こんにちは! パーソナルトレーナーの片岡です。今回はダイエットを成功させるための「筋トレのセット数」について解説していきます。
突然ですが、筋トレをするとき、何セット行っていますか? なんとくなく3セットくらいやってる方が多いのではないでしょうか。筋トレでセット数を組むのには、ちゃんとした理由があります。これを理解しておくと、筋トレがレベルアップすること間違いありません。今回は目的に適したセット数の組み方についてまとめてみました。最適な回数を行えば、筋トレの効果はグンと上がります。
なぜセット数が重要なのか
脳は「今の筋肉の機能では、この状況に耐えられない」と認知すると、筋肉の成長を促すために成長ホルモンを分泌します。詳細を語ると話が逸れてしまうので、この辺のメカニズムについては省略することにしましょう。
着目すべきは、「耐えられない状況」という点。つまり、脳に危機感を持たせることが重要なのです。言わば筋トレとは、脳にスイッチを入れるための作業。トレーニーたちは日々、肉体に負荷をかけて危機感を演出しているのです。筋トレにセット数を設けるのは、そのための手段として非常に有効だからです。
理由1 オールアウトさせる
筋肉は通常、100%の力を発揮しないようにセーブされてます。関節や靭帯を保護するためなのですが、この仕組みによって筋肉を限界まで酷使しないようになっています。
これは筋トレにも当てはまることで、どんなに限界までやり込んでも、1回のトレーニングでは追い込みが不十分です。実際のところ、筋繊維の30~40%程度しか使われないとも言われており、残りの60~70%は休んでいる状態。これでは脳への危機感が足りません。
そこで考案されたのが、複数回に分けてトレーニングする方法です。セット数を重ねるごとに筋肉は疲労蓄積するので、休んでいた筋繊維も使われるようになり、最終セットですべての筋肉が限界に達します。
筋トレ業界では、すべて使い切ることを「オールアウト」と呼びますね。まとめると、筋肉を段階的に動かすことですべての筋繊維を使い切り、オールアウトさせることが可能になります。
理由2 メインセットで追い込む
脳が危機を感じるのは、筋肉が限界に達してからの数秒間だと言われています。この限られた時間内で筋肉が追い込まれたとき、脳はアドレナリンと成長ホルモンを大量分泌させます。
筋肉を効率よく成長させるには、この状態でどれだけ追い込めるかが重要。ここまでの危機感を持たせても、その後十分に追い込めなかったら、ベストな結果を得ることはできません。なぜなら、限界に達するとフォーム・集中力の維持が困難になるからです。
そのため、追い込みをかける最終セット、いわゆる「メインセット」に照準を合わせて、前のセットを準備に当てます。フォームの確認を入念に行い、筋肉を適度に疲労させて、メインセットですべてのエネルギーを使いきれば、理想的なオールアウトが可能です。
スポーツに例えると、メインセットは試合、それまでのセットは練習といったイメージですね。
理由3 コンディションチェック
しっかりとオールアウトさせるには、限界をある程度予測しておくことが鍵になります。目的地が見えていないと、何事もうまくいきませんよね?
筋トレも同じで、その日のコンディションを把握しておくことは、限界をはかるためにとても大切。筋トレ前はウォームアップをするのが常識ですが、この段階では自分のコンディションを十分に把握しきれないでしょう。
コンディションは体重・体調・精神状態はもちろん、飲食した物などでも左右されます。そういった意識で取り組むと、1セット目は体の状態を判断するためにも使えます。
もしかすると、思いのほかウェイトを挙げられないかもしれません。1セット目で気がつけば、ウェイトの調節をすることができますよね。オールアウトに向けてフォームを確認することも重要ですが、コンディションを見る意味でもセット数を設けることをおすすめします。
目的によってセット数を変える!
筋トレを行う目的は人それぞれ。効率よく結果を出すには、その目的に適したトレーニングを実践する必要があります。「何のために筋肉を鍛えるのか」「どういった効果を出したいのか」をしっかり定めることから始めましょう。
目標が決まったところで、ようやくセット数について具体的に考えることができます。順を追って解説していきたいと思います。
速筋・遅筋のバランス
目標が決まれば、ターゲットとなる筋肉も自ずと決まります。もっと言えば、鍛える筋肉の種類がはっきりしてきます。
ご存知の方もいるでしょうが、筋肉は大きく分けて「速筋」「遅筋」の2種類があり、全身の筋肉群に約3:7の割合で存在しています。もちろん個人差があり、2種類の割合によって、スポーツの向き・不向きに関わってきます。
速筋は大きな力を瞬間的に出す筋肉で、パワーに優れる代わりに持久力がありません。一方の遅筋は、大きな力は発揮できませんが、持久力に優れていることが特徴です。速筋は糖質、遅筋は脂質を主なエネルギー源としています。
どちらの筋肉を鍛えるべきか
今回着目するのは、ずばり筋繊維の太さ。みなさんも経験からわかるように、筋肉は太いほど大きな力を発揮しますよね。つまり、速筋の方が筋繊維が太く成長するということです。よって、ボディメイクを目的として、筋肉を大きく育てるならターゲットは速筋のみ。筋肉を分解する恐れがあるので、遅筋トレーニングはほとんど行いません。
反対に、マラソン選手はパワーよりもスタミナ重視なので、遅筋トレーニングのみ行います。
トレーニング負荷とレップ数(回数)の設定
私たちは、普段遅筋を動かすことで生活しています。重い物を持ったり、素早く動いたりするときに、速筋も共に作動する仕組みです。速筋が稼働し始めるときの重さや速さは人によって異なります。トレーニングに置き換えて考えると、負荷の大きさに応じて、使われる筋肉の種類が変わってくるということ。ウェイトの選び方で、効果が変動するというわけです。
RM(レップマックス)について
速筋をどれだけ使っているかを判断する指標の一つに、「RM(レップマックス)」というものがあります。これは限界レップ数(回数)のトレーニング負荷と考えてください。例えば、アームカールで15kg×10レップが限界ならば、この種目の10RMは15kgとなります。
筋トレにおいて、このRMの考え方が非常に重要です。筋トレの目的に応じてRMを設定することで、効果的に筋肉を発達させることができます。一般的には、最大筋力アップには1~4RM、筋肥大には5~14RM、筋持久力アップには15RM以上が適していると言われています。
セット数の設定
目的が定まり、RMも決まったところで、ようやくセット数について考えることができます。先ほどセット数がどれほど重要かお話しましたが、目的に応じてセット数を設定して、筋肉を確実に刺激しましょう。筋力アップが目標ならセット数が多いほど効果的です。多い方なら7~8セットと言ったところでしょうか。
低レップ×高セットで限界まで追い込み、筋肉の発達はもちろんのこと、運動神経も発達させることが狙い。神経系を刺激することで、筋肉のパフォーマンスを高めます。筋肥大が目標なら、筋力アップほどセット数を増やす必要はありません。最低3セットといったところでしょうか。筋持久力アップが狙いなら、さらに少ないセット数で大丈夫です。
筋トレ初心者にとって高セットのトレーニングは大変。 4~5セット行うには、けっこう体力を消耗します。そこで、慣れるまでは3セットでオールアウトさせましょう。いずれの負荷にせよ、最低限3セットこなせば、まんべんなく筋肉を刺激することができます。
インターバルとトレーニング頻度の設定
セット数まで決まったら、あとはセット間インターバルの取り方です。基本的に、低レップ×高セットの高強度トレーニングほど、インターバルを長く設定します。高強度トレーニングは、MAX値に近いウェイトで行うので、1セットでかなり疲労しますからね。
そして、トレーニング頻度についてですが、これはターゲットとした筋肉の部位に応じて変えましょう。これは筋肉によって超回復に要する時間が異なるためです。大胸筋・広背筋などは72時間、三角筋・上腕二頭筋などは48時間、腹筋・前腕筋などは24時間かけて超回復します。胸、背中、下半身といった具合に分けて、3日間隔でトレーニングをローテーションすれば十分かと思います。
筋トレのメニューを組む前に、しっかりと自分の目的や内容を設定しておくと、断然効果が出るようになります。詳細まで考えておけば、仮に効果が感じられなくても、自分でアレンジできるようになります!
クローズグリップベンチプレスで逞しい腕に
逞しい腕を目指すにはこの種目。「クローズグリップベンチプレス」のトレーニング法をお伝えします。この種目は上腕三頭筋を集中的に鍛えていきます。
(1)バーベルを肩幅程度に握り、グリップはサムレスグリップで。
(2)胸の真ん中に向けて降ろしていく。手首は立てない。
(3)降ろす際にも上腕三頭筋のストレッチを意識する。
各10~15回3セットが目標です。
あなたのダイエットのきっかけとなれば幸いです。