寝ながらエステができる画期的な商品、パナソニックのナイトスチーマー ナノケア「EH-SA40」。スイッチを入れた後、ユーザーはぐっすり眠りにつく。その間、ナイトスチーマーは休まずに働いてくれる。なんて、エラい奴なんだ。しかし、使う側からすると、眠りについた後に肌がやけどしないか、といった心配があるかもしれない。美顔器の中には、放出されるスチームの温度が高いものもある。このナイトスチーマーは大丈夫なのか?

結論を先に言うなら、大丈夫である。EH-SA40は、スチームに風を混入させ、安全に配慮した温度設定になっているのだ。パナソニックによると、室温30℃のときスチーム温度は約47℃。これならば、寝ている間、気づかずにやけどしてしまうこともない。しかも、タイマーがついており、約8時間経つと自動でオフになる。朝寝坊して、あわてて支度をしているうちに、電源を切るのを忘れた。そんなときでも安心だ。

パナソニック ナイトスチーマー ナノケア「EH-SA40」。潤風スチーム放出中

パナソニックの製品には名前にナノケアを付しているものが少なくない。ヘアードライヤーや加湿機、エアコン、そして洗濯乾燥機や冷蔵庫にまで搭載されている。ヘアードライヤーなら髪にnanoe(ナノイー)が浸透し潤いを与えるので、nanoeが効果的なのもわかる。ところが、洗濯乾燥機や冷蔵庫にnanoeが役立つ場面というのは想像しにくい。なぜ洗濯機にnanoeなのだろう? 実は、洗濯機の場合はnanoeが繊維の奥に入り込んで、菌やニオイの元に作用するという。nanoeは髪や肌だけでなく、繊維にまで入り込むのだ。また、冷蔵庫では野菜室にnanoeを拡散させると、美味しく新鮮なまま野菜を保存できるそうだ。このように、nanoeが何らかの形で役に立っている商品がたくさん存在しているのだ。

nanoeに切り替わった後は青のランプが点灯

そもそも、nanoeとは何か。これはパナソニック独自の水に包まれた微細なイオンのことを指す。マイナスイオンよりも水分量が約1,000倍。体積は蒸気の約10億分の1。なんと小さい。だから、肌にも髪にもそして繊維にも浸透しやすいようである。角質層の奥まで浸み込むから、肌にハリと弾力を与える効果を期待できるということのようだ。

製品の価値とは何か

家電メーカー各社を見ていると、その多くはユーザーのことをとても大切にしていることがわかる。使い勝手の良し悪しから安全性まで、細かいことにまで注意を払っている。例えば、先のスチームの温度を低く設定する、タイマーを付けて切り忘れに対処するなど、ユーザーの安全に配慮し、安心して使えるように設計しているのだ。

ぐうたら主婦が以前勤めていた家電メーカーでは製品の安全性を保証するため、試験項目が社内規定できっちりと決められている。また、従業員もPL(製造物責任)法の対象となるような事故はもとより、品質上の大きな問題は絶対に起こしてはいけない、という意識が高かった。これはほかの大手の電機メーカーにも共通している意識なのではないだろうか。

パナソニックはFF式石油暖房機で一酸化炭素中毒事故を起こしたことがある。このとき、当時の社長が陣頭指揮を取り対応した。対象製品の引き取り(1台あたり5万円の支払い)、あるいは無料で給気ホース部の点検修理を実施。自社のミスを隠すこともなく、大きく告知し、ユーザーに呼びかけた。

欠陥のない製品を作ろうと努力しても、人間である以上、間違いが避けられないときもある。ミスがないようにしていても、どうしてもミスしてしまうこともあるのだ。しかし、万が一製品に欠陥があることがわかったとき、速やかに対処する姿勢。これが素晴らしいと思う。電化製品の価値はその製品の機能やスペックの良し悪しだけで量るものではない。メーカーの保証体制、ひいていえば企業文化もその製品の価値を左右するものの一つなのだと私は思う。ユーザーが安心して使えるように工夫している。そこにパナソニック ナイトスチーマーの価値の一つがあるといえる。

美人でなくてもいいのです

デザインは、スタイリッシュというよりは丸くてかわいらしいといった印象。個人の好みもあるかもしれないが、スイッチを入れたら、眠ってしまうのだから問題ない。それに、低重心化し球体にしたことで、安定性が出て倒れにくいようになっている。手に取って使う商品やリビングで来客の目につく製品はデザインにこだわりたい。でも、ベッドの横で使う製品は特別美しくある必要はないのだ。むしろ、安定性が悪くて、地震が来たとき倒れるようでは困る。地面の揺れとともに、製品が顔面を直撃したら、何のためにフェイスケアをしているのかわからなくなってしまうだろう。この低重心なデザインのほうがユーザーとしては安心できる。

nanoeはここから放出される。目には見えない

使い方としては、じゅうたんや畳の上でもOK。付属品にトレイがあるので、これを使えば、柔らかいじゅうたんでも平らに安定する。手入れは簡単である。使い終わったら、タンク内の水を捨てる。次に排水口から本体内に残っている水を捨てる。これで終わりである。後は、本体に水がついていたら、タオルなどで拭えばいい。電源コードは下側に巻きつけるようになっているので、巻きつけてしまえば収納の邪魔にならない。忘れていけないのが、1年に1回、フィルターに付いたほこりを掃除機で吸い取ることだ。手入れはどれもたやすい。

水を入れるタンク

排出口。使い終わったら水を捨てる

若干心配なのは、動作中はファンが回っていることだ。私は気にならなかったが、少しでも音がすると眠れなくなってしまう人はファンの音が少しだけ耳に付くかもしれない。ただし、うるさいほどではないので、たいていは気にならないレベルだといえる。 価格はマイコミジャーナルの価格情報(11月28日時点)で、18,000円~27,994円。自宅でしかも寝ている間にエステができるのだから、お得ではある。スキンケアを強化したい人はぜひおすすめである。

イラスト:YO-CO