目覚まし時計の音が好きだ、と言う人を私は知らない。毎朝、けたたましいアラーム音なしでスッキリ目覚めることができたら、どれだけ良いだろう。そう思っている人は少なくないはずだ。今回紹介するのは、「目覚めがスッキリ」を特徴にしている目覚まし腕時計「Sleeptracker PRO」(スリープトラッカー・プロ)である。

Sleeptracker PROのアラーム音は、デジタルの腕時計と変わりのない小さな音だ。大きな目覚まし音を鳴らさずに、なぜスッキリとした目覚めが可能なのか? それには、しっかりとした理由がある。

睡眠にサイクルがあることは良く知られており、「ノンレム睡眠」「レム睡眠」という言葉を耳にしたことがある人も多いだろう。人間の睡眠サイクルは一晩のうち、深い眠りのステージと浅いステージを繰り返す。この睡眠サイクル中に、「ほぼ目覚めている状態」が何回か起こるという。

この時計の特徴は睡眠サイクルをモニターしているところにある。「ほぼ目覚めている状態」を感知して、起きやすいタイミングを狙って目覚まし時計のアラームを鳴らしてくれる。だから、スッキリ起きられるというのだ。
取扱説明書の説明にはこう書いてあった。
〈最適な起床のタイミングで優しく起こしてくれます。その結果ぼんやりすることなしに、フレッシュに目覚めます。朝の目覚めがこんなに簡単になることはないでしょう。〉

睡眠計測腕時計「Sleeptracker PRO」。バックライトが点く

快適に目覚められるのは本当か

約一週間、データを取ってみたが、Sleeptracker PROの目覚まし音で起きられなかったのは一日だけだった。私はぐっすり眠っていると目覚ましが鳴っても気づかないことがある。普段、使っている目覚まし時計はアラーム音が大きいのだが、1分間で鳴り止んでしまう。従って、朝一で外出する予定が入っているときには、ほかに2、3個、目覚ましを用意している。そんな私でも、Sleeptracker PROの小さなアラーム音だけで目覚められるのである。けたたましくない「ピピピ」というアラーム音が耳に優しく、心地よく目覚めさせてくれる。

ただ、使い勝手に難点があるので、まずは取説を熟読することをオススメしたい。なぜこんなことを言うのかというと、私自身最初は使い方を間違ってしまったからだ。

この時計は、「ほぼ目覚めている状態」にアラームを鳴らすようになっている。従って、アラーム設定時刻よりも早い時刻にピピピッと音がするはずなのだ。それが、使い始めてすぐの頃はアラーム設定時刻に目覚まし音が鳴っていた。たまたまなのだと思っていたが、3日くらい経った頃、「毎日、アラーム設定時刻に鳴るのはおかしい」と気づいたのである。

使い方を間違わなければ良い製品

Sleeptracker PROには、ベッドに入る時刻を入力する「TO BED」という機能があるが、これは文字通りにベッドに入る時刻を入力するのではない。確実に眠っているであろう時刻を入れなくてはならないのだ。取説では、ベッドに入る時刻の30分後くらいを入力するようにすすめている。取説をきちんと読まなかった私は、まずこの時点で間違ってしまったのだった。寝つきの悪い私は「TO BED」で入力した時刻にしっかりと眠っていた試しがない。これでは、正しいデータを検出できないのだ。この間違いに気づいたときの気分はなんともいえないものがあった。RPGで主人公が先に進んで行き、突然の落とし穴にはまってしまったときの気分である。

アラームを6:30に設定

確実に眠っているであろう時刻を入力する

さらに使い始めてから2、3日は腕時計をしながら寝ることに違和感があり、ベルトを緩めて使用していた。しかし、これも間違った使用方法だった。腕に密着させないと、睡眠の状態を検知できないのである(ちょっと考えればわかることなのだが……)。

「Data」というモードがある。これは「ほぼ目覚めている状態」を検知した時刻が表示されるのだが、データが取れないと、ここにはゼロが表示される。朝目覚めて、「Data」のモードを見る。ゼロが表示されていたときの気分は、RPGで主人公が先に進んで行き……(以下省略)。

こう書くと、Sleeptracker PROは使えない時計のように感じるかもしれない。でも、正しい使い方ができるようになれば違う。アラーム音が鳴るときは、はっきりと目が覚めた状態であることが多く、「ほぼ目覚めている状態」の検出はきちんと行われているようだ。これまで使っていた時計と比べると、アラームが鳴ったときの自分の状態はスッキリしている。

しかも、この時計では計測したデータをパソコンに取り入れ、自分の睡眠状態を分析することができるのだ。その結果、おもしろいことがわかった。睡眠のサイクルを知ることは意外な発見がある。結果は次回、詳細をお伝えする。

イラスト:YO-CO