初めまして。テレビ大好き芸人の橋爪ヨウコです。普段は「こじらせハスキー」というコンビで活動しながら、テレビ大好きなあまり「1日12時間テレビ視聴」をノルマとしてる私が、おすすめのドラマを紹介する連載シリーズ。

第1回は、今放送されている中で一番熱いと思っている剛力彩芽さん主演の『女囚セブン』(テレビ朝日系、毎週金曜23:15~)です。「金曜ナイトドラマ」という深夜枠にも関わらず面白いと話題のドラマ。脚本は、『民王』『ケイゾク』『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』も手がけた西荻弓絵さんが担当しています。

かわいくて艶っぽい声が芸妓役にピッタリ

『女囚セブン』に出演する(左から)木野花、トリンドル玲奈、山口紗弥加、剛力彩芽、安達祐実、橋本マナミ、平岩紙

テレ朝の金曜ナイトドラマは『セカンドラブ』『不機嫌な果実』『奪い愛、冬』など、大人のドロドロとした内容のドラマが多い中、今回は刑務所内で繰り広げられる女囚達のプリズン・サバイバル。剛力さんは、『私の嫌いな探偵』『天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-』『グ・ラ・メ! -総理の料理番-』と、金曜ナイトドラマの主演を数々やっていて、"金曜ナイトドラマの女王"と言っていいぐらいなのです。

前クールで放送されていた『レンタルの恋』(TBS)では時にヤンキー、時にエヴァンゲリオンなど、さまざまな役を演じ分けるレンタル彼女役だった剛力さんが、全く笑わない女囚役ということで、放送前からとても楽しみでした。なにより、笑顔が印象的の剛力さんが、不気味な役を演じることに、第1話からとても惹かれていました。

剛力彩芽

今までも影のある役を演じると、アンニュイさと儚(はかな)さが混ざり合ってとても魅力的な女優さんだと思っていたのですが、今回特に思ったのは剛力さんの声が素晴らしい! これがまたかわいくてそして艶っぽく、今作の京都の芸妓さん役にピッタリなのです。

そして、同房の女囚達も個性豊かで面白い! 政治資金規正法違反及び詐欺罪で服役中の楠瀬司(山口紗弥加)は、神経質かつ宝塚歌劇団の男役のような振る舞いや容姿からあだ名が付けられた「ヅカ」、無銭飲食で刑務所に入った嘘だらけの坂本奈津(安達祐実)は「食い逃げ」、全身整形の被害妄想ばかりする看護師・矢島千鶴香(橋本マナミ)は「ナース」。

子どもを守るためにDV夫を殺害したシングルマザーの市川沙羅(トリンドル玲奈)は「元ヤン(番長と呼ばれると喜ぶ)」、遺産目当ての毒婦こと津田桜子(平岩紙)は「エロ女」、老老介護に疲れ旦那を殺害してしまった平塚うめ(木野花)は「ウメボシ」という、濃いキャラクターばかり。

しかも、この女子刑務所は新人をいじめたりと格差社会。このマウントの取り合いは、刑務所版のドラマ『ファーストクラス』(フジ、2014年/沢尻エリカ主演)ようだなと思いました。オシャレで華やかな世界だけではない、女はどこの世界にいてもマウンティングしたくなる生き物なのだなと痛感。

ただ、このドラマはマウンティングだけではなく、毎回琴音が1人ずつ女囚達を懐柔していくので、社会の風潮や闇をバッサリと斬る姿はとても痛快で、『女囚セブン』ではすっかりおなじみとなった琴音の決めゼリフ「罪は犯した人間が悪いんやない。犯させるヤツが悪いんどす」が繰り出されると「ヨッ!待ってましたっ!」と言いたくなるほどハマッてしまいました。

『女囚セブン』(テレビ朝日系、毎週金曜23:15~24:15)
「花園女子刑務所」を舞台に、強烈な個性を持つ7人の女囚が繰り広げる刑務所群像コメディ。きょう2日放送の第7話では、すべてを仕組んだ黒幕が内藤法務大臣(高嶋政伸)であることを突き止めた琴音(剛力彩芽=写真奥)は、奈津(安達祐実)らに脱獄計画を持ちかける。
(C)テレビ朝日

平岩紙の"エロ女"ぶりに驚き

そんな中で、私が注目したのは、桜子役の平岩紙さん。「ファブリーズ」のCMでもおなじみの平岩さんは、『独身貴族』で、現王園玲子というつまらない話題を延々と話し続ける令嬢役、『きょうは会社休みます』や『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』の恋に疎い主人公の学生時代の友人(子持ちの主婦)役などが多く、どちらかと言ったら、控えめで家庭的。平凡な役が多かった平岩さんが、エロ女とは想像がつかず、そのギャップにとても驚きました。

ドラマの公式サイトでも「見た目はどう見てもただのオバサン」と書かれているように、保険金目当てで殺人を犯す毒婦役が、今までの平凡な役がフリになっていて面白いんです。

このドラマは、コメディでありながら時にアクション。そして、サスペンス要素もあり、いまだに沢山の謎を残しつつも、黒幕が少しずつ分かっていくのが見ていてとても楽しい。焦りすぎずそして引っ張りすぎず、ちょうどいいスピードでドラマが進んでいく様は、ちゃんと視聴者の気持ちを汲んでくれているなと思います。1週間仕事を頑張ってきてから見る金曜深夜のドラマにはピッタリなんです。

この身構えないで楽しめるドラマ『女囚セブン』。クライマックスに近づいてきていますが、今作を機に、剛力さんが"金曜ナイトドラマの女王"と呼ばれる日も近いぞと……31歳独身厄年お笑いの月収2万円、アルバイト生活で金曜日なんて関係ないマウンティング最下位の私は思います。

■プロフィール
橋爪ヨウコ
1985年生まれ、群馬県出身。2014年に、ドイツみちことお笑いコンビ「こじらせハスキー」を結成し、『ウチのガヤがすみません!』(日テレ)などに出演。ピンでも『新・週刊フジテレビ批評』(フジ)に出演し、1日12時間のテレビ視聴をノルマと課す超テレビっ子。

ツイッター「@dumeko」
ブログ「橋爪ヨウコの群馬大好きなんさー」

6月18日には事務所ライブ「太田プロjrライブ」@西新宿ハーモニックホールに出演。