東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏が、月曜~金曜の東京株式市場を振り返って解説します。

株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスターの鈴木ともみ氏((C) サコカメラ)


経済キャスターの鈴木ともみです。東京株式市場の今週一週間の相場動向についてお伝えします。日経平均株価の今週末(終値)は前週比113円38銭高となりました。主要企業の2013年4月~9月期の決算発表が本格化するなか、その業績を見極めたいとする向きが多くなり、積極的な売買が手控えられる展開が続いた一週間となりました。方向感が定まらないなか、上昇と下落を日替わりで交互に繰り返す前週からの【23日→(-287円) 24日→(+60円) 25日→(-398円)】流れが、今週に入ってからも31日(木)まで続き【28日→(+307円) 29日→(-70円) 30日→(+176円) 31日→(-174円)】その交互相場が途切れたのは週末の11月1日(金)。結局、1日の日経平均株価は続落(-126円)となっています。今週一週間の高値は30日(水)の1万4526円88銭、安値は1日(金)の1万4126円41銭。高安の値幅は400円47銭となっています。

では、具体的にこの一週間を振り返ってみましょう。前週末に日経平均株価が急落(-398円)した東京株式市場でしたが、週明け28日(月)は、前週末25日(金)の米国市場が上昇したことに加え、為替市場で円高・ドル安が一服したこともあり、外部環境の落ち着きを背景に買い戻しが先行しました。前場はやや伸び悩んだものの、後場に入ると先物や値がさ株に断続的な買いが入り、この日の高値近辺で終了。東証株価指数(TOPIX)の業種別指数では全33業種が上昇し、日経平均株価、TOPIXともに大幅反発となりました。

29日(火)の東京株式市場は目新しい手がかりが見当たらず、米国のFOMC(29日-30日)を前に様子見ムードの強い展開。先物の短期売買に左右され、前場中ごろに中国人民銀行が2週間ぶりに金融市場に資金供給したと伝わると、日経平均先物は一時、上昇する場面もありましたが、堅調にスタートした上海市場が下落に転じたことをあり、後場は売りが優勢となりました。TOPIX業種別指数では、非鉄金属、電気・ガス、医薬品など8業種が上昇、一方、機械、海運、証券、銀行、不動産など25業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反落しています。

30日(水) の東京株式市場は前日の米国ダウ工業株30種平均株価が約1カ月ぶりに過去最高値を更新、またドル円相場が98円台まで円安に振れたことも支援材料となり、取引開始直後から買いが広がりました。米国のADP雇用リポートやFOMCの結果発表を前に上値が重くなる場面が見られたものの、アジア市場の落ち着きを背景に大引けまで堅調さを保ちました。大引けでTOPIXのリバランス(組み入れ銘柄)に関係した商いも膨らみ、売買高、売買代金が大きく増加し、売買高は34億株と30億株台にのせています。TOPIX業種別指数では、海運、その他金融、証券、輸送用機器、銀行など29業種が上昇。鉄鋼、空運など4業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに反発となっています。

31日(木)の東京株式市場は、前日の米国市場が反落した一方、98円台半ばまで円安が進行、外部環境面の手がかりが強弱まちまちで、後場中ごろまで方向感に乏しい展開が続きました。日銀金融政策決定会合で金融政策の現状維持が全員一致で決まると、金融緩和に期待していた一部の投資家による売りが優勢となり、大引け前の30分で先物にまとまった売りが出ました。TOPIX業種別指数では、鉱業、ガラス・土石、医薬品など5業種が上昇、海運、パルプ・紙、証券、鉄鋼、不動産など28業種が下落。日経平均株価、TOPIXともにこの日の安値近辺で取引を終了、反落となりました。ちなみに10月の最終日となった31日の終値をもとに、日経平均株価の月間ベースの推移を見ると127円安、下落となっています。東証1部の一日平均の売買代金は1兆8925億円と2兆円を下回る結果となりました。

月が変わり11月1日(金)の東京株式市場はスタート直後こそ、反発の展開となり、この日もまた上昇と下落を繰り返す交互相場が続くのかと思いきや、一転、前場中ごろから軟調な地合いとなりました。3連休前の手控えムードに加え、ECB(欧州中央銀行)の追加緩和観測を背景に為替相場が円高・ユーロ安に振れたほか、裁定取引に絡む(現物の)日経平均株価の売りも下げ圧力となりました。後場に日経平均株価の下げ幅は一時200円を超え、大引け前に下げ幅が縮小する場面が見られたものの、戻りは限定的となりました。

TOPIX業種別指数では、石油・石炭、情報・通信など4業種が上昇、一方、海運、その他金融、証券、卸売、電気機器など29業種が下落。日経平均株価、TOPIXともに続落となっています。

3連休明けの5日(火)からスタートする東京株式市場。注目イベントとしては、ひき続き国内の決算発表ということになります。なかでも注目は、6日(水)に中間決算を発表するトヨタ自動車(証券コード7203)。また、米国では株価の動向を占う上で重要な7月~9月期のGDP速報値が7日(木)<日本時間7日22:30>に、欧米では為替相場・ユーロの動きを左右するECB(欧州中央銀行)理事会の結果が<日本時間7日21:45>発表されます。ぜひチェックしておきたいところです。

執筆者プロフィール : 鈴木 ともみ(すずき ともみ)

経済キャスター・ファィナンシャルプランナー・DC(確定拠出年金)プランナー。著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊)。東証アローズからの株式実況中継番組『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイス)キャスター。中央大学経済学部国際経済学科を卒業後、現・ラジオNIKKEIに入社。経済番組ディレクター(民間放送連盟賞受賞番組を担当)、記者を務めた他、映画情報番組のディレクター、パーソナリティを担当、その後経済キャスターとして独立。企業経営者、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は2,000人を超える。現在、テレビやラジオへの出演、雑誌やWebサイトでの連載執筆の他、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。