東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説します。
経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前年末(大納会)比-379円25銭となりました。年明け最初の一週間は、大幅安の軟調なスタートから方向感の定まらない相場展開が続きました。結局、今週一週間の高値は6日(月)の1万6164円01銭、安値は10日(金)の1万5754円70銭。高安の値幅は409円31銭となっています。
では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。
6日(月)の東京株式市場は大幅に反落しました。大発会に下落したのは2008年以来、6年ぶりのことです。外国為替相場で円安・ドル高が一服した上、年末年始の海外市場が軟調な展開だった流れを引き継ぎ、輸出関連株を中心に利益確定売りが優勢となりました。
新規の支援材料にも乏しく、昨年末にかけて大幅上昇した日経平均先物にまとまった売りが続き、現物の日経平均株価も大幅に押し下げられ、一時、420円を超える下げ幅となりました。ただ値動きの軽い小型株や新興株には個人投資家中心とみられる買いが入り、東証1部の値上がり銘柄数は906銘柄と、値下がり銘柄数の761銘柄を上回りました。
TOPIX業種別指数では、空運、卸売など4業種が上昇。一方、海運、情報・通信、不動産、証券、輸送用機器など29業種が下落。
日経平均株価は10日ぶりの反落、TOPIXは5日ぶりの反落となっています。
7日(火)の東京株式市場は続落。米国市場の下落を受けて朝方から自動車など主力株に売りが先行し、軟調なスタートとなりました。その後も下値ではプラスに切り返す場面があったものの、後場に入ると株価指数先物に断続的な売りが出て、結局、マイナス圏で推移したまま一日の取引を終えています。TOPIX業種別指数では、空運、情報・通信、医薬品の3業種が上昇。一方、保険、倉庫、食品、海運、不動産など30業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。
8日(水)の東京株式市場は大幅に反発し、今年に入って初めて上昇しました。昨年11月の米国の貿易赤字が4年ぶりの低水準に縮小したことを受け、7日の米国市場が反発。この流れを引き継ぎ、朝方から東京市場でも幅広い銘柄に買いが入り、ほぼ全面高でのスタートとなりました。後場に入ってからも、為替が円安で推移するのに併せて輸出関連株が一段高となり、買い安心感が広がりました。日経平均株価の終値は高値引けの1万6121円45銭、昨年の12月30日の大納会以来、1万6000円台を回復し、上げ幅も309円と12月18日以来の大きさとなっています。市場では「海外年金の年明けのニューマネーが主力銘柄に流入した」との観測も聞かれ、TOPIXも高値引けとなりました。TOPIX業種別指数では、食品を除く32業種が上昇。値上り率上位は、その他製品、証券、機械、電気機器など。
日経平均株価、TOPIXともに3日ぶりの大幅反発となっています。
9日(木)の東京株式市場は反落しました。米国市場が軟調だったことからその流れを引き継ぐ形で、朝方から売りが先行しました。翌日に株価指数オプション1月物の特別清算指数(SQ)算出を控えている他、週末の3連休を前にその後も戻りの鈍い展開が続きました。後場に入り為替がやや円高に振れると、自動車など輸出関連株も売られ、日経平均株価は後場中頃に一時、1万5838円(-283円)まで下落する場面も見られました。ただ、ソニー、東芝、NECといったエレクトロニクス関連を始め、出遅れ感のある主力銘柄には買いも入り、個別では物色される銘柄も見受けられました。TOPIX業種別指数では海運、保険、医薬品の3業種が上昇。一方、石油・石炭、不動産、その他製品、銀行、情報・通信など30業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反落となっています。
10日(金)の東京株式市場は小幅に反発しました。前日の海外市場で株価が下落したことを受けて、朝方から売りが先行しました。9時12分過ぎにオプションSQ推計値(1万5784円81銭)が算出され、大きな波乱もなく通過したことで、前場の中頃には日経平均株価が一時プラスに転じる場面もありました。ただ、堅調な流れは続かず、米国の雇用統計の発表を前に積極的な買いも入らず、後場中頃までは軟調な展開が続きました。しかし、大引け前にかけて、急速に先物への買いが入り始め、現物の日経平均株価も激しい値動きを見せつつプラスへと切り返して取引を終えました。TOPIX業種別指数では、その他製品、ゴム製品、銀行、非鉄、情報・通信など20業種が上昇。一方、鉱業、ガス、不動産、保険など10業種が下落。
日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。
オプションSQ絡みでボリュームが膨らんだこともあり、東証1部の売買高は3日連続で30億株超え、売買代金も13日連続で2兆円超えと、活況な商いとなりました。
来週13日(月)は成人の日(祝日)のため東京市場は休場です。
14日(火)には財務省から12月上中旬の貿易統計、11月分の国際収支が、海外では米国で12月分の小売売上高<日本時間22時30分>が発表となります。
15日(水)には米地区連銀経済報告(ベージュブック)<日本時間16日4時>が発表されます。また16日(木)には日銀支店長会議が開かれます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。