最近、高級炊飯器が話題となっているが、価格相応の価値があるのだろうか。1万円の安い炊飯器と大差なかったら意味がない。「JKE-A550」は高級機に位置し、安いとはいい難い商品だ。そこで、今まで家で使っていた某炊飯器で炊いたご飯と、「JKE-A550」を使用して炊いたご飯を用意して娘に食べてもらった。
おこげ好きの娘に公正な判断をしてもらうために、「JKE-A550」は”おこげなし”に設定。両方を食べ比べた娘が指したのは、「JKE-A550」で炊いたご飯だった。
もちろん、娘に無言のプレッシャーを与え、「JKE-A550」を指すように強要したわけではない。私も両方を食べ比べたが、お世辞抜きに「JKE-A550」のほうが美味しいと感じた。同製品で炊いたご飯は、「ふっくら」としているのだ。水分がたくさん含まれているような感触があり、それでいて水っぽくない。おこげができることで選んだ「JKE-A550」だったが、お米の美味しさを引き立てる技術も魅力なのだと改めて思った。
なぜ、「JKE-A550」は美味しいのか
美味しさの理由は、土鍋釜の釉薬に遠赤効果を高める黒色釉薬を採用したからだ。遠赤効果のある加熱では、素材を芯から加熱することができるという。これがご飯を美味しくするらしい。
また、じっくり熱をためて一気に加熱しているのも美味しさの秘訣だ。これは、土鍋の特性を生かす加熱方式なのだという。火力調整をうまくコントロールすることで、土鍋本来の炊き上がりを実現するのだ。
これだけの技術を製品に盛り込むために、きっとメーカーの開発者はご飯を朝から晩まで炊いて、どう加熱したら美味しくなるのかを追求していたことだろう。美味しさを徹底的に追求するメーカーの熱意が製品から漂ってくる。
お金をかけるに値するものとは何か
機能はシンプル、必要最低限のものだけ。「JKE-A550」は美味しいご飯を炊くことに特化した炊飯器だが、炊き込みごはんやおかゆ、玄米の炊飯もできる。主婦にとって、炊飯器の「おかゆ」機能ははずせない。子どもが風邪をひいたとき重宝するからだ。
お手入れは、ネットつきのスポンジなど、柔らかいもので行う。「その辺の炊飯器と一緒にしないでくださいね」と言いたげなのである。さすが、高級機。気位の高さを感じさせる。 内ブタは外せるのでそのまま洗える。つゆとり布は手でもみ洗いをして乾燥すれば、擦り切れるまで何度でも使える。
ところで、子どもによって食べる量はまちまちだ。たまに、娘の友達に夕食をご馳走するのだが、食べっぷりが男女で違うのである。女の子は遠慮しているのだろうか、おかわりをする子は少ない。でも、男の子は豪快に食べ、ばっと手を前に出しておかわりを要求する。意外と気分がいいものだ。
今回紹介した「JKE-A550」は3合炊きだが、食べ盛りの子どもがいる家庭や家族が3人以上という方は5.5合炊きの「JKF-S100」のほうが良いだろう。価格は、マイコミジャーナルの価格情報で36,000円~63,130 円(2008年5月中旬)。私個人の考えとしては、一般家庭では贅沢をして高い炊飯器を買うよりも、通常の炊飯器で充分だという気もする。でも、おこげや日本の主食であるお米本来の美味しさを楽める食卓は素敵なものだろう。日本の食文化に触れることは、お金を出してもなかなか手に入らないものだ。これからの時代は、お金では手に入りにくいものにお金をかけていくのが良いのではないか、と私は思う。そういう意味で、土鍋IH炊飯ジャー 炊きたてミニ「JKE-A550」はオススメしたい製品だ。
イラスト:YO-CO