東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週末比-452円12銭となりました。今週の高値は3日(月)1万4846円93銭。一方、安値は5日(水)の1万3995円86銭。高安の値幅は851円07銭となっています。今週は週初から軟調な展開が続きましたが、週末は300円を超える大幅高となり、落ち着きを取り戻す兆しを見せつつ、一週間の取引を終えています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
3日(月)の東京株式市場は3日続落。新興国不安によるリスクオフの流れが継続し、東京株式市場は、前週末の海外市場が下落した展開を引き継ぐ形で朝方から幅広い銘柄に売りが広がりました。前場は売り買いが交錯する場面があったものの、後場に入ると、株価指数先物が主導する形で相場を押し下げ、軟調な展開となりました。大引けにかけては一段安の流れとなり、日経平均株価、TOPIXともにこの日の安値近辺で終了しています。
TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下り率上位は証券、その他金融、電気・ガス、情報・通信など。日経平均株価、TOPIXともに3日続落となっています。
4日(火)の東京株式市場は大幅に4日続落。前日の米国市場は、1月のISM製造業景況感指数が51.3と12月(56.5)から大幅に悪化したことから「米株安・米債券高・円高」と、リスクオフの流れが加速する展開となりました。その流れを受けた東京株式市場も朝方から全面安で始まり、総じて軟調な展開。先物が下げ足を速めるのにつれて現物も売られ、じりじりと下げ幅を広げました。結局、東証1部の99%が下落し、日経平均は昨年10月8日以来、約4カ月ぶりの安値で終了しています。新興市場も大幅安となりました。
TOPIX業種別指数では全33業種が下落。値下り率上位は非鉄金属、機械、ゴム製品、鉄鋼、建設など。日経平均株価、TOPIXともに4日続落となっています。
5日(水)の東京株式市場は5日ぶりに反発しました。前日の米国市場が上昇した流れを引き継ぎ、東京株式市場は買い戻しや押し目買いが先行しました。7日に発表される米国の雇用統計や次週のFRB(米連邦制度理事会)イエレン議長の公聴会など、注目イベントを前に、売り買いが交錯する値動きの荒い展開となりました。後場に入り、為替が円高に振れると日経平均株価は一時、約4カ月ぶりに心理的な節目である1万4000円を割り込む場面もありました。しかし、下値を探った後は再び上昇し、結局、高値圏を維持して大引けを迎えています。
TOPIX業種別指数では全33業種が上昇。値上り率上位は輸送用機器、鉱業、電気機器、保険、卸売など。日経平均株価、TOPIXともに5日ぶりの反発となっています。
6日(木)の東京株式市場は反落しました。為替がやや円安に振れたことを受けて、朝方は買いが先行し、日経平均株価の上げ幅は一時120円を超える場面もありました。その後も前場はプラス圏で推移したものの、徐々に戻り待ちの売りや利益確定売りが出始め、前引けにかけては上げ幅を縮小する展開に。後場に入ってからは、小幅高の水準で方向感に乏しい流れが続くなか、終盤には先物主導で下げ始め、結局、日経平均株価は安値引け、TOPIXもマイナスに沈んで取引を終えました。
TOPIX業種別指数では紙・パルプ、情報通信、卸売、電気・ガスなど19業種が上昇。一方、医薬品、ゴム製品、その他製品、海運など14業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
7日(金)の東京株式市場は大幅に反発しました。前日の米国市場が上昇した流れを受けて、序盤は230円を超える上げ幅でスタート、買い先行の展開となりました。ただ、米国で雇用統計の発表を控えていることもあり、その内容と市場の反応を見極めたいとするムードが依然として漂うなか、前場は上値が重い場面も見られました。その後、後場の中ごろまでは方向感を見極めようとする流れが続いたものの、後半に入ると、先物中心に買いが出始め、その動きに合わせて現物もじりじりと上げ幅を拡大させました。結局、東証1部全体のうち、9割近い銘柄が上昇する形で大引けを迎えています。TOPIX業種別指数では全33業種が上昇。値上がり率上位は、電気・ガス、海運、繊維、鉄鋼、証券、鉱業、倉庫など。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。
来週は、国内で10日(月)に12月分と2013年の国際収支が発表となります。12日(水)には12月分の機械受注統計と1月~3月の機械受注見通しが発表されます。また、海外では11日(火)に米国で米下院金融サービス委員会が、13日(木)には、米上院銀行委員会がFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長に対する公聴会を開きます。14日(金)には中国で1月分のCPI(消費者物価指数)が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。