ずいぶん前から、本棚と壁の間にある6cmばかりの隙間に溜まったホコリが気になっていた。本棚にある本に手を伸ばすたび、ホコリが視界に入る。細い棒に雑巾をくくりつければきれいに取れるかもしれない。頭では分かっているが、実行に移せないでいた。なにしろ隙間が狭いので、ホコリが取りにくいのだ。広い床に掃除機を当てるのでさえ面倒くさいのに、隙間にまで手がまわるはずもない。このようにして、ずっと先延ばしになっていた隙間のゴミ。それが今回、キレイにすることができたのだ。これは、ダイソンの掃除機のおかげなのである。

話は変わるが、ダイソンの掃除機には「dyson DC12 Plus complete」(以下、plus complete)「dyson DC12 Plus entry」など、いくつかのバージョンがある。主な違いはノズルの数だ。私が使ったのは一番多くノズルがついている最上位機種「plus complete」だ。布団用の「フトンツール」、ソファに付いたペットの毛を取るのに適している「マイクロタービンヘッド」など、用途に合わせてヘッドを付け替えられるようになっている。

本棚の横やベッドの隙間に適しているノズルもある。それはフレキシブル隙間ノズル。こちらは角棒のような形をしている。先端が伸びて曲がるので、細いところや曲がっているところでもキレイに入り込んでホコリを吸い取ってくれるのだ。

もうひとつ、私が気に入ったのはソフトブラシツールだ。毛が柔らかくFAXやテレビ、本棚など、ハンディモップの感覚でホコリを取ることができる。オススメだ。

掃除の原則

ここまで掃除を進めて、ぐうたら主婦はひとつだけミスをしたことに気づく。掃除というのは「奥から手前へ、上から下へ」が原則だといわれている。部屋の奥側から掃除を始め、下にあるものより上にあるものを先に拭け、ということだ。

たとえば、床を掃除した後、天井からぶら下がっている電気の傘を雑巾で拭いたとしよう。すると、電気の傘についたホコリは床に落ち、もう一度床掃除をしなければならなくなる。専業主婦になりたての頃、掃除の仕方を雑誌で読んだことがある。なのに、今回、ぐうたら主婦は先に床を掃除してしまった。その後にソフトブラシで家具のホコリを取ったものだから、床にホコリがこぼれてしまったのだ。もう一度吸い込まなければならない。普段から慣れない掃除をするからこうなるのだ。もとい、普段からきちんと掃除をしていないからこうなるのだ。もう少し、ひんぱんに掃除をしなければダメだ(と思った)。

おかげで2回も床を掃除した。たくさんのホコリがクリアビンに集まっているのが見える。家中のゴミやホコリを吸い取り終わったら、次はゴミを捨てる番だ。片手でボタンを押せばふたが開くので、ふた側を下に向けてゴミ箱に捨てるだけだ。本当に簡単。新しいゴミパックを付け替えなくてもいいので本当にラクだ。

「dyson DC12 Plus complete」。フレキシブル隙間ノズルは伸びて曲がるので、本棚やベッドの横も掃除できる

衛生面での向上も見逃せない。抗菌効果が衰えないのがこの掃除機の特徴のひとつだ。一般的に、抗菌作用のコーティングを施してある掃除機は傷が付くとコーティングがはがれて効果が失われていく。でも、この掃除機は主要なパーツに抗菌プラスチックを使用している。だから抗菌効果が衰えずにバクテリアやカビの繁殖を防いでいるという。清潔好きな日本人にうれしい気づかいである。外国のメーカーなのに、日本の家屋を調査し、日本人に合うように製品作りをしていることがわかる。

さらには微粒子のホコリも掃除機内に捕らえられるところもすごい。パンフレットの情報では、排出する空気には普通の部屋の空気と比べて、格段とバクテリアやカビが少ないそうだ。わざわざ窓を開けずに閉め切った部屋でも快適に掃除ができる。アレルギーの心配も少なくてすむのだ。

値段は高いが

お手入れは1年に1回を目安にスポンジフィルターを水洗いするだけ。水道水でOK、洗剤をつける必要もなく簡単だ。手入れは簡単に限る。ダイソンは全く手入れが要らないわけではないが、1年に1回程度で済む。いくらぐうたら主婦とはいえども、これでは「面倒くさい」と言いにくい。

難点を一つ指摘すれば音は静かではないことだ。この掃除機のモーターは1分間に10万回転もするから仕方ないかもしれない。ただ、夜遅く、家に帰ってから掃除をする人には、近所が気になるレベルだ。音が気にならない時間に掃除をする人や、隣近所と多少離れている戸建て住宅などにすむ方にとってはお勧めできる。とにかく半端じゃないパワーにド肝を抜かれるのもいいでしょう。この掃除機には驚きがあるのだ。

お値段は安くはない。マイコミジャーナル価格情報(5月3日)によると、dyson DC12plus completeは83,800円から85,799円。フトンツールなどのツールなし、3種の基本ノズルのみのdyson DC12plus entryは73,800円だ。床をキレイにすることだけを掃除機に求めるのなら、entryで充分だ。低価格とはいえないが、徹底的にキレイにしたい人には満足の逸品だといえる。

(イラスト:YO-CO)