こんにちは。住宅デザイナーのタブチキヨシです。今回は、Instagramでも反響が大きかった筆者が考える"理想の間取り"2プランを紹介します。「間取りA」が延べ床面積29坪の3LDK、「間取りB」が27坪の3LDKとなります。

「間取りA」1階

たっぷりの光・風・収納を兼ね備えた間取り

「間取りA」は、1階の玄関に大きめのウォーククロークとファミリークロークがあり、LDKと広めの洗面洗濯室、浴室を備えています。また、2階には子供部屋二つに主寝室があります。

この間取りの何が優れているのか? まずは玄関から説明します。玄関には、収納専用の空間である「ウォーククローク」が配置され、その先の「ファミリークローク」とつながっています。まず、玄関に「ウォーククローク」があることで、玄関部に多くの靴が散乱しません。ウォーククロークは1.8帖(じょう)あり、約100足の靴が収納できます。

また、玄関にシューズボックスを設置せず、可動棚をつける事で、ベビーカーや灯油などを収納する事も可能です。玄関を抜けるとホールのような「ファミリークローク」を抜けますが、「ファミリークローク」にはコートやかばん、帽子、上着などが収納できます。要するに、歩きながら身支度ができる動線になっているのです。

歩きながら身支度できる動線をデザイン(色を塗った部分がクローク部)

ほかにも、この家には洗面洗濯室がありますが、トイレは洗面洗濯室とは離れた玄関部に設置しました。洗濯・洗面を行うこの部屋では、音や匂いを気にする人も多いので、あえてダイニングやキッチンからも離れた位置にトイレを置いています。

洗面洗濯室とトイレは離れた場所に(色を塗った部分がトイレと洗面洗濯室)

また、リビングとダイニングとキッチンの南側が全て窓になっているため、とても明るい家になっています。ダイニングの北側にはリビングクロークがあり、薬箱やセロハンテープ・ガムテープ・爪切りなどが収納可能。掃除ロボットを持っている場合は、その基地にもなります。

キッチンには勝手口を設置していないのですが、洗面洗濯室の南側に勝手口を設置し、ゴミ出しもここから行えるよう間取りを考えました。洗面洗濯室から勝手口に出られるので、庭に洗濯物を干す時も使い勝手が良い配置となっています。

「間取りA」2階

2階では、各子供部屋と寝室にそれぞれ収納が設置され、かつ廊下に2帖の収納が確保されています。この収納には、布団やクリスマスツリー、ストーブや扇風機など季節によっては使わない物などを収納するのに向いています。

また、2階の3部屋も全て南側に配置。家全体を通して、光・風・収納の充実を考えた間取りとなっています。

「間取りB」2階。起床から身支度までが2階でほとんど完結する

家族の成長と共に変化する間取り

延べ床面積27坪の「間取りB」では、1階に洋室とLDK、2階に洋室2部屋と4帖の洗面洗濯室と3帖のクロゼットを確保しています。

この間取りで特徴的なのが、2階に洗面洗濯室と浴室があるということです。朝の動線は、「寝室で起床」→「洗面洗濯室で歯磨き」→「クロゼットで着替え」となり、洗面洗濯室には家着や下着を収納できる棚も設置されていますので、2階でほとんどの身支度ができるのが特徴です。また、雨の日には洗面洗濯室で洗濯物を干し、乾いたらそのままクロゼットに収納できます。

次に、1階を見てみましょう。「間取りB」は、「子供はいずれほしいが、1人か2人かまだ決めていない」という30代新婚夫婦の世帯を想定した間取りにしています。

そこで、1階の洋室が生きてきます。もちろん子供部屋として生かすこともできますが、今後子供が生まれ、「自分の部屋がほしい」と言うのが小学4年生だとすると、もう1部屋必要になるのは妊娠期間も含めて早くても約10~11年後という計算になります。であれば、1階の洋室は夫婦の趣味部屋にしてしまってもいいでしょう。自転車を飾る、登山道具を収納する、アパレルショップのように服を飾るなど、遊び心を入れた部屋にするのもすてきです。

洋室の使い方に可能性が広がる「間取りB」1階(色を塗った部分が洋室)

育児に手間やお金がかかるようになれば、それらの趣味に割く時間やお金も減っていくかもしれません。そのときは、部屋を整理して子供部屋として活用するといいでしょう。

また、子供がいずれ独立することもあります。大学を出て社会人になってから家を出たと想定すると、独立時の子供の年齢は22~25歳ほど。子供部屋を作ってから約十数年後には子供が巣立ち、再び空き部屋になる可能性があるということです。そうすればまた新たに夫婦の趣味部屋にしてもいいですし、いずれは自分たちの寝室にしてもいいと思います。

27坪と決して大きくはない家ではありますが、収納が各居室とは別にしっかり確保されているため、家族の成長に合わせて可変的に対応できる間取りになっています。

以上、筆者が考える「理想の間取り」2プランを紹介しました。"ワクワクキャー"な家づくりの参考に、少しでもなれば幸いです。

著者プロフィール: タブチキヨシ

日本中にハッピーな家をたくさん建てる事を夢見る住宅のプロ。
Instagramでは2万6,500人(2016年4月時点)のフォロワーがいるカリスマ住宅デザイナー。
attract style・house stageの代表取締役を務めながら可愛すぎずカッコよすぎないデザインを追求し、ワクワクキャーな家を提供している。
インテリアショップ「THE WOW」も経営し、家具販売も手掛けている。
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