喫茶店でカプチーノを注文すると、泡立てたミルクで絵が描かれていることがある。ハートや葉っぱの形が可愛いのである。先日、バリスタと呼ばれる、コーヒーの専門家が上手にカプチーノに絵を描く様子を映した動画を観た。まるで手品のように、絵が形づくられていくのである。さすがプロは違うと、うなってしまう。などと、感心している矢先、電話がかかってきた。
相手はマイコミジャーナルの編集者A氏だった。なんと、このデザインカプチーノ。家でも作れるのだと彼女は言う。
「がんばってみてください」
そう言って彼女が電話を切った数日後。エスプレッソマシーンがぐうたら家に届いた。エスプレッソ・カプチーノメーカー「EC200N-R」(デロンギ)である。イタリア~な感じが漂いまくり、電源を入れる前からコーヒーの香りがあたりに広がる(ような気がした)。
しかし、ぐうたら主婦はバリスタでもなんでもない。ペーパードリップでコーヒーを入れることはよくあるが、エスプレッソなんて家で入れたことなど一度もない。それに、カプチーノといえば泡立ったミルクが必要。初心者の私でもできるのだろうか。
簡単にエスプレッソを家庭で
このエスプレッソ・カプチーノメーカー EC200N-Rは手軽にエスプレッソを楽しめる機械だ。しかも、ミルクを泡立てることもできる。これさえあれば、デザイン・カプチーノだって簡単にできそうである。早速、試してみた。
まずはエスプレッソから。背面のタンクに水を入れて、電源をオン。予熱が完了すると「OK」のランプが点灯する。コーヒー豆はパウダータイプとエスプレッソ用のポッドのどちらでも利用できる。パウダーを選ぶ私。ハンドル部分にコーヒーの粉を詰め込む。手の甲を入れた粉の上から押し付ける。こうすることで、粉が均一になるのだという。分量を入れたら、ハンドルをセット。あとは、ダイヤルをエスプレッソ抽出に合わせるだけ。自動で黒い液体がカップに注がれる。気圧は、ポンプ内15気圧、抽出時9気圧という業務用マシン並みとなる。
喫茶店などでエスプレッソを頼むと、表面に泡のようなものが浮いている。これはクレマと呼ばれるものだ。このエスプレッソマシーンはしっかりとクレマもできる。香りもいいし、味もいい。店でいただくのと同等の苦味が口の中に広がった。まずは、エスプレッソはクリアーである。
次はデザインカプチーノだ。まずは簡単な丸から描いてみることにした。最初に先ほどつくった30ccのエスプレッソをいれる。ここは難なくクリアー。次が難関、ミルクの泡立てである。EC200N-Rにはノズルがついている。これをミルクが入ったピッチャーに浸す。ノズルからスチームが出てきて、これがミルクを泡立ててくれるのである。と、書くととても簡単そうだが、ノズルを深く浸しすぎるとうまく泡立たない。浸す時間が短すぎてもダメである。試行錯誤の末、なんとかクリーミーなミルクが出来上がった。それをエスプレッソに注ぎ、ようやくキレイな丸が完成した。
"美しいハート"までは遠い道のりか?
丸型の成功で気分を良くしたぐうたら主婦。次は、顔を描いてみた。できあがった丸に目や鼻を入れていくのである。つまようじの先にコーヒーをつけ、丸の上に乗せる。コーヒー色した目や鼻が白い泡に映える。いい感じに進んでいると自分では思っていた。が、出来上がったものを眺めると、まさに幽霊だった。気を取り直して、再度挑戦。二番目のは自分で言うのもなんだが、可愛いのである(←めでたい)。
勢いに乗って、次はハートに挑戦してみた。ハート型を描くには、まず丸を描く要領でエスプレッソにミルクを注ぎ、次にミルクピッチャーを描いた丸の上に横方向にスライドさせて注ぐことで、ハート型ができる(とマニュアルには書いてあった)。バリスタ動画で手つきを観察。準備は万端怠りない。トライしてみた。が、出来上がったハートはこれ(下の写真)である。
ゆがんでいるのである。厚みも薄い。作り手のハートを反映しているのか。ああ、どうせアタシは性格がゆがんでいるし、薄っぺらな人間ですよ。などと、失敗作にむかって、見苦しいセリフを吐くぐうたら主婦。何度かトライしたが、腕が足りず。無念断念。ハートはあきらめることにした。
またも気を取り直して、次はイチゴに挑戦。あらかじめ小さな丸を作り、そこに泡を乗せてヘタを作っていく(同じくマニュアルより)。小さな丸は無難にクリアー。ここにティースプーンで泡を足して、イチゴの形に仕上げる。ヘタは細くしなければならない。ココが難しい。結局、ヘタが丸く太くなってしまい、"ねずみ"(に見える!)ができあがった。
というわけで、基本的なところはできたが、技術を要するものは1日ではできず、練習が必要なようだ。ポイントはミルクの泡立てにあるのだろう。もう少し腕を磨いて、もっとクリーミーでキメ細かく泡立つミルクができるようにしなければならないことを感じた。マニュアルには、ステンレス製のミルクピッチャーがよいと書かれていた。熱を通しやすいステンレス製だと、温度が手に伝わりやすくミルクフォームの加熱しすぎを防ぐのだという。私は陶器製のものを利用したのだが、道具もキチンと揃えたほうが良かったかもしれない。
結果は100点満点とは言いがたい。でも、楽しいのである。ハマるのである。泡立てるときのミルクピッチャーの傾け方とか、ノズルを浸す深さとか。少しずつ変えながら、結果に一喜一憂する。バリスタの専門学校があるくらいだ。奥が深いのである。たとえプロにならなくても、趣味としてデザインカプチーノ作りには楽しめる要素が多くある。プロの腕前はこちらで確認できる。
価格は24,800円。マイコミジャーナル価格情報(2009年5月16日)では、12,399円~19,800円で出ていた。安いとはいえないが、趣味の道具としてとらえるなら高くはないだろう。色は赤と白のほか、新色の黄色、黒がある。部屋の雰囲気に合わせて、色を選ぶとよいだろう。本体サイズは、240(W)×320(H)×250(D)mmで重さは3.1kgだ。
機会があったら、もう少し練習して、ハートが描けるようになりたいものである。ふわっとしていて、温かみのあるハート。道のりは遠そうである。