「最近、遠ざかっている」
なにから?って、カラオケ、ゴルフ、テニス。要するに、生活に「ゆとり」をもたらす潤滑油のようなものが私から消えている。なくても生きていけるから、遠ざかったことに気づかない……。あることがきっかけで、自分の生活に潤いがなくなっているこの事実を知る。そして、最近、ギスギス、イライラしている理由がこの潤いのなさにあるのだとわかって愕然とするのだ。こういう経験って、子育てをしている女性にはよくあることで、私だけではないような気がする。

実は、私の場合、カラオケ、ゴルフ、テニスのほかに、「最近、遠ざかっている」ものがもう一つあったのだ。それに気づいたのは、先日、掃除をしていたときのこと。ぐうたら家のキッチンには収納のための引き出しがある。買い物をしては、何も考えずにものを詰め込むので、随分前からキチンと引き出しが閉まらない。そこで、先日、やっとの思いで、不要なものを捨てようと整理を始めたのだ。まさに、引き出しの中はお化け屋敷のよう。賞味期限が切れてから、1年以上も経っている缶詰。約3年前に買った乾燥ワカメ。いつ買ったか、わからない寒天。ミイラの発掘現場のように、手に取るもの全てがはるか昔のものばかりだった。

そんな中、ひときわ驚かされたのは、小麦粉。普通、一つ買えばいいのに、お菓子に使う高級小麦粉と普段の料理に使う用の安いタイプなどが、何種類も横たわっている。これも収納場所を少なくさせる大きな要因だ。その中でも、強力粉。なんと、賞味期限を見たら、2007年4月になっている。今は2009年。2年も経っているのに、気づかなかった。なぜ、気づかなかったのか。強力粉はパンの材料だ。ということは、パンを作っていないということだ。以前こちらのコラムでパンを焼いたのが、2006年10月。もしかしたら、ぐうたら主婦はそれ以来パンを焼いていないのか。記憶はあやふやだが、どうもそうらしい。

おいしさのほかにベーカリーに求めること

パナソニック 自動ホームベーカリー「SD-BM102」

手作りパンは作るのに時間がかかる。特別なテクニックは必要ないが、発酵に失敗したら膨らまない。おいしいご飯を炊くのと一緒で、美味なパンづくりには、奥深いアレコレがあるのだ。カラオケは3カ月行かなくても、許せるものがある。が、パンを焼いていないと、主婦としてのランクがどんどん下がってしまうような気がするのである(すでに、下限に到達しています)。パンを作ることで、ゆとりある主婦の証を取り戻したかった。

とはいえ、面倒くさいことはパスしたい。なにしろ、発酵、成形など、パン作りには手がかかる。そんなとき、便利なのが材料を放り込んでおけば、自動で食パンなどが出来上がるホームベーカリーだ。家電メーカー各社から、多数発売されている。どれを選ぶのか、ポイントはなんといっても「おいしく焼けること」が一番だ。そして、できるだけ多種類のメニューが機能としてそろっているほうが嬉しい。なにしろ、毎日食パンだと、子どもは飽きてしまう。ときには、目先の変わったパンを作ってあげると大喜びするのである。 そこで登場するのが、自動ホームベーカリー「SD-BM102」。メーカーはパナソニック。見た目は、普通のホームベーカリーである。しかし、機能は充実。メロンパンをはじめ多様なアレンジパンが焼ける「メロンパンコース」を搭載しているのである。小学生である娘のまわりでメロンパンが嫌いな子はいない。しかも、子どもにとって、お店で買ったものよりも母親が手作りしたもののほうが嬉しいようだ。
「メロンパンがおうちで焼けるベーカリーがあるんだよ」
私が娘にそう伝えると、その日から、「メロンパンが食べたい!」と、毎日うるさくなった。

出来上がり直後の様子

メロンパンの作り方を知っているか

商品が届き、早速、焼いてみた。メロンパンコースでは、シナモンロールや抹茶黒豆ロールなどのアレンジパンもできる。そのほか、ピザ生地や餅も作れるSD-BM102だが、まずはオーソドックスな食パンから始めてみた。「メロンパンが食べたい」を連呼する娘をなだめ、出来上がったパンはこれ。焼きたてだからおいしくできて当たり前なのだが、それを差し引いてもおいしい。ホームベーカリーでつくったパンはまずいという人は少なくない。が、このSD-BM102はそんな先入観を消し去ってしまうくらい、おいしい。まわりはパリッとしていて、歯ざわりのいいパンが焼けるところが特徴だ。

食パン。まずは網の上で冷ます

メロンパン。型と同じ四角い形が出来上がる

メロンパンが好きという人は大人でも多い。が、メロンパンの作り方は意外と知られていないのではないだろうか。私も今回初めて作り方を知った。メロンパンは名前は「メロン」だが、材料にメロンは使わない。通常のパンと同じ材料に加えて、クッキーの生地を用意するのだ。メロンパンをかじったときのサクッとした歯ざわり。アレはクッキーと同じ材料でできているのである。パンの材料を入れて、「メロンパンコース」を選択してスタート。しばらくすると、合図が鳴るので、SD-BM102のフタを開ける。そこにあらかじめ作っておいたクッキー生地を乗せる。再度スタートボタン押すと、メロンパンが出来上がり。ちょうど娘の友だちが家に来ていた。おやつに最適である。買ってきたお菓子を出すのもいいけど、手作りのおやつを出した日は少しだけ優越感なのである。誰もほめてくれないけれど。いいのである。空になった皿を見るのが嬉しいのである。

つくったパンをこんがり焼いてトーストに。スクランブルエッグを添えて、おいしさに納得

残り時間を示してくれる。表示は大きな文字で見やすい

そして、このSD-BM102。もう一つの特徴は「ヘルシー」であるところだ。パンとヘルシー、あまり関係なさそうだが、実はある。詳細は次回に。

イラスト:YO-CO