同じものごとでも、人によって感じ方に温度差が生じることはよくある。その中の一つがプライバシーに関する問題で、ことに、自分に関する情報をどれだけ他人に漏れないようにするか、注意の払い方への個人差は大きい。

私の知人には、ネットで買い物するとき、ショップや宅配サービス業者に自分の住所や氏名が知られるのが嫌で、品物の受け取りはコンビニエンスストアでと決めている人がいる。その一方で、全くおおらかな人もいて、ブログに自分の顔写真、自宅外観、子どもの写真まで載せている人もいる。

何が正しいのか、私にはわからない。過剰な対応を見ていると、そんなに神経質にならなくともいい気もするが、人からみたら何でもないことでも、本人にとっては深刻な問題だと感じることもある。そういう私も月々送られてくるクレジットカードの明細書はゴミ箱に入れる前に、ケシポンというハンコで住所や氏名部分を黒く見えなくしてから捨てている。

とくべつ、金額が少ないとか、多いということもないし、買っているもののほとんどが普段の生活に使うもので、人に見せられないものではない。なにより、私が月にどのくらいカードを利用しているかなんて、知りたいと思っている人は世の中にまずいないはずだから、本当はケシポンで消す必要はないかもしれない。

意外と、自分が思うほど、残念なことに他人は自分のことに注意を払ってくれていないものである。だから、過度にビクビクして消極的な人生を歩むのは、もったいないことはわかっている。それでも、何となく気になって、消してしまうのである。ただ、生来、私はぐうたらなんである。ハンコを押すたびに、面倒だと思っていた(だったら、やめればいいのに…)。やめられないのであるが、それでも、一気に、手間なく、紙を処分できるものが欲しいと思っていた。

裁断はクロスカット方式

今回紹介するシュレッダー「RELISH(リリッシュ)」(KPS-X80)はコクヨの紙専用シュレッダーだ。入口のすきまに紙を差し込むと、センサーが反応して、自動的に紙が吸い込まれていく。紙が全部飲みこまれて裁断が終わるとシュレッダーは止まる。停止も自動だ。このように、リリッシュは何から何まで、自動で簡単に終わってしまうシュレッダーである。

コクヨ 紙専用シュレッダー リリッシュ「KPS-X80」。4月26日に新色としてビターブラウン、スプラウトグリーンの2色が追加されている

裁断はクロスカットといって、個人情報や明細、機密書類などに適した細かく切る方式だ。裁断した後の紙のサイズは4×40mmと小さくなる。これだけ細かくしてくれたら、まず、内容が他者に知れることはないだろう。

このリリッシュの特徴は、デスクの横に置いておけるくらいのコンパクトなサイズにある。家でカードの明細書の処分に使うのなら、リビングのソファの横に置いておくのもいい。邪魔にならないのだ。

リビングが似合うすっきりなデザイン。大きさは170×330×306mm

もっと小さいのがお好みならば、手動のシュレッダーも文具店に出ている。横側にハンドルがついていて、くるくる回すと、紙が細く裁断されるタイプだ。価格は安いものだと1000円くらいからでている。ただ、安いのはクロスカットにならないので、ソバ麺のようなものができあがる。近所の主婦でこのタイプのシュレッダーを持っている人がいて、子どもが小さいころ、細断くずは、ままごとのソバとして重宝していた。リリッシュのクロスカットはそばにはならないが、ままごと用のご飯になるだろう。

一番の魅力は爽快感にある

リリッシュはマイコミジャーナルの価格情報(2010年4月23日)では、5,870円~11,982円。手動のよりも4000円以上高い。この差をどう見るか。手で回すのは面倒だ。手間がかかるのならば、わざわざ収納場所をとるシュレッダーよりも、コンパクトなケシポンでいいではないかという気もする。

裁断途中の紙。斜めにカットしていく

なにより、私がリリッシュをおすすめしたい一番のポイントは、とにかく使っていて気分がいいことである。紙が入口からすーっと吸い込まれるこの感触がいいんである。それに、だだだだだーっという音とともに、不要なものが細かくなっていくところに、ちょっとだけサディスティックな快感がある。

私はのんきなぐうたら主婦かもしれないが、それでも主婦というものは何かとストレスを感じることがあるものだ。たとえば、子どものノートの取り方が悪いとか、そんな本来なら、いちいち私が口出しすべきことじゃないところにイラっときてしまうのである。主婦でなくとも、ストレスを感じるということでいえば、それは男性も同じだろう。そんな、現代のストレス解消法として、リリッシュはコンパクトだし、手軽だし、なにより使っているときの気持ちよさがいい。

クロスカットの裁断。細かくきられているから安心

知り合いの主婦に、腹の立つことがあると、無言でお皿を一枚ずつ割っていく人がいる。私はその現場を見たことはないが、さぞかし、夫は大変だろう(後片付けも…)。そんな不幸を避けるためにも、私はリリッシュをおすすめしたい。皿を割るより、後片付けは断然簡単だ。

このシュレッダーの置き場所は、個人事務所か家庭のリビングが向いている。とすると、小さな子どものいる家は、安全性について、心配なのではないだろうか。シュレッダーの事故のことと、その対策について、次回、詳しくお伝えしたい。

イラスト:YO-CO