東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜(休日は除く)の東京株式市場を振り返って解説するこの連載。今回は、特別編として、2013年の東京株式市場を振り返ります。
皆様、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
読者の皆様にとりまして、この一年が実り多き年となりますよう、心より祈念いたします。
さて、『1週間早分かり東京株式実況中継』と題して連載しているこのコラムですが、年初は一年間(2013年)を「早分かり」で総括したいと思います。週明け1月6日(月)の大発会を前にお役立ていただければ幸いです。
2013年の大納会の東京株式市場は大幅続伸となりました。日経平均株価は9日続伸、TOPIXは4日続伸、日経平均株価は7日連続で、TOPIXは3日連続で年初来高値更新となりました。また、日経平均株価が終値で1円6200円台を回復するのは2007年11月以来、約6年1カ月ぶりのこと、9日続伸の記録は2009年7月14日~21日以来、4年ぶりのことです。
大納会の日経平均株価(終値)1万6291円31銭は2012年の大納会(12/28)の日経平均株価(終値)1万395円18銭と比べ5896円13銭高となり、上昇率はなんと+56.7%。この上昇率は(1)1952年=118.4%、(2)1972年=91.9%、(3)1951年=65.1%、に次いで歴代4位の記録です。(3)1951年と(1)1952年は朝鮮戦争の最中で、言わば戦争特需があった年です。そして(2)1972年は、当時の田中角栄内閣による「日本列島改造」政策に対する期待感が最高潮に達した年でした。2013年はこの1972年以来、41年ぶりの大相場を形成した一年となったわけです。
この一年の高値は大納会12月30日(月)の1万6320円22銭、一方、安値は1月9日(水)の1万398円61銭、高安の値幅は5921円61銭となりました。
では、具体的に東京株式市場の一年間の相場動向についてお伝えします。
大発会1月4日(金)の日経平均株価の始値は1万604円50銭。5日続伸、昨年来高値を更新するなか取引がスタートしました。翌週1月9日(水)には利益確定売りから、2013年の安値1万398円61銭をつけましたが、その後はすぐに反発し、1月から3月までは上昇基調のまま新年度の4月を迎えることになります。4月4日(木)にアベノミクス・3本の矢のうちの1本目の矢である『大胆な金融緩和』が日銀から発表されましたが、その前日3日(水)の日経平均株価(終値)は1万2362円20銭でした。前年末から3日(水)までの上昇率は+18.9%。さらに4日(木)から5月22日(水)の日経平均株価(終値)1万5627円26銭までの上昇率は+26.4%。この日までのトータルで約5割上昇し、前年末比+5232円08銭と、年初からの約5カ月半の間に5000円を超える上げ幅を記録したことになります。
しかし、その翌日5月23日(木)の日経平均株価は一気に急落します。5月22日(水)に米国のFRB(米連邦準備制度理事会)バーナンキ議長がQE(量的金融緩和政策)の縮小を示唆したことが背景にありました。5月23日(木)の大引けの日経平均株価は歴代11位の下落幅となる1143円28銭安、歴代10位となる下落率-7.32%を記録しました。この5月23日(木)以降は、11月半ばまでの約半年間、上げ下げを繰り返す調整局面が続きます。1万2400円~1万5000円のレンジを行ったり来たりする相場展開となりました。このレンジ相場内の高値は参議院選挙直前の7月19日(金)の1万4953円29銭、一方、安値は米FRBが前月に続いてQEの縮小を示唆した6月12日(水)の翌日13日(木)の1万2415円85銭となっています。
この調整局面は11月中旬まで続いたものの、それ以降から年末までの日経平均株価は、再び堅調に推移します。野田前首相による党首討論会での突然の解散表明(2012年11月14日)からちょうど一周年となる11月14日(木)、日経平均株価(終値)は大幅に反発しました。この日を機に、大納会まで今一度上昇基調が続くことになります。12月半ばに数日の調整が入ったものの、11月13日(水)の日経平均株価(終値)から大納会の日経平均株価(終値)までの上昇率は+11.8%。大納会大引けの日経平均株価は9日続伸、7日連続で年初来高値を更新し、年間トータルの上昇率は+56.7%となりました。一方、TOPIXは4日続伸、3日連続で年初来高値を更新し、年間トータルの上昇率は+51.4%となっています。
2013年は年前半を中心に大きく上伸し、年央の調整局面を経て、年後半(年末にかけて)再び上昇する相場展開となりました。
さて、2014年の予定ですが、すでに海外市場がオープンしているなか、早速注目イベントが目白押しですので、通常通り、ここでは来週の予定をご紹介したいと思います。
まず、東京株式市場は1月6日(月)に大発会を迎えます。日本取引所グループ、東京証券取引所、日本経済新聞社が「JPX日経インデックス400」の算出を開始、また、NISA(少額投資非課税制度)もスタートします。その他、12月と2013年の新車販売台数、12月と2013年の軽自動車販売台数、12月の大手百貨店売上高速報が発表されます。
8日(水)には米国で<日本時間9日(木)4時>にFOMC(米連邦公開市場委員会)が12月17日~18日開催分の議事要旨を公表します。
9日(木)には、12月と2013年の輸入車販売台数、12月2013年の車名別新車販売台数、12月と2013年の車名別軽自動車販売台数が発表されます。
また、欧米では<日本時間21時45分>にECB(欧州中央銀行)理事会は金融政策を決定、英国では<日本時間21時>に英中央銀行が金融政策を決定します。
10日(金)には、国内で11月の景気動向指数が発表されます。また株価指数オプションとミニ日経平均先物1月物の特別清算指数(SQ)が算出日となっています。
海外では、米国で注目の雇用統計<日本時間22時30分>が発表されます。いずれもぜひチェックしておきたいところです。
執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)
経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。