女性の大敵、うっとうしい季節がやってくる。梅雨は湿気で髪の毛がまとまらないし、雨でお気に入りの靴が傷むし、ということで、梅雨入りのニュースは、この時期最も耳にしたくない知らせなのである。つらいことに、主婦になってからというもの、梅雨による負担は独身の時よりも増え、重くのしかかっているのである。

三菱電機 衣類乾燥除湿機「MJ-100EX」。ムーブアイが下方を向いたところ

増えた負担は何かというと、食べ物が腐りやすくなったことが一点。買い物から帰ってきたあと、食材を冷蔵庫に入れ忘れたら、冬場と違ってすぐに傷むのである。そして、もう一つは洗濯物を部屋干しすると、乾くのが遅いため臭いやすくなる。そしてなにより、浴室などにカビが生えやすくなって、風呂に入るたび、そろそろカビ掃除をせねばなどとせきたてられるのである(でも、ぐうたらしているうちに真夏になってしまうんだけど…)。 そんな梅雨を乗り切るには、除湿機が必要。ということで、今回は、三菱電機、衣類乾燥除湿機MJ-100EXを紹介する。除湿機には、ひたすら除湿に徹するものと、衣類の乾燥など、いろんな機能が付加されたものがある。ぐうたら家は洗濯乾燥機に入れると傷む衣類は、ベランダではなく部屋に干す。ずっと前までは、衣類や布団は直射日光に当てて、紫外線で殺菌するのが、もっともいい方法だと思っていたが、外に干すと花粉やら、排気ガスやら、いろんなものが付着するのが嫌で、部屋干しするようになった。

進化した衣類乾燥除湿機

以前にも、こちらのコーナーで三菱電機の除湿機を紹介したことがある。その機種も、衣類乾燥機能がついていた。ただし、その製品は衣類カバーをつけなければならず、これが面倒なのである。確かに、ムラなく、仕上がりは優れているのだが、セッティングが面倒で、もう少しラクにできる物が欲しいと思っていた。

ムーブアイ。これが上下左右をくまなく検出する

衣類乾燥除湿機の中には、カバーをつけなくてもよいタイプもあるのだが、その類の製品は風の方向を手で設定しなければならない。結局は面倒なのはどれもこれも同じ。そこで、もっと賢くて、自分でさっさと風向きを考えて効率よく衣類を乾燥てくれるタイプが欲しいと思っていた。

ということで、今回紹介するMJ-100EXは「ムーブアイ」なるものがついていて、その働きで、本来ならば手動でしなければならない風向き設定を除湿機が自らやってくれるのである。

そもそも、このムーブアイとは何なのか。もともと、エアコンに搭載されているセンサーで、今回世界で初めて除湿機にも用いられたという。上下左右の広範囲をセンシングすることで、必要なところにだけ風をあてて、効率よく衣類乾燥しようというものだ。これならば、わざわざ手動で風向きを調節しなくても済むのだ。なんて賢い除湿機なんだろう。

ムーブアイが向かって左端を見ているところ

それにしても、どうやって洗濯物とそうでないものを見分けているのか、疑問がわいてくる。三菱電機によると、ムーブアイが検知しているものは温度。つまり、衣類から放射されている赤外線を測定することで、離れたところに吊るされている衣類の表面温度を測定するという。

衣類が乾いていない状態、つまりたくさん水分を含んでいる状態であれば、風をあてたときに水分が蒸発して熱が奪われるので、表面温度が下がる。理科の教科書的な言葉で言えば、気化熱により温度が下がるということである。そこで、この除湿機は室温と比べて温度が下がった部分を検知して、そこに乾いていない衣類があると判断するようだ。

ムーブアイが動いてセンシング

実際に使ってみた。「運転切/入」のボタンを押すと、ムーブアイとともに、ルーパーが動き出す。その範囲は上下150度、左右100度とかなり広い。最初の3分間は検知動作で、広範囲にムーブアイが動く。その後、濡れている洗濯物に狙いを絞って送風する。最初にズボンをかけてみた。

この場合は、上下に洗濯ものが長いせいか、ズボン部分を狙って風をあてるというより、全体的に広く風をあてていた。おそらく、一部分にあてると、乾燥ムラが生じやすくなるので避けているのだろう。

ムーブアイが上方を検出しているところ

そこで、次は丈の短いトレーナーを干してみた。干し位置は腰から下の低い位置にした。しばらくすると、風の向きは、正面以下の部分のみに送風されるではないか! やはり賢い。若干、誤検出による乾きムラを防ごうとして、範囲を広めに風をあてようとする傾向がある。

たとえば、私が近くに立っていると、それがセンシングに影響するのか、私にまでしっかりと風をあててくれる。もう少し、狭い範囲で狙ってくれてもいいような気がするが、乾燥したはずの衣類が生乾きなのは気分が悪い。何としてもそれだけは避けようとすると、どうしても広い範囲に風をあてることになる。それは仕方のないことなのだろう。

ともかく、物によって風のあたる幅が違うので、しっかりとセンサーは効いていることは確かのようだ。乾燥が終わると、自動で動作を止めてくれるので、ムダな電気代もかからないところもいい。

衣類を乾燥しているところ。強力な風が吹きつけられて一気に乾燥させる

通常の衣類乾燥モードの場合、強い風がぶぁーっと衣類にあたって強力に乾かす。ただし、夜間はこれでは音が気になる人もいるだろう。そのような方に、「夜干し」モードが用意されている。時間はかかるが、音は静かだ。夜寝る前にセットしておけば、朝には、衣類がきれいに乾いている。

この機能は、単に、夜に洗濯ものが乾かせて便利ですね、という機能にとどまらない。実は、部屋干しの欠点は、いつまでも、洗濯物が部屋の中に吊るされっぱなしになってしまう点にある(←こまめに取り込めば解決することに気づかない、ぐうたら主婦)。

外に干せば、雨が降ってくることやホコリにまみれることを避けるために、乾いたらすぐに取り込む癖がつく。でも、部屋干しすると、ついつい干しっぱなしになってしまうのだ。正直、ぐうたら家では、洗濯物が部屋に干されたままのことが少なくないのである、はい。開き直っているが、ちょっとだけ心の中で、この見栄えの悪い洗濯物を何とかしたいと思っていた。そこで、夜に洗濯して、この除湿機で乾かして、朝になったら洋服をたたむ。この習慣がつけば、部屋の中に洗濯物が干しっぱなしということがなくなる。

洗濯乾燥機を使うと、衣類が縮んだりするので、どうしても、干さなければならないときが多い。だが、洗濯物を干すのは、いろんな問題が山積されているのである。その解決の一助として、この除湿機は有効だ。 とはいえ、本来、除湿機は部屋の湿度を下げるものである。次回は、本来の除湿機能を中心に紹介する。

イラスト:YO-CO