本来、人間は怠け者なのか。それとも働き者なのか。娘が通う小学校ではお手伝いを奨励しているせいか、ときどき娘は家事を手伝ってくれる。「風呂をピカピカにしたよ」などと私に報告してくれるのである。ところが、部屋掃除には私と同じく、掃除機を出すのが面倒くさいようで消極的だ。娘は働き者なのか、ぐうたらなのか。

前回より紹介している松下の充電式掃除機「ダスパ」には、子どもがお手伝いをしたくなる要素が含まれている。娘はめずらしい物が大好き。ダスパは今までの掃除機と比べて、デザインが斬新だ。さっそく娘は「私も使ってみたい」と言い出し、リビングに掃除機をかけ始めた。掃除をしたくなるような掃除機を見せれば、こちらがお願いしなくとも掃除をするのだ。その人が怠け者になるのか、働き者になるのか、環境によって左右される部分があることは確かだ。先日、私は娘から学校であった話を聞いて確信した。

「ダスパ」(MC-B80J)。カラフルな本体色も斬新である

私が住んでいる居住区は教育に対して、新しい試みをどこよりも早く取り入れることで有名だ。ここのところ導入したものに、「働くことの喜びを感じる」プログラムの実施がある。知人の教育ジャーナリストは、私たちのことを「新しい施策の実験台にされている」と揶揄していた。確かに、そういうネガティブな見方もできるが、私はどこよりも早くユニークな施策が味わえるので歓迎している。

そのプログラムは区内のある小学校の体育館を利用する。そこには子どもの街ができていて、街にはいくつかの会社が建てられている。子どもたちは自分で就職先を決め、その会社で働き、給料をもらうのである。さらに、ショップも設立されていて、稼いだお金で店に行き、好きなものを買うことができるのだ。おおざっぱであるが、このようなプログラムである。子どもたちは経済の仕組みや働くこと、組織の中での自分の役割、他者との連携など、さまざまなことが理解できるようになっている。なにより、自分が社会の一員として貢献することを疑似体験できるのがすばらしい。協賛企業は富士ゼロックス、セブンイレブン、NTT東日本、ミズノなど、大手企業の名が連なる。娘はセブンイレブンへの就職を希望したが、くじではずれて別の会社で働くことになった。

ノズルを倒すとスイッチがオンになる

不本意な結果となった擬似就職活動を経験した娘。担当した仕事は請求書の発行だ。私は仕事の中で、もっとも苦手なのが請求書を書くことだ。娘も「こんな面倒くさい仕事はイヤだ」と言うと思っていた。ところが、学校から帰ってきた彼女は笑顔だった。いかに効率よく請求書を発行できるか、それでいてミスを少なくできるか、自分が工夫した点をたくさん私に話すのだ。その様子は本当に楽しそうだった。本来の楽しく働きたい、自分の役割を全うしたいという要求が表に出ている。私は娘を見て、そう思った。お手伝いも同様で、ちょっとした刺激だけでも楽しくなるのだ。子どもが働くことが楽しいと話すと、親は嬉しいものである。

パワーの源はブラシ用のモーター

ダスパは使い勝手もいい。身長の高低に合わせられるよう、ハンドルが3段階で伸縮できる。ボタンを押して、ハンドルを引き伸ばしたり、縮めたりすればいいのだ。さらに、便利なのは、ハンディタイプの掃除機としても使える点にある。軽量で小さいので、いすの上のほこりなどもとることができる。ピアノなど、光沢のあるものは、傷がつきそうなのでおすすめできないが、娘はソファや勉強用のいすを片っ端からキレイにしていた。

ダスパの見た目は小さいが、パワーは十分だ。その理由はブラシを回転させる専用のモーターが搭載されている点にある。パワーノズルタイプなのである。我が家は全室フローリングなので、確認はできなかったが、じゅうたんについたゴミもしっかり掃除できるそうである。

いすの上もキレイに

主婦にとっては、手入れの簡潔さも重要なポイントである。ダスパは紙フィルターが不要。フィルターを定期的に買いに行く必要がない点はポイントが高い。フィルターを使わずに、ダストボックスに吸い取ったごみがたまるようになっている。ダストボックスは引き出しのように、本体からサッと取り出せてゴミ捨ても簡単だ。容量は0.2L、コップ一杯分。髪の毛やほこりなどを吸うには十分な大きさだ。ただし、フィルターにほこりが付着するので、とらなければならない。手でさらっと取れるのだが、フィルターにティッシュペーパーを装着すると、ゴミ捨て後のお手入れがより楽になる。ダストボックスとブラシは、ともに取り外して水洗いすることができる。たまには洗うといいだろう。

ある意味、ダスパはこれまでの「こんな物があればいいのに……」が詰まった商品だといえる。もちろん、ダニ退治をしっかりしたい、といった要望があるならば、高機能の掃除機が必要になる。しかし、毎日、髪の毛やほこりをキレイに吸い取りたいという要望ならダスパで充分である。

ダスパは立てかけて置く台が充電器になっている。掃除が終わったら、ダスパを充電器に上から差し込めば自動的に充電が始まる。掃除機をクローゼットにしまう必要もないのだ。電源はニカドパック電池で、最長約6時間でフル充電。連続約15分間掃除することができる。また、充電池は約1,000回繰り返して使用することが可能。本体部分のサイズは、幅200mm×高さ187mm×奥行き203mmとコンパクトである。質量は1.3kg(1.5kg ハンドル含む)と子どものお手伝いにも便利な重さである。価格はオープンだが、推定市場価格は1万6,000円前後。これはオススメである。

イラスト:YO-CO