、プラスを維持する形で大引けを迎えています。その後、ロシアのプーチン大統領がクリミア半島に派遣していた部隊の撤収を指示したとの報道が入ると、日経平均先物3月限が急上昇。午後3時以降に一段高となり、結局、大証の日経平均先物は1万4840円(210円高)で終了しています。
TOPIX業種別指数では不動産、電気・ガス、小売、精密、卸売など28業種が上昇。一方、金属製品、海運、証券など5業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに5日ぶりの反発となっています。
5日(水)の東京株式市場は続伸。前日の海外市場は、ロシアのプーチン大統領がウクライナへの軍事介入に関し「今のところ必要ない」と述べたことを受け、軍事衝突が回避されるとの見方が台頭し株価が上昇。その流れを引き継いだ東京市場も朝方から幅広い銘柄に買いが広がりました。日経平均株価の上げ幅は一時、270円を超え、1万5000円に迫る場面も見られました。為替が円安に振れたことや中国の全国人民代表大会で今年の中国の成長率目標が前年と同じ7.5%とされたことも投資家心理の支えとなりました。ただ、後場の終盤にかけては、新たな手掛かり材料も見当たらないなか先物に売りが出始め、伸び悩む流れのまま大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では、海運、電気・ガスなど29業種が上昇。一方、石油・石炭、小売、証券、銀行、機械など4業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続伸となっています。
6日(木)の東京株式市場は大幅に3日続伸しました。円安がサポートになった一方、前日に米国で発表されたADP雇用レポートなど米マクロ統計が市場予想を下回り、前場の日経平均株価は前日終値を挟んでもみ合う展開となりました。午前10時頃に、公的年金制度の財政検証において「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に国債中心の運用を求めない方針」と伝わると、日経平均株価はマイナスからプラスへと転じました。その後、昼休み中に先物にまとまった買いが入り、後場に入ってからも大きく上げ幅を広げ、後場中ごろには、一時、日経平均株価は1万5203円(305円高)まで上昇する場面も見られました。その後は総じて堅調な展開が続き、日経平均株価は今年に入ってから下落した分の「半値戻し」を達成する形で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では証券、不動産、情報・通信、その他金融、鉄鋼など32業種が上昇。一方、鉱業の1業種のみが下落。
日経平均株価、TOPIXともに3日続伸、木曜日は今年に入ってから8週連続で下落していたなか、9週ぶりの上昇となりました。
7日(金)の東京株式市場は4日続伸となりました。前日の海外市場で、S&P500種株価指数が過去最高値を更新するなど、米国市場が堅調に推移したことや円安を好感し、東京市場も朝方から買いが先行しました。ただ前日まで3日続伸しているほか、日本時間の今晩に米国で2月分の雇用統計の発表を控えていることから、その後は様子見ムードも強まり、利益確定売りから上げ幅を縮小する形で前引けを迎えました。
後場に入ると、序盤は前日終値近辺まで上げ幅が縮小したものの、その後は先物に断続的な買いが入り、日経平均株価も大引けにかけてこの日の高値を更新する堅調な展開のなか取引を終えています。
TOPIX業種別指数では倉庫、鉱業、空運、不動産、石油など32業種が上昇。一方、紙・パルプのみ1業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに4日続伸となっています。
来週の予定です。米国では9日(日)からサマータイム(一時間前倒し)が始まります。10日(月)には国内で10月~12月期のGDP(国内総生産)改定値と1月分の国際収支が発表となります。また10日(月)~11日(火)には日銀金融政策決定会合が開かれます。
13日(木)には1月分の機械受注統計が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。