テレビ大好き芸人の橋爪ヨウコです。学生時代はテレビをたくさん見ているというだけで地位を確立し、現在も1日12時間テレビを見ているほどテレビが大好きな私が、今期の中でとにかく熱いと思っているドラマをご紹介する連載シリーズ「こじらせハスキー・橋爪ヨウコの三度の飯よりテレビが好き!」。
今回ご紹介するのはこちら! バカリズムさん原作・脚本・主演の『架空OL日記』(読売テレビ毎週木曜深夜1:29~、日本テレビ毎週土曜深夜1:55~)です。
バカリズムはとてつもなく変態!
2006年から約3年間、バカリズムさんがOLに扮して架空の日常をつづったブログが書籍化し、そしてドラマ化した今作。バカリズムさんは今まで『素敵な選TAXI』や『かもしれない女優たち』『住住』などたくさんのドラマを脚本している中、今回9作目となる『架空OL日記』は、原作であるブログ「妄想升野日記」が狂気的と当時からとても話題になっていて、それがどう実写化されるのか!?と、とても気になって、楽しみにしていました。
「妄想升野日記」は、OLの「私」が、同僚のマキちゃん、後輩のサエちゃん、頼れる先輩の小峰様や酒木さんたちと送る架空の日常が淡々とつづられています。その勤務先の更衣室や休憩室、仕事帰りに立ち寄る駅ビルやカフェなどでの会話や出来事が、男性のバカリズムさんが書いたと思えないほど、本物のOLさんが書いたものそのもので、「平凡でありふれた日常をこんなにもリアルに書けるものなのか。バカリズムさんの中には小さなOLが住んでいるのではないか」…そう思うほどに驚かされました。
それと同時に、バカリズムさんはとてつもなく変態なのだと確信しました(もちろんいい意味で)。ご本人は「暇だったから書いた」と言っていましたが、絶対に経験したことがないであろうOL生活をこんなにもリアリティたっぷりに書けるなんて! ととても狂気的で魅力的だなと思ったのです。
ただ、"誰が主演を演じるか問題"にはずっと気になっていました。他の女性がもし「OLの私」を演じてしまったら、そこにはリアリティしか生まれず、面白みに欠けていたかもしれないこの主演問題。「妄想升野日記」の醍醐味である狂気的な部分が無くなってしまう……と悩むところを、まさかのまさかバカリズムさんご本人が演じるという、こんなにもドストレートな方法で解決するとは!と脱帽です。
また、バカリズムさん演じるOL「私」のメイクは、リップやグロスぐらいでほとんどせず、見た目もスカートを履いている以外は普段のバカリズムさんと変わらないであろう姿なのに、こんなにも自然に違和感がなく見れるのにはびっくりです。
夏帆のナチュラルな演技にも注目
そして、他の出演者も素晴らしい! 同僚・マキちゃん役の夏帆さん、頼れる先輩・小峰様役の臼田あさ美さん、後輩・サエちゃん役の佐藤玲さん、酒木さん役の山田真歩さん。この5人の自然過ぎる会話が、リアリティがあって面白いんです。特に『みんな!エスパーだよ!』(テレビ東京系、2013年)のテレパシーを使えるヤンキー役を演じたあたりから役の幅がグンと広がった夏帆さんのナチュラルな演技が素晴らしく、セリフも全て夏帆さんのアドリブなのでは?と錯覚するほどです。
物語自体は、OLのほのぼのとした日常を淡々と描いたものなので、途中から見てもストーリーが分からないという心配がないこのドラマ。大きな山はないけれども、女性として分かる分かると共感する内容も多いし、「あーこんな女いるわー」とニヤニヤもできて楽しい。そして数分に1回くらい、ふと「あっ! これ男性が書いて、しかも本人が演じているのか」と考えると、とても狂気的でゾクゾクします。ゾクゾクしながら、OLのほのぼのとした日常が垣間見られる新しいドラマ『架空OL日記』。最終話まで残りわずか。今からでも遅くないので、ぜひ見てほしいです。
ちなみに私も、地元の友人にお笑い芸人をやっていると言えずに「東京でOLをしている」と言っていたことがあります。そしてある日芸人やっていることがバレて「OLといっても、お笑いレディのOLだったんだー!」とヘラヘラ言った悲しい過去…。その時、友人が無表情で私に言い放った「ウケるね」は一生忘れない。
■プロフィール
橋爪ヨウコ
1985年生まれ、群馬県出身。2014年に、ドイツみちことお笑いコンビ「こじらせハスキー」を結成し、『ウチのガヤがすみません!』(日テレ)などに出演。ピンでも『新・週刊フジテレビ批評』(フジ)に出演し、1日12時間のテレビ視聴をノルマと課す超テレビっ子。
ツイッター「@dumeko」
ブログ「橋爪ヨウコの群馬大好きなんさー」
6月18日には事務所ライブ「太田プロjrライブ」@西新宿ハーモニックホールに出演。